皆さんは、孫悟空(そんごくう)と聞いて、何を連想しますか?
40歳代から下だと、ドラゴンボールや、カメハメ波を連想するかも知れません。
実際の孫悟空は、石から生まれた石猿であり、中国四大奇書、西遊記の登場人物です。
では、ドラゴンボールにも負けない、元祖、孫悟空のハチャメチャなキャラクターを
ここで紹介しておきましょう。
この記事の目次
元は、石から生まれた石の猿 孫悟空
孫悟空は、昔々、この世界とはパラレルワールドの関係の
東勝神州(とうしょうしんしゅう)の傲来国(ごうらいこく)という国の
沖合に浮かぶ、火山島、花果山(かかざん)にある。
この世の始まりからあると言われる不思議な仙石(せんごく)から
吐き出された石の卵から誕生しました。
この石猿は、やがて、花果山に住みつく猿の群れがいる所へ行きます。
猿達は、川の水源を見つけた者を王にすると話し合っていました。
それを聞いた石猿は、「俺に任せておけ」と勇気を奮って、
滝つぼに飛び込み、水源と水簾洞(すいれんどう)という住処を発見します。
猿達は、その勇気に恐れ入り、約束通り石猿を王にしました。
石猿は、美猴(びこう)王と名乗り、猿山のボスとして君臨します。
因みに、美猴とは、美しい猿という意味です、ウキッ!
人生に空しさを感じた石猿は仙人に弟子入りする
しばらくは、水簾洞で遊び暮らした石猿ですが、
年老いたり病気になった猿が亡くなっていくのを
何ともいえない気持ちで見ていました。
石猿「なぁ?俺もいつかは死ぬのか、つまんねェ、
死なないで済む方法ってのは、何かねえのか?」
部下の猿に聞いてみると、この世界には仙人というのがいて
不老不死の術を知っているという事が分かりました。
石猿は喜び勇んで、水簾洞の猿達に別れを告げ、仙人を探して旅立ちます。
そこから、山という山を歩いて探す事、10年、石猿はようやく、
西午賀州(せいごがしゅう)に住む須菩提祖師(すぼだいそし)という仙人を
見つけ出して弟子入りします。
須菩提祖師は、石猿を弟子にする事を認め、姓名を持たないという石猿に、
孫という姓と悟空という法名を与えました。
こうして、石猿は晴れて、孫悟空という名前を得たのです。
孫悟空、術を見せびらかし、破門される
須菩提祖師の弟子になった、孫悟空は、メキメキと腕前を上げ、
7年で、兄弟子をさしおいて、不老不死の妙道を体得すると
さらに、3年後に、七十二の姿に化けられる術を自力でマスターします。
これに加えて、ひとっ飛びで十万八千里(60500㎞:地球一周半)を
行く事が出来る筋斗雲(きんとうん)の術まで体得してしまいます。
これで調子に乗った、孫悟空は兄弟弟子に術をみせびらかし、
それを知った須菩提祖師は激怒します。
祖師「馬鹿者、お前に術を教えたのは、人に自慢して見せる為ではないぞ
この、あさはか猿めが、貴様は破門じゃ」
こうして、破門された孫悟空は、教わる事は教わった、これ幸いと
さっさと、アジトの水簾洞に帰ります。
混世魔王を退治して、花果山を武装集団にする
久しぶりに花果山に戻ると、山は荒れ果てていました。
生き残りの猿を掴まえて事情を聴くと、混世魔王(こんせいまおう)という妖怪が、
ボスとして治まり、猿をコキ使っているという話です。
悟空「何が混世魔王だ!俺様の縄張りを侵すヤツは、許しちゃおかねぇ」
孫悟空は、水簾洞に乗り込み、身外身(しんがいしん)の術を使います。
これは、悟空が髪を抜いて、息を吹きかけると、無数の分身が出現する
という中々、派手な術です。
混世魔王は、術に気を取られている間に、本物の悟空に刀を奪われ、
背中から斬り裂かれて絶命しました。
悟空「油断も隙もあったもんじゃねえ、こりゃあ花果山も武装して、
妖怪の襲撃に備えないといけねえなぁ」
悟空は、傲来国に出かけると部下の猿用に大量の武器盗みだし、
猿達に軍事訓練を施し、花果山を独立国のようにします。
孫悟空、、竜宮から如意金箍棒をゲット
