創作じゃないの!?
ここで「于吉って架空人物じゃないの!?」と驚いた人もいることでしょう。実は陳寿の書いた三国志には出てこないものの、裴松之の書いた注釈で「江表伝」「志林」「捜神記」からの逸話が乗っており、そこに于吉の名が載せられているのです。
史料ごとに話はやや違いがあるものの、孫策に処刑されたのは一致しており、三国志演義ではこれを踏まえて于吉を描いたと思われます。ともあれ、怪異伝記の捜神記に于吉も飛頭蛮ものっているとなると何か深い繋がり……は特にはないとは思いますが、何だか面白くないですか?
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飛頭蛮の小話
因みに飛頭蛮さんに関してもう少し。この飛頭蛮さん「南征に赴いた大将たちは度々落頭民を得ることがあった」とかとんでもないことが書かれています。
つまり呉の武将たちの間ではこの飛頭蛮さんを良く雇い入れたことがあったということ……ええ……?(困惑)更にいうとこの飛頭蛮の胴体に銅鑼を乗せてみた所、飛頭蛮の頭は胴体に戻れないまま死んでしまったとも言われる逸話があります。
ここで思いだして欲しいのが朱桓だけでなく苛烈な性格をした呉の武将たちのこと。度々仲間内で喧嘩して刃傷沙汰は珍しくもない彼ら。もしかして「やってしまったこと」を「飛頭蛮だった」としたのでは……?
そんなホラーよりもっとコワイお話を思いつきましたが、どうでしょうかね……?
こばなし『飛頭蛮の特徴』
更に更に、ちょっと筆者の疑問点を。飛頭蛮の特徴として、夜中に首が胴体から離れる。特に何か悪いことをしたわけではない。胴体に帰れなくされると死んでしまう。この特徴がありますね。
これ、どうして胴体から頭が離れてしまうんでしょうか?
そもそも頭が離れなければ死なないんじゃないでしょうか?
どうしてそんなに体から離れたがるのか?ちょっと羽を伸ばしたい年ごろなのか?
そんな疑問点に首を傾げる筆者でした。
三国志ライター センのひとりごと
今回はちょっとホラーな回でしたね。とは言え、各地の伝承によってはかなり怖いタイプの飛頭蛮もいるようです。こういった伝記もある日突然湧いて出たということはなく、何らかの意味が有ってのことでしょう。そして呉の飛頭蛮に関して生まれた意味を考えてみるとよりコワイ所に行きつきましたが……
とにかく今日はこれにて!どぼん!
参考文献:呉書朱桓伝 呂蒙伝 捜神記
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