曹丕(そうひ)は皇室の力を盤石にする一方で、国内の政治を安定にさせるように努めます。彼は敵討ちなどを禁止して、社会の倫理や秩序を維持する法律を制定。また他人を蹴落とすための密告が天下に流行っておりましたが、曹丕は密告を行う事そのものを禁止する法律を天下に布告します。
この密告制度の禁止は例外もあり、国家を転覆させる反逆罪などが行われそうな場合はすぐに密告するようにと指示を与えております。そして父・曹操(そうそう)と同じく彼も民衆に対して邪教を禁止させ、刑罰の軽減を布告するなど様々な政策を行い社会秩序の安定を図ります。
この記事の目次
新たな人材登用法を制定する
曹丕は国内の政治の安定に力を尽くしていく一方で、新しい人材登用法を採用します。この人材登用法を考えたのは曹丕ではなく、魏の臣下である陳羣(ちんぐん)という文官が考えた人材登用方法です。この登用方法は完了を一品~九品に分けて制定します。
新たな人材登用法の内容とは
そして郡ごとに人材を採用する採用官を置き、この採用官が郡における優秀な人物達に一品~九品までの評価を与えた後、官へ仕えさせます。評価を貰って官に仕える事になる人物は、評価から四階級落とした官位を貰って務める事になります。一例として採用前に最高の点数である一品の位を貰って官へ仕える事になります。官位を貰う際には四階級落とした官位がもらえますので、一品の評価を貰った人物は五品の役職を貰う事になります。
またこの採用方法は一品~九品までの点数を貰った後に官へ仕える事になりますが、最大で登れる官位は最初に貰った点数までと決まっております。先ほどの例で言いますと一品の評価を貰った人物は、最終的に一品の官位にしか上る事ができません。この人材登用法を陳羣は曹丕に提案すると彼は大いにこの採用法を褒めて、この人材登用法を「九品官人法(きゅうひんかんじんほう)」と名付け、曹操が亡くなるとすぐにこの登用法を法律に組み込んでいきます。
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なぜ曹丕は新しい人材登用法を制定したのか
曹丕はなぜこの人材登用方法を取り入れる事にしたのでしょうか。その原因は漢王朝の人材登用法では優秀な人材が集まってこない可能性が、あった事に起因しております。漢の人材登用方法は地方豪族たちが力を持っていたこともあり、彼らの息のかかった人物のみが官僚として推挙されておりました。
この中には優秀な人物もおりましたが、大半は豪族達が朝廷での人脈を広げる為の人材を官僚として送り込んでいた為、優秀な人材があんまりいませんでした。そのため陳羣はこの漢王朝の人材登用方法を見直し、実力を持った人材が朝廷に仕えられるようにすることで、国家の力を向上させようと考えた結果、この人材登用方法が生まれる事になります。このように新たな人材登用方法や法律などを制定した結果、魏の国は大いに社会が安定することになり、国の力は他の二国を圧倒するほどの力を蓄える事になります。
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呉の降伏を受け入れるも…
こうして曹丕は様々な政策を制定し、魏の国内の安定に大いに貢献します。しかし戦においてはあまり活躍することはできませんでした。劉備は呉の裏切りによって荊州が奪われた事と関羽が亡くなった事に激怒し、孫権討伐へ出陣します。
孫権は劉備が出陣してくると魏に使者を送って「呉は魏に降伏します。降伏したので攻撃しないようにお願いします。」と使者を送ります。魏の群臣達は「孫権の降伏は蜀に攻撃を受けている間だけのもので、この機に乗じて呉へ攻撃を仕掛けるべきだ」と進言します。すると曹丕は「いや。降伏を希望して来る者を受け入れる事を拒否すれば、今後魏へ降伏してくる者がいなくなるだろう。そのため今回、私は呉の降伏を受け入れる」と群臣の反対を押し切って呉の降伏を受け入れます。
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孫呉が独立する
曹丕は呉が降伏した事で、孫権へ「君の所の息子を見たいから、魏の都に連れてきてくれないか。」と使者を送ります。すると孫権は「いや。私の跡取りだからです。それはできません。」と断ります。曹丕はめげずに何度も使者を送りますが、孫権は曹丕の申し出をすべて断った挙句、蜀と同盟を再度結び、魏から独立を果たします。曹丕は大いに激怒し、孫権討伐へ自ら出陣します。
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