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主人公の違い
因みに水滸伝の主人公、宋江と、三国志演義の主人公、劉備の性格は、似ているようで違いも見て取れます。宋江は名声があり、色々な場所で人に知られており、慕われているのですが、割とやることはえげつないことが多いです。
また武勇の才もなく、軍略の才もあるとは言えず、泣き言をいう場面も多く……と、不思議なくらいややマイナス面を強調された主人公として描かれてもいるのです。(一方で無欲な面も描かれてはいますが)ここは正史でも曹操から「英雄は君と僕だけだよ!(意訳)」と言われた劉備との違いが大きくでてますね。
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水滸伝の特徴
また水滸伝の特徴として、残酷な、残虐なシーンが多く出てくるというのもあります。人によってはこれらのシーンが受け付けないという人も多いでしょう。
これらの残虐な場面を悪役が行うならばまだ良い(あまり良くないかもしれない)のですが、主人公サイドでも行われるため、水滸伝を「英雄たちの物語」と言われると首を傾げてしまう……という人もいるかもしれませんね。
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108星
さてここで思い起こすのは水滸伝の始まり、天から封じられた魔星たちが各地に飛び出した瞬間。そう、主人公たちは天から追放され、地に封じられた魔星の生まれ変わりです。ので個人的には「英雄=正しいことをする人」という意識で見ると、水滸伝には強い違和感を覚えるのでは、と思います。
主人公たちは元々追放者です。そして封じられた魔星です。ではそんな彼らが「誰から見ても正しい行いをする存在」になれるか……というと、なれもするし、なれない者もいた、ということではないかと思います。
根から悪であっても正しいことはできるし、根から変わることはなかった者もいる。ただ正しい物語ではなく、そういう風刺の物語……として見ると、ちょっと水滸伝が変わって見えるのではないか、と思う筆者でした。
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三国志ライター センのひとりごと
こぼれ話ですが、カッコいい宋江を見たい方は横山先生の水滸伝を見ましょう。この宋江、態度はあくまで冷静かつ堂々として、武勇にも優れている、主人公らしい主人公として描かれています。
横山先生の水滸伝は実際の水滸伝とはかなり違う場面も多いのですが、入門としては読みやすく、面白さは折り紙付きです。興味のある方はぜひ一度、横山三国志と共によろしくお願いします。
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