

呉の国の数多い武将たちの中に、朱桓と言う人物がいます。
朱桓と言えば民や兵士たちに良く施して慕われた一方で、同僚と揉め事を起こして相手を殺そうとして逃げられた腹いせに副官をサツガイしてしまうなど、中々に苛烈な性格をした武将。
今回はそんな朱桓が出会った飛頭蛮の驚きとホラーな出来事をちょっとご紹介しましょう。
家政婦さんは飛んだ?
さてある日のこと。ある日、朱桓はとある碑女を雇いました。これはまあ家政婦のようなお仕事をする人とお思い下さい。しかしこの女性、とんでもない女性でした。というのも夜中になるとこの女性、頭と胴体が離れたのです!
それだけならちょっとした殺人事件で終わるかもしれませんが、なんとこの離れた頭はどこかに飛び去ってしまうというのです……コワイ!
おろおろ おろおろ
それを不思議に思ったある人物、夜に頭が飛び去った彼女の身体に寝間着をかけて上げました。なんで寝間着をかけたかと言うとどうやら体が冷たかったからのようです。
しかし戻ってきた頭が、まるでおろおろしたように体の上を飛び回ります。その様はまるでもがき苦しむようで、どうやら寝間着をかけたせいで体に戻れずに死んでしまいそうになっていたのでした。慌てて寝間着を取り除くと頭はやっと体に戻れたそうです。
朱桓「正直コワイ」
さて、このような報告を何度も受けた朱桓。流石に彼女を不気味に思ったのでしょうか?
家族にこの事は口外しないように言いつけてから、彼女に暇を出したと言います。この家政婦の女性は、落頭民、もしくは飛頭蛮と呼ばれる妖怪の一種であるとされています。この飛頭蛮の伝説は中国のみならず各地にあり、多くは女性の形をしているのが特徴です。
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捜神記
この飛頭蛮と朱桓の話が載っているのが、捜神記になります。飛頭蛮と朱桓がどこをどう繋がって話になったのかは分かりませんが、もう一つ、この呉において「捜神記」に出てくる人物を思い出さないでしょうか。
ヒント1:仙人
ヒント2:民衆に慕われている
ヒント3:孫策
そろそろお分かりでしょう。そう、三国志演義では孫策の死のある種、原因ともなった仙人、于吉仙人もこの捜神記に乗っているのです。
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創作じゃないの!?
ここで「于吉って架空人物じゃないの!?」と驚いた人もいることでしょう。実は陳寿の書いた三国志には出てこないものの、裴松之の書いた注釈で「江表伝」「志林」「捜神記」からの逸話が乗っており、そこに于吉の名が載せられているのです。
史料ごとに話はやや違いがあるものの、孫策に処刑されたのは一致しており、三国志演義ではこれを踏まえて于吉を描いたと思われます。ともあれ、怪異伝記の捜神記に于吉も飛頭蛮ものっているとなると何か深い繋がり……は特にはないとは思いますが、何だか面白くないですか?
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飛頭蛮の小話
因みに飛頭蛮さんに関してもう少し。この飛頭蛮さん「南征に赴いた大将たちは度々落頭民を得ることがあった」とかとんでもないことが書かれています。
つまり呉の武将たちの間ではこの飛頭蛮さんを良く雇い入れたことがあったということ……ええ……?(困惑)更にいうとこの飛頭蛮の胴体に銅鑼を乗せてみた所、飛頭蛮の頭は胴体に戻れないまま死んでしまったとも言われる逸話があります。
ここで思いだして欲しいのが朱桓だけでなく苛烈な性格をした呉の武将たちのこと。度々仲間内で喧嘩して刃傷沙汰は珍しくもない彼ら。もしかして「やってしまったこと」を「飛頭蛮だった」としたのでは……?
そんなホラーよりもっとコワイお話を思いつきましたが、どうでしょうかね……?
こばなし『飛頭蛮の特徴』
更に更に、ちょっと筆者の疑問点を。飛頭蛮の特徴として、夜中に首が胴体から離れる。特に何か悪いことをしたわけではない。胴体に帰れなくされると死んでしまう。この特徴がありますね。
これ、どうして胴体から頭が離れてしまうんでしょうか?
そもそも頭が離れなければ死なないんじゃないでしょうか?
どうしてそんなに体から離れたがるのか?ちょっと羽を伸ばしたい年ごろなのか?
そんな疑問点に首を傾げる筆者でした。
三国志ライター センのひとりごと
今回はちょっとホラーな回でしたね。とは言え、各地の伝承によってはかなり怖いタイプの飛頭蛮もいるようです。こういった伝記もある日突然湧いて出たということはなく、何らかの意味が有ってのことでしょう。そして呉の飛頭蛮に関して生まれた意味を考えてみるとよりコワイ所に行きつきましたが……
とにかく今日はこれにて!どぼん!
参考文献:呉書朱桓伝 呂蒙伝 捜神記
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