さてタイトルのセリフから分かるかと思いますが、今回のメインは基本的に三国志演義のものとなります。三国志演義の周瑜のセリフであり、強烈な印象を残すのが
「天は周瑜を生みながら」
このセリフ、字面のインパクトは屈指と言っても良いでしょう。しかしもちろん、正史における周瑜にこのような言葉はありません。でもこのセリフ、実は周瑜にとって名言となった!?ここではそれを考えてみたいと思います。
この記事の目次
既生瑜、何生亮(天は周瑜を生みながら何故諸葛亮も生んだのか)
さて二度目になりますが、この周瑜の言葉はかなりのインパクトがありますね。三国志演義においても周瑜は強者の一人であり、その優れた才能は別格の人物……でもあるのですが、何とも皮肉なことに、それは諸葛亮の出番が来るまで……という印象。
その周瑜が自らもまた「別格」である存在、諸葛亮を知ってしまい、その命が尽きる前に慟哭した言葉。それこそが「既生瑜、何生亮」です。三国志演義のセリフ回しの極みの一つ、と言って良いと筆者は思います。
既生瑜、何生亮の後に続くシーンも実はえぐみ
因みに三国志演義では周瑜のこの言葉の後、盛大に吐血して周瑜は退場。ただでさえ三国志演義では周瑜の性格はいまいちというか、ちょっと難があるのに加えて諸葛亮の引き立て役に押さえられている上に、更にこの後の葬儀でも諸葛亮に……と書いた人(濁した言い方)は周瑜に怨みでもあるのか、と思うほど。魯迅もこれには「物語だとしてもやりすぎ」と言っているほどです。
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どうしてこのようなシーンが生まれるに至ったか
ではどうしてこんなシーンが生まれたかと言うと、基本的なこととは言え、三国志演義は蜀を主人公として描かれた物語であり、その中心人物である劉備、及び諸葛亮は完全超人……とばかりも言えないけれど。
ともかく諸葛亮の割を喰う形に周瑜はなっているんですね。
まあそのままの周瑜を出したとしても名家出身のイケメンで武勇に優れ頭脳明晰性格も良く忠義心に溢れて音感センスばっちりなイケメン(二回目)が出てくるので、逆にそのまま出すと諸葛亮が影が薄くなってしまいますから。こんなタイプを三国志演義の被害者(羅貫中先生の被害者)とも言われてしまうのはちょっと苦笑いポイント。しかし、本当にただ被害者、なだけでしょうか?
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周瑜という人物と、三国志
さあ周瑜という人物、三国志ではどんな人物かは凡庸な言葉の羅列ではありますが説明したばかり。加えて言うならば36歳という若さで途中退場、ということでしょうか。
そう、様々な見せ場も活躍もあるものの、三国志で周瑜の出番というのは短く、更に前半と言っても良い部分で退場してしまいます。また周瑜は稀代の名将でもありますが、同じく三国志の時代というのは様々な英雄が綺羅星の如く活躍しては流れ星、という時代でもあるのです。綺羅星の中に生まれた綺羅星、それが周瑜なのではないでしょうか。
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苦悩する存在、周瑜とそこへのスポットライト
この周瑜の「天は周瑜を生みながら」というシーン、様々な作品で再現がなされています。三国志を取り扱い、そこに周瑜と諸葛亮が出てくるなら出てきて当然とも言えるシーンの一つでしょう。そしてそこは間違いなく、名場面です。作品によってはやや周瑜の性格に難を感じるものの、それでも懸命に生き、それでも叶わず、であるがしかし、周瑜が慟哭するのは天を相手にして。ある種、ここで諸葛亮ではなく天へ叫ぶのは周瑜というキャラクターをどう扱うべきか、どんな人物像として見ているのか、注目するべきポイントだと思います。
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「三国志演義の周瑜というキャラクターへの注目
「既生瑜、何生亮」
敢えて漢文表記にしてみましたが、それでいて尚、字の流れが美しく文字だけでもその意味は伝わってきます。もしかしたらこれはあの時代に様々な武将たちが抱いていた言葉ではないでしょうか。相手が諸葛亮でなくとも、自分が周瑜でなくとも。歴史に残せなかった名前がどこかにあった。
それを三国志演義での周瑜というキャラクターで表現した……と思ってしまうような、そんな深みを周瑜に与えた言葉ではないかと思うのです。だとしたらやはり「天は周瑜を生みながら」はやっぱり、名言の一つなのかもしれませんね。
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三国志言ってみたいセリフランキーング!とかどうかな?
さあ最後で流れを思いっきり変えてみましょう。「天は周瑜を生みながら」というセリフ、哀しいセリフではあるものの実は一回言ってみたいセリフではありませんか!?こういうカッコいい言葉回し、三国志演義の良い所でもあると思います!皆さんはどんなセリフが好きですか?いずれまたアンケートなどでぜひ、思い入れのあるセリフを伺いたいですね。因みに筆者は「ここにいるぞ!」です!
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三国志ライター センのひとりごと
三国志演義の周瑜に偏ってしまいましたが、正史の周瑜は寿命以外はほぼ完璧超人、という人物です。逆を言うとできすぎていて面白くないから、三国志演義で人間味を増した……とも取れます。それはそれとしてここまで周瑜をいじめなくてもいいだろー、とか思ってしまう分、もしかして中途半端に引き立て役にするよりも、印象は良かったのかな?なんて思った筆者でした。
中々バランスが難しいな、なんて。羅貫中先生も悩んでいたのかもしれませんね。どぼん。
参考:三国志演義
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