よかミカンの三国志入門
潼関の戦い特集




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

三国志時代に降伏や降参するときはどうやってサインを出していたの?

この記事の所要時間: 337




袁紹 曹操

 

私達の中には、知らず知らずの間に西洋的な意識が入り込んでいます。

例えば、敗北の合図と言うと無意識に白旗を振る武将や

兵士をイメージしてしまうようなものです。

でも、それは西洋の習慣であって、三国志の時代の中国には、

白旗=降伏などという概念はありませんでした。

では、三国志の時代、負けた側はどうやって降伏を伝えていたのでしょう?

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら




三国志の時代の降伏 面縛與櫬

劉禅

 

三国志の時代の降伏の作法は春秋戦国時代から伝えられた

古式床しきもので、面縛與櫬(めんばく・よしん)と呼ばれています。

方法は、降伏する側の将軍が自分の腕を後ろ手に縛り上げ、

手が使えないようにしていきます。

 

そして、自身の背後に、車で曳いた棺桶を用意して、

敵将の前まで行進するのです。

 

これは、無条件降伏を意味し自分を縛り棺桶を用意する事で、

「殺されても恨みません、どうぞ好きにして下さい」

というサインを含んでいます。




降伏を受け入れる側にも必要な礼儀があった。

劉禅

 

もちろん、これは、最大の恥を忍んでの行為ですから、

敗北を受け入れる側は、礼儀として降将の縄をほどいて、

その恥辱の気持ちを和らげる義務がありました。

 

実際に、三国呉の暴君、孫晧(そんこう)は晋に降伏する際に、

建業に一番乗りした晋将、王濬(おうしゅん)相手に、

面縛與櫬を行っていますし、劉禅(りゅうぜん)も自分を縛り上げ、

棺桶を背負って魏の鄧艾(とうがい)に降伏しているので、

割合、ポピュラーな作法だったようです。

 

関連記事:【素朴な疑問】三国志の時代のお葬式とは、どんなものだった?

関連記事:こんなの絶対に入りたくない!三国志の時代の牢獄は酷すぎた…当時の刑罰も合わせて紹介

 

一般の兵士や武将が降伏する場合、肉袒(にくたん)

肉袒 引用

(イラスト引用元:历史趣闻手机版

 

一方で、君主や指揮官ではない武将や兵卒の場合の降伏の作法は、

肉袒と言いました、これは上半身裸になり、武器を隠し持っていない事を

証明する降伏の作法でした。

 

この状態で両手を挙げて出てこれば、降伏のサインになりますが、

それで命が必ず保障されたかどうかは分かりません。

 

赤眉の乱で知られる反乱軍、赤眉の指導者の樊崇(はんすう)は、

西暦27年、光武帝(こうぶてい)の配下の将軍馮異(ふうい)に追い詰められ、

丞相に任命した徐宣(じょせん)以下、30名余りで、肉袒して

降伏したと記録されています。

 

開戦の作法は、どうだったのか?

三国時代の船 楼船

 

では、逆に開戦の作法は、どのようなものだったのでしょう。

今だと宣戦布告文を送りつけるイメージですが、三国志の時代は?

これが残念ながら、よく分かっていません。

しかし、三国時代から遡る事600年の春秋戦国の頃には、

開戦を知らせる作法がありました。

 

それによると、開戦の合図は、一方の使者が相手の陣営に行き、

ヘラヘラと冗談を言ったり、逆に武器を取って勇壮な舞いを

見せる事であったと言います。

 

相手の陣営は、使者の冗談を冗談で返したり

同じく武器を取って使者を追いかけると、そこからよーいドンで

戦争開始となったようです。

 

 

開戦の合図は、不意打ちの禁止だった

三国時代の船 蒙衝

 

つまり、この作法は、私は不意打ちをしません。

正々堂々と戦いましょうという意味合いが強いものでした。

春秋時代の中期頃までは、何と奇襲、不意打ちの類は、

卑怯者がする事だという認識だったのです。

 

なので、不意打ちや奇襲が当たり前の時代になると、

当然、このような紳士協定は廃れていきます。

三国志の時代まで、この開戦の合図が伝わらなかったのは、

当然と言えば、当然の事なのです。

 

呑気も呑気、敵の君主に三度も礼を尽くし絶賛された郤至

光 f

 

また、春秋の時代では、敵であっても君主の場合には礼を尽くさないと

非礼になるとされていました。

晋の郤至(げきし)は、紀元前575年、鄢陵(えんりょう)の戦いで

敵である楚の共(きょう)王に戦場で三度も遭遇しましたが、

攻撃を仕掛けるどころか、戦車から降りて、

鎧を脱ぎ棄てて走り去りました。

 

今から考えると

 

「何やってんだよ郤至、チャンスじゃないか!

