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英雄たちの武器~青龍偃月刀と蛇矛を徹底分析

2015年1月7日


 

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三国志 武具 軍備

 

三国志演義』を始めとする三国志の物語には、さまざまな武器が登場します。

 

強くなる関羽

 

中でも有名なのが、関羽雲長の使う青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)と、

その義弟、張飛翼徳(正史では益徳)の持つ蛇矛(じゃぼう)でしょう。

 

『三国志時代の軍備・軍事ってどんなのがあるの?』の記事にも取り上げられていますが、この二つの武器は正史の記録には残されていません。

それもその筈、青龍偃月刀は宋代に、蛇矛はそれより更に後の明代に成立した武器だからです。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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明代に作られた三国志演義、民衆に馴染み深い武器を使用した

羅貫中

 

羅貫中が三国志に関する民間説話をまとめ『三国志演義』を書いたのが明代であることを考えると、当時の民衆に馴染み深い武器を登場させることで、

読者にストーリー上に登場する英雄たちをより想像しやすくする狙いがあったのかもしれません。

 

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青龍偃月刀についてもっと詳しく

関羽 神様

 

青龍偃月刀は長柄に幅広の湾曲した刃をつけた武器です。

『三国志演義』によれば、関羽の青龍偃月刀は彼が劉備玄徳と共に挙兵する際、

鍛冶屋に作らせたもので八十二斤(きん)あったとされています。

 

はじめてのプロ野球 関羽

 

これは後漢末の度量衡に合わせて計算すると約18kg、『三国志演義』が成立した明代では50kg程度に相当します。

関羽の豪傑ぶりを象徴する武器であったことを考えると、

後者の重さを意味したとみるのが妥当でしょう。

 

青龍偃月刀の刃が冷気を帯びた理由

 

鍛冶屋がこの青龍偃月刀を鍛える際、青龍が乗り移ったとする伝承もあります。その為、この青龍偃月刀の刃は冷気を帯びたとも言われ、“冷艶鋸(れいえんきょ)”と号されるようになったということです。なお、一般的に中国の曲刀を『青龍刀』と呼ぶことがありますが、これは間違って広まったもので、正しくは『柳葉刀』と言い、青龍偃月刀とはまったく別のものです。

 

蛇矛はヘビのように波打った刃先

セイリュウ刀と蛇矛

 

蛇矛は、その名が示すようにヘビのように波打った刃先を持つ矛のことです。『三国志演義』の劇中では呉の武将である程普もこの蛇矛を使っていますが、

有名なのは張飛の用いた長さ『一丈八尺の蛇矛』でしょう。“一丈八尺”は長さの単位で、現代の単位に置き換えると4.4メートルに相当します。

 

ヘビのような波打つ刃先にしている理由

張飛益徳参上

 

特徴的なヘビを思わせる波打つ刃先は武器として、単にデザイン以上の意味を持っています。

このような形状の刃は、真っ直ぐなものに比べて傷口を広げ、より重大なダメージを相手に与えることが可能となるのです。

 

西洋・東南アジアにも蛇矛と同じような武器は存在する

 

西洋には蛇矛と同じように波打つ刃を持つフランベルジェと呼ばれる剣が存在します。また、インドネシアを中心とする東南アジアにもクリスという波打つ刀身を持つ短剣があります。

 

水滸伝でも青龍偃月刀、蛇矛が使われている

水滸伝

 

『三国志演義』と並んで『中国三大奇書』の一作とされる小説『水滸伝(すいこでん)』には、

関羽の子孫とされる関勝(かんしょう)という人物が登場しますが、その関勝が用いる武器もまた、青龍偃月刀とされています。

 

林冲

 

また、同じ作品に登場する林沖(りんちゅう)は張飛に倣い、蛇矛を使っています。

これらの武器は、時代を越えて関羽と張飛、二人の武将を象徴するステータスシンボルということができるでしょう。

 

 

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