さて、部下の猿の武器は揃えたものの、自分の武器がない事に
孫悟空は気が付きました。かと言って、そんじょそこらの武器では、
悟空のプライドが許さないのです。
悟空「この世で最強の武器でないと俺様は満足しないぞ。
どこかに、そんな俺様用の武器はないか?」
そこで、孫悟空が色々調べていると、
東海竜王(とうかいりゅうおう)敖廣(ごうこう)が
色々な武器を保有しているのが分かります。
悟空は、デカイ態度で、海底の竜宮まで行き、無理矢理に武器を
出させて、色々試しますが、どれも軽くて満足しません。
そこで、敖廣の妻が、
「そんなに重い武器が欲しいなら、大昔、海底を均すのに使った、
あの如意金箍棒をくれてやったらいいよ」
と耳うちしたので敖廣は、悟空に元々は、海底をならすのに使った
重りである重さ8トンの如意金箍棒(にょい・きんこぼう)を与えます。
悟空「おおーっ!重いなぁ、しっくり手に馴染むじゃねーか。
気に入った、竜王、これもらっていくぜ」
こうして、孫悟空は元は武器ではない如意棒を武器にするのです。
如意棒は、伸縮自在で、宮殿の柱のような太さにもなれば、
耳の穴に入る程に小さくもなり、伸ばせば、
宇宙の果て、地獄の底に届く程の長さになるという超金属、
神珍鐵(しんちんてつ)で出来ていました。
孫悟空死す しかし閻魔帳の寿命を墨で消し、不老不死になる
悟空の声明は高まり、牛魔王(ぎゅうまおう)のような六大魔王と義兄弟になります。
ある日の事、悟空は妖怪仲間と宴会をして酔い潰れて寝ていると、
冥界からの使者が来て、悟空の魂を抜き取ります。
冥界についた悟空は、激怒します。
悟空「お前ら、俺様を誰だと思っている、畏れ多くも、須菩提祖師に
不老不死の術を習った、孫悟空様だ、こんなにあっさり死ぬものか!」
そうして、冥界で大暴れするので、閻魔(えんま)大王は、
閻魔帳を持って来させます。
「落ち着け、ほれ、ここに孫悟空、寿命342歳とあるだろう」
閻魔帳を見せられた悟空は、これ幸いと奪い取り、自分の名前と
寿命を墨で塗りつぶし、ついでに部下の猿の名前も消しました。
もう、自分勝手で滅茶苦茶です。
悟空「どうだあ!!これで、俺には寿命はねえ!!帰らせてもらうぜ」
孫悟空は、閻魔大王と冥界十王を殴りつけると、自力でこの世に戻ります。
不老不死の孫悟空、天界に危険視される
勝手に生死の理を変えた、孫悟空に天界は強い危機感を抱きました。
天帝は、生意気な猿め!と討伐しようとしますが、事を荒立てず、天界で
つまらない仕事を与えて懐柔しましょうという重臣の意見を聞き、
孫悟空を天界に招聘(しょうへい)します。
自分を認めて欲しいという承認欲求に飢えていた悟空は、招聘に飛び付きますが
任された仕事は、馬小屋の番人というつまらない仕事でした。
これにキレた悟空は、半月程で天界を脱走して、地上に戻ります。
地上では、自分達のボスが天界から戻ったと、猿達が大騒ぎで、
周囲の妖怪も、孫悟空を褒めそやします。
元々、調子に乗りやすい、悟空は最低のポストを与えられた屈辱など
忘れてしまい有頂天です。
悟空「けっ!天界がなんでぇ、官職なんか無くたって俺は天下一だ!
そうだ、俺は今から、斉天大聖(せいてん・たいせい)と名乗るぞ」
天帝に喧嘩を売った悟空、全面戦争に
斉天大聖とは、天に等しいという意味です。
つまり、天帝と俺は対等だと悟空はビッグマウスをかましたのです。
これに天帝は激怒して、軍を派遣します。
こうして托塔李天王(たくとう・りてんのう)を大将にし、
封神演義で有名な哪吒太子(なた・たいし)を武将とする軍が送りこまれますが、
何しろ、孫悟空は、体が金剛石(こんごうせき:ダイヤモンド)で出来ている上に、
生き物ではないので疲れるという事がありません。
しかも、体得した無数の術を使うので、天帝軍は歯が立たず、
逃げ帰ってしまいました。
悟空「かーっ!大したことねェ連中だww あんなもんで天帝の軍か?