それから、共王、何度も同じ敵の前を呑気にすれ違ってんじゃねえよ!」

 

なんて思いますが礼を尽くした郤至の態度に、

楚も晋の人も賞賛を惜しみませんでした。

それでも共王は、この戦で晋の呂錡(りょき)に目を射られて負傷しています。

王だから安全という事はないのですが、やはり礼の精神が、

戦場では何でもアリだお!という戦の合理性に勝っていたのです。

 

 

三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

古代中国では、奇襲が卑怯とされていたというのは、面白いですね。

また降伏のサインが、THEビジュアライズなのも面白いです。

徹底して自分を卑下して、屈辱が身にしみるような行為で、

「とんでもない事をしてもうた~」という自分への戒めや、

味方への謝罪の気持ちもあるのでしょう。

 

本日も三国志の話題を御馳走様でした。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:鬼畜なのは桓騎だけではない!残虐性を兼ね備えた歴史上の人物3選

関連記事:桓騎(かんき)だけではない古今東西の残虐な戦術

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

 

よく読まれている記事

 

曹操01

よく読まれている記事:曹操を好きになってはいけない6つの理由

朝まで三国志

 

 

よく読まれている記事:朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ(笑) 第1部

 

kawauso 投壺

関連記事:三国時代の娯楽にはどのようなものがあったの?タイムスリップして当時の人に取材してみた

袁紹 曹操

 

 

よく読まれてる記事:【三国志if】もし袁紹が官渡の戦いで曹操に勝ってたらどうなってたの?

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 【魏の歴史事件簿】曹魏の4代皇帝曹髦の時代起きた事件をざっくりご…
  2. 図解でよくわかる夷陵の戦いと趙雲の重要性
  3. 馬岱(ばたい)ってどんな人?実は記録がほとんどない馬超のイトコ
  4. 三国志の英雄も楽しんだ?日本とは少し違う三国志時代の蝉取り
  5. こっそりお教えします!NHK大河ドラマの通な見方。歴代大河ドラマ…
  6. 袁紹と今川義元は似たもの同士だったってホント!?
  7. まだ漢王朝で消耗してるの?第1話:改革なき破壊者 董卓
  8. クーデターが遅すぎた?司馬懿の晩年が満身創痍な件

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. ワラビを食べて餓死!?伯夷・叔斉ってどんな兄弟?
  2. はじめての三国志編集長の推薦状『8月の見どころ記事』Part.3
  3. 蜀のブサメン軍師、龐統は魯粛のスパイだった?劉備と龐統、仮面主従の真実
  4. 晋にも五虎将軍が存在した?魏の五将軍に匹敵する晋の名将を紹介
  5. 営業マン必見!諸葛亮孔明から学ぶ営業術。これがビジネス三国志だ!
  6. 三国志の時代のお茶は、全然人気が無かったってホント?

三國志雑学

  1. キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)
“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 魏の文官・李孚(りふ)
  2. 鎌倉時代 服装 男女

おすすめ記事

キングダム 531話 ネタバレ予想:必殺の別働隊 官渡の戦いを終戦に導いた許攸(きょゆう)は偉大なの!? 【応仁の乱】 東軍と西軍の大衝突!東岩倉三宝院の戦い 周瑜は絶対音感を持つミュージシャンだった!? 公孫瓚の武力の強さは独自の戦闘組織にあった 趙奢(ちょうしゃ)とはどんな人?趙の三大天最後の一人で政治・軍事両方に秀でた名将【前半】 和宮とはどんな人結構頑固で家茂ラブな皇女 後漢の始祖・光武帝劉秀(りゅうしゅう)ってどんな人?苦難に耐えて皇帝になる Part.2

おすすめ記事

  1. 【センゴク】織田信長って本当は優しく思いやりのある性格だった!
  2. 劉繇(りゅうよう)が凄い!袁術の宿敵?そこそこ頑張った英傑の生涯
  3. 【春秋時代ミステリー】春秋時代に残るホラー話
  4. キングダムに登場する司馬尚はどんな性格なの?【キングダムネタバレ予想】
  5. 113話:老将・黄忠死す、次々と天に還る五虎将軍
  6. 黒田官兵衛は活躍したのになぜ領地はびっくりするくらい少ないの?
  7. kawauso編集長のぼやきVol.3「諦めるとは」
  8. 病気の呂蒙を穴から見守る孫権

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“水滸伝"

“三国志人物事典"

PAGE TOP