コメディ映画監督の福田雄一監督が『新解釈・三國志』を撮ったことが話題になっております。既成の三国志イメージに挑戦する「新解釈」をやる!と銘打っている作品だけに、怖いもの見たさの感情を含め、年季の入った三国志ファンの私も大注目しております。
そしてこの機会に、「新解釈というならぜひ切り込んでほしい領域」をひとつ、私から提出させていただきたい。吉川英治先生の小説や、横山光輝先生の漫画で三国志を知った世代として、言わずにおれないヒトコト。
「いったいいつから、三国志を実写映像化するときは、こんなにもイケメン俳優だらけになってしまったんだ!」
「本来の三国志といえば、もっともっとマッチョ、「漢」と書いて「おとこ」と読ませるようなオッサンたちの世界ではなかったのか!」
などと、私がここで一人で叫んでもいて、若い世代の三国志ファンから非難を受けるだけですので。「最近の実写版三国志では、いつの間にかイケメン俳優割り当て枠になってしまっている武将を、どこかで非イケメン俳優に演じさせてみてください!」
と思った武将をピックアップしてみました。今回の福田監督『新解釈三国志』は、ここに切り込んでくれているのでしょうか?
その1:趙雲
これは特に、横山光輝先生の漫画の印象が強い世代は、つねづね感じていることではないでしょうか。趙雲という武将は、いつから、アイドル体系のイケメン枠になってしまったのだ!と。
実際、計算してみても、趙雲が劉備関羽張飛よりも年下だったという設定すら、厳密にはあやしいのです。劉備軍に加わるタイミングが遅かったため、「関羽や張飛より後輩」というキャラクター付けになっていますが、すでに劉備軍に入った時にはベテラン武将として知名度もあったことを考えると、劉備軍参加時点ですでに中年の、関羽張飛と風格も並ぶ、堂々たるマッチョマンだったと考えるほうが自然ではないでしょうか?
もちろん、私がここで一人そんなことを言っても、「趙雲にはイケメンを割り当てて、華を持たせるものである」という風潮に抵抗できるわけでもありませんが、実写映画監督の誰かに、そろそろ、この不文律に切り込んでほしい!
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その2:呂布
これも風潮として納得のいっていないこと。ときどき、呂布がイケメン枠扱いになっているのは、いったいいつから始まったことなのでしょう?
巨大な方天画戟を軽々と使いこなし、劉備・関羽・張飛の三人に囲まれても互角の戦いを見せ、次々に主君を殺して所属先を乗り換えたこの人物。どう考えても、汗くさくて、脂っこいものばかり食べている、眼光ギラギラ、眉毛ボウボウのマッチョマンを割り当てるところと思うのですが!
もっとも呂布については解釈がそうとうに分かれるところのようで、メディアによっては、『北斗の拳』の悪役に出て来そうな、身の丈が突出した怪物的な大男に描いてくれることもあり。
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その3:諸葛亮
たまに諸葛亮がイケメン枠になっていることにも、納得はできない。この人は、もっと人間味がないマシーンのような印象というか。「見た目は、頭脳だけ優秀な冷たい官僚タイプのようだが、実は人情もわかっている」というギャップが孔明の魅力なので、最初からヤサオトコで登場させるのはいかがなものかと思っています。と、これもまた、私が一人ここで騒いでいるだけと言われれば、それまでなのですが。
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