いや、もしや、俺が強過ぎるだけか、あっはっは!!」
報告を聞いた天帝は恐れ、悟空が天界に攻めてこない間に、機嫌を取ろうと考え、
斉天大聖という役職を新設するから、また天界に登って欲しいと言います。
悟空、天界で乱暴狼藉をして再び、天界と大戦争
悟空「何?俺の望みの通りのポストを用意する、、いいとも、
じゃあ、天界に行ってやるよ」
カッとしやすいが、コロッと忘れるのも早い悟空は機嫌を直し、
また、天界に登ります、新設された斉天大聖は、地位は高いですが、
仕事は何もありませんでした。
悟空は単純猿なので、深く考えず、しばらくは威張り散らして歩いていましたが、
あまりにもヒマなので、飽きてしまいます。
悟空「やい!何か仕事寄こせ!退屈で死にそうだ」
それではというので、天界は、蟠桃園(ばんとうえん)という
仙人が食する、一個食べると5000年寿命が延びる果樹園の番人を任せます。
悟空は、桃を食べると寿命が延びると聞いて、その桃を喰い散らかし、
さらに、仙人が集まる宴会に呼ばれもしないのに勝手に強引に参加します。
そして極上の食事と酒を楽しみ、酩酊状態で天界をウロウロして、
偶々通りかかった、太上老君(たいじょうろうくん:老子)の宮殿に侵入し、
太上老君が造った、不老不死の仙薬、金丹(きんたん)を全て食べてしまいます。
悟空は、酔いが醒めてから、とんでもない事をした事に気が付き、
捕まる前に、さっさと地上に戻っていました。
悟空の乱暴狼藉の報告を聞いた、天帝は激怒します。
天帝「あの猿め、今度という今度はもう許さん、殺してくれる!!」
こうして、10万という天帝軍を派遣します、これに対して悟空は、
地上の七十二の魔王を集めて、妖怪連合軍を結成して対抗、
中華版のハルマゲドンが勃発します。
天帝軍は、七十二の魔王を撃ち破りますが、悟空は、無尽蔵のエネルギーで
闘い続け、再び哪吒太子を撃破、持国天(じこくてん)、増長天(ぞうちょうてん)
多聞天(たもんてん)、広目天(こうもくてん)の四天王も
悟空の無限の体力に勝てず、敗れてしまいます。
顕聖二郎真君、とうとう悟空を捕える
悟空「どおしたぁ!もう終わりか、てめえらァァ!!」
嬉々として天界の軍団を追い散らす、悟空に恐れを抱いた、
恵岸(けいがん)という人物は、観音菩薩(かんのん・ぼさつ)に救いを求めます。
そこで、観音菩薩は、顕聖二郎真君(けんせい・じろう・しんくん)を
援軍に派遣します、彼も、封神演義で人気が高い人物です。
顕聖二郎真君は、六名の手下と、哮天犬(こうてんけん)や鷹を引きつれて、
花果山に攻め込み悟空と三百合撃ち合います。
勝負は互角でしたが、二郎真君の手下が悟空の手下の猿を追い散らしたので、
形勢不利と見た悟空は変化の術で雀に化けて逃げようとします。
二郎真君も変化の術で、それを追い、悟空は逃げて逃げまくりますが、
最後には、土地神の祠(ほこら)に化けた所を、尻尾を隠し忘れて見破られます。
さらに逃げようとする所を、天界から、太上老君の投げた
金剛琢(こんごうたく)が悟空の脳天に直撃します。
悟空が脳しんとうを起して、ふらふらしている所を、
哮天犬が足に噛みつき、追いついた次郎真君と、六兄弟が、
悟空の武器を取り上げて、ついに縛りあげる事に成功しました。
天帝、ガクブル、、どうやっても死なない悟空
ようやく捕えた悟空を、天帝は斬妖台(ざんようだい)という処刑台に据えて、
八つ裂きにしようとしますが、金剛石の悟空には、どんな刃物も
刃が立ちません。
