197年のことです。曹操(そうそう)は袁術討伐に出かけましたが、飢饉のために兵糧不足に悩まされます。
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兵糧不足に曹操が取った行動が...
ろくに食べ物にありつけない兵士たちは、どんどん士気が下がり不満も溜まっていきました。このままではまずいと思った曹操はなんと、こんなことを言いだします。
「食料長が食べ物を横流ししたからだ!」
そしてバッサリと食料長を斬ってしまいます。かわいそうですね……。
兵士の気持ちはすっきりしたでしょうが、だからといって食料が戻ってくるわけでもありません。曹操はそこで、短期決戦で勝負をつけるぞ、と兵士を鼓舞し猛攻撃の末に袁術との戦いに勝利するのです。曹操は戦において、こんな奇策ともいえる権謀術数をいくつも考え出します。
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近くに梅林があるぞ
曹操軍が、行軍中に水不足に悩まされたときのことです。
曹操は「近くに梅林があるぞ!」
と兵士たちを励ましました。兵士たちは、なんだか口の中が酸っぱくなってきて、喉の渇きを忘れたといいます。みんな大丈夫ですか……?だまされていますよ。
あいつが升を小さくした
これまた行軍中に食糧不足に陥った曹操は、食料担当者を呼び、なにかよい策はないかと尋ねます。担当者は曹操の機嫌をうかがってびくびくしながら升を小さくすれば、少ない兵糧も長持ちするのでは、と答えます。なるほどそれはいい、と曹操は採用しましたが、兵士たちにはすぐに気づかれてしまいました。
すると曹操は担当者を呼び出し、
「あいつが升を小さくして、食料を盗んだんだぞ」といい、兵士たちの目の前で首を斬り落としてしまい、さらにはさらし首にしたのです。曹操軍の食料担当になんて、なるものではありません。
罪は大将には及ばない
行軍中、一面の麦畑に差し掛かりました。「大切な麦を踏んだものは、死罪に処す」と曹操は厳命したので、兵たちは馬を降り、麦を踏まないように進みました。ところが、曹操の馬が、何かの拍子に麦畑に突っ込んでしまいました。曹操は「俺の罪はどうなる?」と軍師に尋ねます。聞かれた軍師も命がけですよ、この恐ろしい質問は。
軍師は答えます。
「『春秋(しゅんじゅう)』によれば、罪は大将には及ばないそうです」
答えに満足した曹操は、
「そうだよな。でもまあ、示しがつかないし、これでいい?」と、自らの剣で髪を斬り落としたといいます。
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