某、五輪エンブレムを始めとして、いわゆるコピー、盗作、パクリは、
健全な創作意欲を阻害してしまう許されざる行為です。
ところが、不正を憎み、社会規範を回復させようと努力した英傑のイメージの
あの曹操(そうそう)の短歌行にパクリ疑惑が発生しました。
自ら詩人を名乗る、曹操が過去作をパクるのは許される事ではありません。
はじさん特捜部として、その辺りの事実関係を調べました。
パクリが疑われる詩とオリジナル詩の比較
青青子衿 悠悠我心 縱我不往 子寧不嗣音
青青子佩 悠悠我思 縱我不往 子寧不來
挑兮達兮 在城闕兮 一日不見 如三月兮
上がオリジナルの詩で、中国古代の詩のテキストである
詩経にある国風:鄭風の 子衿(しきん)です。
内容は、女性が中々、自分を尋ねない恋人に、
恋い焦がれ、恨み事を言っているものです。
そして、下が歴史上有名な曹操の短歌行の一詩です。
青青子衿 悠悠我心 但爲君故 沈吟至今
幼幼鹿鳴 食野之苹 我有嘉賓 鼓瑟吹笙
最初の8文字が全く同じ!!
お分かり頂けたでしょうか? 曹操の短歌行は、
最初の8文字が、子衿と全く同じなのです。
これは、酷い、全くのパクリ、いやコピーではありませんか!
はじめての三国志kawausoは曹操に突撃
事実を当人に確認すべく、時間を自由に往来できるkawausoは、
曹操に突撃取材を敢行しました。
kawauso「曹操さん!はじさん特捜部のものですが!」
曹操「なんだ、はじさんか、またワシの女癖の悪さでも
特集しに来たんだろう? しっしっ!あっちに行け!」
kawauso「いえ、今回は曹操さんの短歌行のパクリ疑惑を
追及する為に参りました。」
曹操「なんだと、無礼な!ワシの詩は全てオリジナルじゃい!」
kawauso「そうですか?では、この子衿と短歌行をご覧下さい」
曹操「・・・・まあ、出だしは似てるかな・・」
kawauso「いえ、似てるどころか同じではありませんか!
正直に言って下さい、これはパクったんですか?」
曹操「パクってなどおらん、たまたま似ただけじゃ!」
kawauso「それは、オカシイ!たまたまで最初から8文字も同じに
なるわけがない、曹操さん、いいなぁと思ってパクったでしょ?」
曹操「・・ワシは忙しい、詳しい話はマネージャーの郭嘉を通してくれ」
kawauso「そう言って、郭嘉さんと口裏合わせる気でしょ、あっ!
逃げるんですか?赤い馬車で逃げるんですか?」
曹操「うるさい!うるさい! 話は郭嘉を通せ!
ワシはなーんもしゃべらんぞ」
kawauso「残念ながら、曹操さんには逃げられてしまいました」
曹操の詩は本当にパクリなのか?
少し曹操には可哀想な事をしましたが、
では、短歌行は、子衿のパクリなのか?というとそうではありません。
これは、広く社会に広まった恋歌である子衿を曹操が上手くオマージュして、
内容を改編し
「人材を求める事、恋人を待つ女性のような気持ちである」として、
その気持ちの切実さを歌った内容なのです。
今でも、有名な童謡や、過去の名曲、例えば、ホルストのジュピターを
平原綾香が歌詞を付けるなどしてHITさせていますよね?
曹操が行ったのは、そういうオマージュであって、恋歌だから、
恋歌そのものを真似るというような低いレベルではない、
オリジナルを超越して新しい意味を産み出すという超絶テクなのです。
であればこそ、名詩として、現在まで語り伝えられているのであり、
それは、パクリなどという次元の低いものではありません。
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三国志ライターkawausoの独り言
この古くから愛唱された恋歌を人材募集のコピーに使う曹操の意図には
本当は裏があり、容姿端麗な美少年で才能がある人カモーンという
いわゆるBL要素があると疑う人もいます。
青青子衿というのは、周の時代の学生の制服の衿が青色だったという
事に由来していて、青春真っ盛りの少年達の意味があるからです。
人材なら何も、初々しい学生服の少年達ばかりでなくても、
やさぐれた程昱(ていいく)や、初々しさの欠片もない
不良少年の郭嘉(かくか)でもいいわけですから、
どうして、青青子衿に曹操がこだわるのか少し分からない部分はあります。
今日も三国志の話題をご馳走様でした。
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