それではというので、火あぶりにしても、
熱い、熱いと絶叫するだけで毛さえも焦げませんでした。
そこで、太上老君が保有する八卦炉(はっか・ろ)に押しこんで、
悟空を溶かしてしまおうと考えますが、悟空は燻(いぶ)されて
目が赤くなっただけでまったく溶けません。
悟空「ウキーッ!!この野郎!幾らオイラが罪人でも人権、
いや猿権位あるぞ!!無駄に苦しめやがって、残酷刑はんたーい!!」
悟空は苦しいので、八卦炉を飛び出し、再び大暴れを開始します。
殺しても死なない、悟空に天帝は恐怖し、何とかして下さいと、
天竺の雷遠寺(らいおんじ)にいる、釈迦如来(しゃか・にょらい)に助けを求めます。
釈迦は、悟空と賭けをし、負けた悟空は・・
悟空が大暴れしていると、そこに釈迦如来がやってきます。
釈迦「これ、そこの猿、この世で一番強いとうぬぼれているのは、お前か?」
悟空「おうよ!自惚れじゃねえ、俺様が一番強い、見ての通りよ!」
悟空は滅茶苦茶にした、天界の有様を見せて胸を張ります。
釈迦「それでは、私と賭けをしてみないか、、
お前がこの世の果てまで行く事が出来たら、
その時は、何でもお前の言う事を聞こう。
しかし、出来なかったら、私の言う通りにせよ」
悟空「へっ、、この世の果てだと、簡単、簡単、今からひとっ飛びだ」
悟空は、筋斗雲を呼びだすと、地の果てに向かって飛び出しました。
ひとっ飛びで十万八千里を行く、筋斗雲は、瞬く間に、この世の果てにある
壁に到着します。
悟空は、ここに来た証拠に、朱墨で斉天大聖参上と書いて、
再び、筋斗雲で、釈迦の所に戻ってきました。
悟空「さあ!言う通りに、この世の果てまで行ってきたぜ!
そうだな、さしあたり、俺様を天帝にでもしてもらおうか?」
すると、釈迦は、静かに笑います。
「愚かな猿め、、お前はこの世の果てどころか、
私の手の平からさえ、出てはいないぞ」
釈迦が右手を差し出すと、その中指の先端に何やら文字があります。
それは、斉天大聖参上という悟空がこの世の果てで書いたと思っていた
文字でした。
悟空「嘘だ!オイラはちゃんと、筋斗雲で・・」
釈迦は、どんどん大きくなると、悟空を捕まえて、地上に叩き落とし
その上から、沢山の岩を落しました。
悟空は、もがいて、岩をどけようとしますが、最後に悟空の力を封じる
お札が降ってきて、岩に張り付き、悟空は力を失い岩山に閉じ込められます。
釈迦は、悟空に三蔵法師(さんぞうほうし)の供をするように言いつける
悟空「この野郎、釈迦!変な術を使いやがって、お札を剥がせ、
力で勝負しろ、卑怯者っ!!」
悟空は体の自由を奪われ、泣きわめきますが、どうにもなりません。
釈迦「悟空よ、お前は、この世の全てが力で解決するという
思い上がった考えで、沢山の人々に迷惑を掛けました。
その罪は償わないといけません、だが、同時にお前には、素直な心と
人の役に立ちたいという殊勝な志もあります。
今から、五百年後、お前の前を三蔵という若い法師が通ります。
お前は、その三蔵の供をして、大事な仕事を助けるのです」
こうして、手のつけられない暴れ者、孫悟空は五行山という、
山に封じ込められ、三蔵法師がやってくるのを、今か、今かと
待つ事になったのです。
西遊記ライター kawausoの独り事
さあ、いよいよ、始まった、はじめての西遊記、
スーパースター孫悟空は、三蔵と旅をする前には、こんな暴れ者だったんだね。
次回の話は、どうなるのかな?続きは次回のお楽しみ、カチカチカチ
時代を超えて愛される中国四大奇書「はじめての西遊記」