私は信じられない情報を手に入れてしまった・・・・・・
あの馬超がボコボコにされたという話である。にわかに信じ難い話であるが、どうやら本当の話のようです。今回は馬超を痛めつけて討ち取る寸前までいった閻行という人物について、正史『三国志』をもとに紹介します。
※記事中のセリフは現代の人に分かりやすく翻訳しています。
「西涼 馬超」
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馬超を倒す!
閻行は韓遂配下の武将であり、若い時から武術の達人でした。残念なことに閻行については正史『三国志』に列伝は残っていません。正史『三国志』に注を付けた裴松之が持って来た『魏略』という史料にわずかな記録が残っているだけです。
『魏略』は後漢(25年~220年)末期から魏(220年~265年)の初期までを生きた魚豢が執筆した書物です。内容が様々であり何でも掲載しようとするというマイナス面の評価もあれば、筆力があるというプラス面の評価もあります。最近の研究では史料的価値の高さに目を付けられています。
ちょっと話がそれたので戻ります。閻行は下っ端将校からスタートしました。『キングダム』で例えるなら100人将です。建安元年(196年)に韓遂と馬騰は涼州の覇権をめぐって争いを始めました。2人はそれまで仲良くしており義兄弟の契りも交わしていたのですが、やはり領土問題となると話は別です。
とうとう血みどろの抗争になり、韓遂は馬騰の妻子を殺害しました。怒った馬騰は勇猛果敢で腕のたつ馬超を出陣させました。
この時、迎え撃ったのが閻行でした。閻行は矛で馬超を突き刺し、さらに折れた矛で馬超の首に一撃くらわせました。重傷を負った馬超はそのまま戦線離脱。あやうく命を落とすところでした。
もしここで討ち死にしていたら、『三国志演義』の五虎大将軍の馬超も「三国無双」シリーズも出来なかったでしょう・・・・・・
曹操に帰順しようとするが失敗する閻行
やがて時は流れて、建安14年(209年)になりました。閻行が馬超との戦いの後にどのような昇進を遂げたのか、『魏略』は何も語っていません。
だが、生粋の武人なので順調に昇進したと思われます。韓遂の命令で曹操のもとを訪れた閻行は、曹操から気に入られました。
帰った閻行は韓遂に対して曹操への帰順をすすめました。長年の戦争で民は疲れていると言いましたが、本当は閻行が曹操に降伏したいだけでした。残念ながら韓遂は「数年間だけ様子を見よう」と曖昧な返事をしたので、この策は失敗に終わります。
しばらくすると韓遂は曹操への反乱を企みます。韓遂をそそのかしたのは、かつて閻行がボコボコにした馬超でした。
この当時、韓遂の子は曹操の人質になっていましたが、馬超は「そんな子は捨てて、私を息子にしてください。私も韓遂殿を父とします!」と下手なセールス・トークを吹っかけてくるのです。どうしてなのか不明ですが、韓遂はこれに賛成します。
閻行は韓遂に馬超と手を組むことをやめるように説得しますが、「もう決まったから」と韓遂は全く耳を貸してくれませんでした。まるでワンマン経営者・・・・・・30年近くに渡り西涼の反乱軍を指揮したリーダーとは思えません。もう潮時なのかもしれません。
曹操への降伏
馬超と韓遂の反乱は失敗に終わります。反乱終了後、曹操は都にいる馬超の父の馬騰、韓遂の子と孫を殺害。しかし、閻行の父には手を出しませんでした。放っておけば閻行が降伏すると思ったのです。
一方、韓遂は閻行に降伏されてはまずいので自分の末娘を娶らせて、無理に近くに置きました。曹操には恩がある。だが、韓遂との主従関係も勝手に解消出来ない。閻行は板挟みになってしまいました。
間もなく、反撃が訪れました・・・・・・
建安19年(214年)に閻行は韓遂から西平郡の統治を任されました。これを機会に閻行は謀反を起こして韓遂を攻撃!韓遂は逃げたので討ち取ることには失敗しますが、閻行は自由の身となったのです。閻行は宿願だった曹操への帰順を果たして、家族と再会を果たしたのでした。
三国志ライター 晃の独り言
以上が閻行についての記述でした。閻行は曹操帰順後に、史料から姿を消してしまいます。おそらく曹丕の時代まで生きていなかったのでしょう。太平の世を謳歌せずに乱世の武人として生き抜いた・・・・・・
まさに武人の中の武人です。惜しいのは、馬超を倒すほどのレベルであるのに『三国志演義』に全く登場しないことです。出てくれたらもっと面白かったことでしょう。「無双シリーズ」でキャラクター化したら、凄く面白いでしょうね(笑)
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