大人気春秋戦国時代漫画キングダム。
その人気は一青年漫画の枠を越え、特に主人公李信の飛信隊については、理想的な会社組織として捉え、人材管理・人材活用の観点から論じたような書籍が何冊も出されるような人気ぶりです。
でも、冷静に考えて飛信隊って、ビジネス書になるほど洗練された組織なんでしょうか?
むしろライバルの楽華隊や玉鳳隊の方が組織としては優れているのでは?
そこで今回は、飛信隊のダメな所をメッタ斬りしてみます。
この記事の目次
ココがダメだよ飛信隊1「李信の個人的部隊」
組織の長所は、反面として組織の弱さでもあります。特に飛信隊は、主人公李信が百人隊の頃から立ち上げた組織である分、全てが李信次第という個人的な部隊となってしまいました。
それが顕著に出たのは、対龐煖戦で主人公李信があの世へGotoしかけた時です。敵の大将である李牧を討つ好機であるにも関わらず、飛信隊は完全に虚脱状態になり、全員で「信が死んだシン!」と言いつつ泣き叫んでいました。
その様子は、まるでドーハの悲劇の時のサッカー日本代表のようでした。まだホイッスルが鳴ったわけでもないのに芝生に座り込んで絶望した日本代表選手。スタジアムの観客やテレビを見ている視聴者が絶望するのはいいとしても、その結果をひっくり返せる可能性がある選手が芝生に座り込んだらダメでしょう。
飛信隊も同じであり、そもそも飛信隊は李信の持ち物ではなく秦国の軍隊なのです。哀しみは哀しみとして河了貂だけでも、李牧を追えと指示すべきでした。勝ったからいいようなものの、もし負けていれば、あれは軍法会議ものの失態です。
ココがダメだよ飛信隊2「気合に頼るスパルタ体質」
王道少年漫画において、主人公とその仲間が限界を超えた戦いの中で強く逞しくなっていくというのは外せない要素です。アニマル浜口ではありませんが格闘系の少年漫画においては、1に気合、2に気合であり、最終的にはコスモ的なアレが爆発し、なにぃ?バカな…でフィニッシュです。
しかし、キングダムにおいては特に飛信隊においてはファイト一発な気合に頼りすぎであり、鄴攻めの最終局面では無策な王翦のせいで、少なくとも3日以上は絶食が続き、それでも、飛信隊は戦場において最もキツイ場面を受け持たされました。
空腹でも気合爆発で乗り切るなど無理を重ねた結果として、龐煖と戦うあたりで李信は、死んだ王騎や漂がナチュラルに見え続けるなどスピチャ要素が加速しています。あれは世に言う過労死手前というヤツではないかとkawausoは思いました。
ビジネス書の組織論で、とにかく気合だ!みたいな内容が昭和40年代ならともかく、2000年代に受けるとも思えません。そこは直していかないとマズいでしょう。
ココがダメだよ飛信隊3「正義の潔癖症候群」
キングダムは、500年の戦乱が吹き荒れる春秋戦国時代が舞台なので、戦場の理不尽が、あちこちで描かれます。すなわち敵味方問わず、戦場では多くの将兵が死んでいきますし、戦後は都市が略奪の対象となり、放火、殺人、強盗、強姦、あらゆる悪徳が戦利品という名目で解禁されました。
しかし、飛信隊においては、このような悪徳は一切ないものとして話が展開していきます。それはそれで、熱血ヒーロー漫画としては仕方がない面もありますが、最近では新加入した羌礼が敵兵を好んで殺しているのが許せないとして、歩兵隊長の崇原が羌礼をクビにするように直訴していました。
これは流石にやりすぎではないでしょうか?
味方や民間人を殺すなら別ですが、敵兵を殺しまくる有為の人材をそんな理由で排除しては、戦闘組織としての飛信隊は成り立たないと思います。まさか、万を数える飛信隊は全員、非道をしない清廉潔白な正義の軍隊ですという事なのか?これは少々白けませんかね?
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ココがダメだよ飛信隊4「後任教育が出来ていない」
飛信隊の一番ダメな点は、絶望的に後任教育が出来ていない所です。
元々、後進にモノを教えるというよりも、戦場で俺の背中を見て覚えろという世界観の部隊なので、松左のように例外的に後進指導が上手な奴が死ぬと、あっという間に連携不足が露呈してしまい、戦力ダウンに繋がります。
常在戦場の世界なのですから、いつ、誰が討死した場合でも、すぐに後任を立てて補助できるようにしないと、激戦の度に毎回戦力ダウンでは、秦国首脳も「飛信隊は波があって使いずらいな」と顔をしかめているかも知れません。
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