
物語の最初の敵として、嬴政から王座を奪った王弟・成蟜。平民を見下し、兄を憎み、読者からもすっかり嫌われ役。それが30巻あまり先では、兄を支えるために命を落とすのですから、分からないものです。
2017年2月の初版は、史書の成蟜を中心に書いていました。今回は作中の成蟜の歩みを軸に、中身を入れ替えています。反乱を起こした成蟜が、なぜ嬴政の味方になり、屯留でどんな最期を迎えたのか。史書の成蟜が一行で終わっていることもあわせて見ていきます。
※この記事は2026年10月時点の内容です。原作35巻までの展開と、成蟜の最期に触れています。
この記事の目次
結論:成蟜は嬴政の異母弟。最初の敵から味方になり、屯留で命を落とす
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み | せいきょう |
| 立場 | 秦王・嬴政の異母弟。王族の母を持つ |
| 最初の反乱 | 1〜5巻。丞相の竭氏と組んで嬴政を王都から追い出すが、王都を取り戻されて敗れる |
| その後 | 呂不韋と争う嬴政の側に加わる |
| 最期 | 34〜35巻の屯留の反乱。35巻 第377話「剣と盾」 |
| 妻 | 瑠衣 |
| アニメ | 声は宮田幸季さん。最期は4期の第5話「剣と盾」 |
| 史実 | 『史記』に「王弟長安君成蟜」として、始皇八年(紀元前239年)に趙を攻めて背き、屯留で死んだとある |
巻の範囲はWikipedia「キングダム (漫画)」のあらすじの章立て、話の番号と題は集英社の単行本の目次によります。
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成蟜はどんな人物?兄を憎んだ王弟
成蟜は、嬴政の異母弟です。母が王族の出である成蟜は、生まれながらに次の王と持ち上げられて育ちました。そこへ、母が平民の出である兄・嬴政が王位に就きます。
成蟜にとって、これ以上の屈辱はありません。王族の血を何より重く見て、平民を人とも思わない態度。初登場のころの成蟜は、その考えを隠そうともしない人物、という描かれ方。
1巻から5巻では、丞相の竭氏と手を組んで反乱を起こし、嬴政を王都・咸陽から追い出します。嬴政は、信や昌文君、山の民の楊端和の力を借りて王都に戻り、成蟜の反乱は失敗に終わります。
追い詰められた成蟜を、最後まで守ろうとする部下は、ほとんどいない有様でした。部下に慕われない王族。のちの成蟜を知っていると、ここが出発点だったことに少し驚きます。
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敵から味方へ:成蟜が嬴政の側についた理由
反乱のあと、成蟜はしばらく表舞台から姿を消すことに。再び出てくるのは、嬴政が丞相の呂不韋と国の実権を争うようになってからです。
呂不韋の力は大きく、嬴政の側だけでは太刀打ちできませんでした。そこで嬴政は、成蟜とその一派を解き放ち、呂不韋と戦う力として迎え入れます。呂不韋が力を伸ばせば、王族そのものが脇に追いやられる。その一点では、成蟜も嬴政と同じ側に立っていた、と見ることができます。
味方になってからの成蟜は、口の悪さはそのままに、嬴政を支える王族として動きます。かつて兄を見下していた弟が、同じ相手に向かって並んで立つ。兄弟げんかの末に、共通の厄介なご近所さんが現れて手を組んだような、なんとも不思議な関係です。
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成蟜の最期は何巻何話?屯留の反乱と瑠衣
成蟜の最期は、34〜35巻で描かれる屯留の反乱です。
| 巻・話 | 出来事 |
|---|---|
| 34巻 第370〜371話 | 趙の軍が屯留に迫り、成蟜は妻・瑠衣のいる屯留を救うため出陣して趙軍を退ける。ところが、呂不韋の後ろ盾を得た屯留の代官・蒲鶮に捕らえられ、成蟜の名で反乱を起こされる |
| 35巻 第372話「討伐軍出陣」 | 壁の率いる討伐軍が屯留に向かい、飛信隊も加わる |
| 35巻 第375話「脱獄」 | 成蟜が牢を破り、瑠衣を救い出そうとする |
| 35巻 第377話「剣と盾」 | 瑠衣を逃がしたあと、反乱兵との戦いで深手を負いながら、蒲鶮を討つ。戻ってきた瑠衣に嬴政を支えるよう頼み、信に兄を託して息を引き取る |
話の題は集英社の単行本の目次、中身はWikipedia「キングダム (漫画)」のあらすじ「成蟜の乱」の節によります。
反乱を起こした弟が、最後は反乱の濡れ衣を着せられて死ぬ。1巻の成蟜を知っている人ほど、この巡り合わせは重く響きます。
瑠衣に向けた最後の言葉は、初めて会ったときからずっと惚れていた、という告白でした。ここは、何度読んでも胸が詰まる場面。
アニメでは、4期の第5話「剣と盾」がこの最期にあたります。
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史実の成蟜:『史記』に残る一行
史書の成蟜は、とても短く書かれています。『史記』秦始皇本紀の始皇八年(紀元前239年)の記事です。
王弟の長安君成蟜が将軍として趙を攻め、背いて屯留で死に、軍の役人はみな斬られ、屯留の民は臨洮へ移された、と。
成蟜が死んだ場所は、作中と同じ屯留です。ただ、史書では成蟜自身が背いたことになっていて、作中のように他人に濡れ衣を着せられたとは書かれていません。なぜ背いたのか、そこに何があったのかも、記事には出てきません。
同じ記事には、続けて「将軍壁死す」という言葉もあります。作中で屯留の討伐軍を率いる壁と同じ名前です。どういう出来事を指すのかは読み方が分かれていて、この一行だけで壁の最期と決めることはできません。
一行しかない成蟜の死を、原先生は、兄を憎んだ弟が兄のために死ぬ物語に作り変えました。史書の余白をここまで使い切った人物は、作中でもそう多くないと思います。
キングダムの成蟜のよくある質問
成蟜は何話で死にますか?
35巻の第377話「剣と盾」です。屯留の反乱の中で、深手を負いながら蒲鶮を討ち、そのあと命を落とします。
成蟜の最期はアニメの何期何話ですか?
4期の第5話「剣と盾」です。
成蟜の妻は誰ですか?
瑠衣です。屯留の反乱は、成蟜が瑠衣のいる屯留を救いに向かったところから始まります。
成蟜は史実に実在しますか?
実在します。『史記』秦始皇本紀に「王弟長安君成蟜」として、紀元前239年に屯留で死んだと書かれています。
キングダムウォッチャーkawausoの独り言
2017年の初版では、『史記』の一行の向こうにある成蟜の反乱の理由を、あれこれ想像していました。趙にそそのかされた説や、実は死なずに趙へ逃れた説などです。
作中の成蟜が出した答えは、そのどれとも違うもの。反乱を起こしたのは成蟜ではなく、成蟜の名を使った者たちだった、という答えです。史書の一行を裏返して、悪役だった王弟に名誉を返した。そう読むと、屯留の場面がいっそう印象に残ります。






