孫権が周泰に頭巾を与えた事を深読みする




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はてなマークな劉備と袁術

 

三国志は古代中国のお話なので、現在の日本の価値観では意味が分からない行為が出てきます。

 

正史三国志_書類

 

そのような場合、私達はそれはそういうものだろうなと流してしまいがちですがしばらくして、正史三国志を読んでいると、ハタと思い当たる事があるから面白いもの。

 

周泰(しゅうたい)

 

今回は、孫権(そんけん)周泰(しゅうたい)に自分の頭巾(ずきん)を与えた行為を深読みしてみましょう。




自分の頭巾を周泰に与える不思議な孫権

周泰(しゅうたい)の全身の傷を解説する孫権

 

孫権は未成年の頃に自分を命懸けで守ってくれた周泰に特別に親愛の情を寄せていました。正史三国志に引く江表伝には、以下の話があります。

 

孫権は周泰の(ひじ)を取り、涙をボロボロとこぼしながら

幼平(ようへい)よ、あなたは私と兄弟の為に熊や虎の如く戦い、

身命を惜しまず親からもらった身体を傷だらけにしてしまった。

これほどの献身に対して、私はどうしてあなたを肉親として扱わずに

重い責任だけを押し付ける道理があるだろうか?

あなたは呉の功臣で、私はあなたと苦難と栄光を等しくわけたいと思う。

幼平よ、これを快諾してくれ、身分が低いからと辞退しないでくれ」

こうして、即座に詔を出して、己が常に用いている御幘(おさく)青縑蓋(せいけんがい)下賜(かし)した。

(以下略)

 

 

朝まで三国志2017-77 kawauso

 

青縑蓋とは、青色の馬車のパラソルみたいなモノですが、これは天子の馬車の権威を周泰に付与したと考えられます。問題は御幘(おさく)でこれは(もとどり)を覆う頭巾の事なのです。

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

孫権の使っていた頭巾を周泰に下賜する、これにはどんな意味があるのでしょうか?




それは孫堅の故事に遡るのではないか?

赤い毛織の頭巾をかぶった祖茂

 

(さく)と聞いて、kawausoは思い当たった事があります。孫権の父であった孫堅の側近、祖茂(そも)の事です。

 

孫堅の身代わりになり逃走する祖茂

 

三国志演義において、祖茂は華雄(かゆう)に追撃される孫堅を救う為に、孫堅の赤い頭巾を被って身代わりになり、華雄の追撃を自分にひき付け、最期には華雄に暗がりから斬りかかり、返り討ちにされてしまいます。

 

華雄(かゆう)

 

実は、この話は正史三国志の孫堅の伝にあり、董卓の騎兵に追われた孫堅が側近の祖茂に赤い頭巾を被せて、二手に分かれて逃げ、無事に逃げおおせる話になっています。一方の祖茂も、殺される事無く、焼け残った家屋の大黒柱に頭巾を被せて草の中に臥せ、難を逃れています。

 

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志(本)

 

史実の祖茂もその後出て来ませんが、少なくとも身代わりで死んだわけではないようです。

 

呉の孫堅

 

だとすれば、孫堅を救った事は、かなりの武勇となり讃えられたと考えられませんか?

つまり、孫家の当主の頭巾は英雄的行為を為した人間に与えられるシンボルになったのではないか?と推測できます。

 

【呉のマイナー武将列伝】
呉の武将

 

孫権は周泰を祖茂のようだと讃えた

孫堅、孫賁

 

孫堅が祖茂のお陰で命拾いをした頃、孫権は8歳位ですが、祖茂の武勇伝を誰かから聞かされていた可能性はあります。それは孫堅本人かも知れませんし、兄の孫策かも知れません。

 

呉の孫権は皇帝

 

以上の経緯から、おそらく孫権は、父である孫堅の側近だった勇敢な祖茂のような存在として周泰を見ていたと考えられます。実際に周泰は、若い孫権を守る為に、山賊から12もの傷を受け、かなり長期間の療養の末に復活していますから「周泰こそは、我が祖茂である」と孫権が考えていた可能性はあります。

 

頭巾の故事は孫呉だけなので、やがて忘れさられた

海賊時代の孫堅

 

当時、頭巾の故事は孫呉では自明の事であり、周泰が孫権に信頼されている事は、敢えて文字にしなくても伝わりましたが、魏や蜀には、そのような故事がないので、蜀の人である陳寿が正史三国志を記す時には、それが伝わらなかったのかも知れません。

 

もしかすると陳寿も、

陳寿(晋)

 

「なんで孫権は頭巾を周泰に与えたんだろう?呉の風習かな?」くらいに考えて、特に疑問にも思わず書き記し、一応調べてみようとは思わなかったのかも…等と想像してみたくなります。

 

kawauso

 

憶測だらけで申し訳ないですが、頭巾を与えるという、よく分からなくも何気ない行為に、本当は孫権の周泰への最大の敬意と愛情が込められているとkawausoには思えるのです。

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