魏延の北伐について史実と三国志演義両方から考察してみる

2020年4月26日


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魏延の北伐(1P目)

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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魏延の作戦の欠点とは・・・?

進軍する兵士c(モブ用)

 

魏延の作戦を諸葛亮が却下した理由としては、魏延の作戦では食料の調達、つまり現地で略奪をしなければいけないのがアウトだったのではないかと思います。長安での略奪が悪手なのはまず魏の統治が良く、民衆からの反感が強くなってしまいます。

 

袁家をイジメる董卓

 

しかも長安という場所で略奪(りゃくだつ)を行うと昔の暴君、董卓(とうたく)とイメージがかぶってしまいますね。これでは蜀という国のポイントでもある「漢王朝の正当後継者」である、というイメージを掲げ続けられません。この点から政治家である諸葛亮は魏延の作戦を却下したのでしょう。

 

人知れず言われてしまう夏候楙

進軍する兵士b(モブ用)

 

因みに魏延の作戦では「攻め込めば敵は逃げる」と言われていますが、ここを任されていたのは夏候惇(かこうとん)の息子である夏候楙。ここで彼は他国である魏延にまで「臆病で無能」と逃げる理由を述べています。確かに夏候楙は一般的に金勘定にしか能がない、身内で揉め事を起こすなど、名家の出なのにろくでもない人物ではありますが、魏延にまでここまで言われるとちょっと同情しかかってしまいますね。

 

最後に。。。北伐の対処について

孟達を討伐する司馬懿

 

最後にちょっと魏のこの北伐の対処について触れておきましょう。魏では孟達(もうたつ)がこの北伐に合わせて蜂起(ほうき)司馬懿(しばい)に鎮圧されるも他国からの侵略を警戒して大急ぎで長安に曹真(そうしん
)
らが向かわせられ、事ここに至ってもほぼ何も準備ができていなかった夏候楙は尚書令(しょうしょれい)栄転(えいてん
)
させてその後は曹真と(ちょう)コウが蜀軍に対処しました。

 

司馬懿と曹叡

 

夏侯楙への対処が甘すぎるような気がしますが、この当時皇帝が変わったばかり、皇帝の親類を処断すると動揺が広がる、そもそも追い詰められた夏侯楙に裏切られたら面倒、などが考えられるので円満に左遷したと言えるでしょう。当時の皇帝曹叡(そうえい)はまだ20歳未満であることを考えると、周囲の助けがあったとしても優秀なことが伝わってくる瞬間ですね。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

個人的には、勝てる見込みがある魏延の作戦は取り入れても良かったのではと思います。しかし政治家として諸葛亮は先を見ていた、魏に勝っても国に付いてくる民衆がいなくなってしまっては、と思ったのでしょう。ここは魏延のような軍人と、諸葛亮のような政治家の考えの違いが見て取れます。

三国志を楽しく語るセン様

 

三国志演義では魏延と諸葛亮の対立の一幕の強調に見えますが、正史を共に追っていくと現代でもあり得る構図に見える北伐。三国志演義においては既に終盤ですが、見直してみると色々な面が見えてきて面白いので皆さんもこの三国志終盤を見返してみて下さいね。

 

参考文献:蜀書魏延伝 魏略

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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