孔子廟と並んで、中国や台湾では関帝廟がたくさんあります。日本にも、函館、横浜、神戸などにあり、常に賑わいを見せています。関帝廟に祀られている神様の名前は、「関聖帝君」。この名前は、関羽雲長が、神格化されて追贈されたものです。
関帝廟のご利益
・商売繁盛
・入試合格
・家内安全
・学問
などと言われています。
関羽なのに!?と驚かれる方も多いことでしょう。
確かに関羽はたいへん高名な武将で、義理や信義にも厚く、信仰の対象となることにはなにも疑問はありません。孔明と渡り合えるほどの頭脳を持つ関羽は、学問の神というのはいいでしょう。必勝祈願ということで、入試の合格もうなずけます。しかし、なぜに商売繁盛?なぜに家内安全?
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商売繁盛について考える
関羽はもともと塩の密売人であったという民間伝承があります。そこで、商売の神様にされたのではないかと考えられているそうです。本当でしょうか?ここで少し、汜水関の戦いを思い出してみましょう。
関羽と酒
董卓軍の猛将、華雄の強さに、袁紹をはじめとした連合軍は手も足も出ない状態となります。そこへ名乗り出た関羽は、酒がまだ温かいうちに、華雄の首をとって帰ってきます。
このエピソードです!それに加えて、関羽と言えば、赤ら顔。お酒のイメージにぴったりです。酒屋はこぞって、人気の武将である関羽を店の看板に掲げました。ここから、商売繁盛の由来となり、商売の神様として、崇拝の対象となっていったのです。
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家内安全について考える
関羽に家庭的なイメージが浮かばないのは、私だけでしょうか。『正史』では、実子とされる関平も、『三国志演義』では養子となっているため、関羽には妻がいたのかどうかさえわかりません。そんな彼が家内安全。とすると、思い出すエピソードは一つです。
200年、小沛を治めていた劉備のもとへ、曹操軍が攻め込んできたとき、妻子を置き去りにして逃げた劉備の代わりに、関羽は夫人を連れて曹操に投降し、劉備の夫人を守り抜きました。身を挺して人さまの家庭を守ってくれたわけです。まさに、家内安全ですね。
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