はじめての三国志

menu

はじめての変

3分で分かるアンティキティラ島の機械の技術力の高さ!

この記事の所要時間: 528




アンティキティラ島の機械 wiki

 

1901年に、ギリシャのアンティキティラ島の沖合で発見され、

その精巧緻密な構造から、紀元前のコンピュータと言われ、

長い間、オーパーツ(時代に合わない場違いな遺物の意味)として

放置されたままだったアンティキティラ島の機械。

 

近年の研究により、これはオーパーツではなく古代に造られた天体観測器

そして計算機である事が分ってきました。

 

古代中国にもオーパーツがあった!?全記事一覧はこちら




アンティキティラ島の機械の大きさは?

アンティキティラ島の機械 wiki

 

アンティキティラ島の機械は、紀元前150年~100年頃に

島の沖合に沈没した船から発見されました。

海底から引き揚げられた時、すでに海水でボロボロに錆びていて、

多くの部品も欠落した状態だったようです。

 

そういう経緯から現物から大きさを想定できないのですが、

その後、復元を試みた学者の複製品によると、高さ13センチ、

幅15センチという大きさであるという推定が出ました。

 

これは、大人の手のひらの大きさでiPhoneサイズであり、

持ち運びが出来るので個人の持ち物であった可能性が高いようです。




アンティキティラ島の機械の前面はどうなっていた?

アンティキティラ島の機械 wiki

 

機械には、主な表示板、今風に言えばディスプレイが3つあり、

一つは前面に、残りの二つは裏面についています。

前面の表示板には、少なくとも3つの針があり、

一つの針は日付を表し残りの二つは太陽と月を表していました。

 

この表示板には、少なくとも二つの同心円状のメモリが刻まれていて、

外側のリングには、エジプト、ソティス周期に基づく365日のカレンダー

が刻まれ、内側のリングには黄道十二星座が、区切りを設けて表示されます。

月の針を動かすと、時間における月の位置が分るように設計されています。

部品はありませんが、恐らく太陽の針を動かす事で太陽の時間ごとの

位置が分かったであろうと推定されます。

 

アンティキティラ島の機械

(イラストは三国志ライターkawauso作)

 

それ以外にも天体模型を使い、月の満ち欠けを示す機能があった事や、

当時、確認されていた五つの惑星の軌道を示す機能があり、

それとギリシャの生活暦の目盛を合わせる事で儀式の時に

惑星がどこに位置しているかも分るようになっていました。

 

アンティキティラ島の機械の裏面はどうなっていた?

アンティキティラ島の機械 wiki

 

機械の裏面には、二つのディスプレイがありました。

まず、上部の表示板の目盛は螺旋状に配置されており235朔望月を

19太陽年とするメトン周期を表現するために1周47目盛りとなっています。

 

※メトン周期は暦を修正するために重要な周期らしいです・・

 

下部の表示板の目盛も螺旋になっていて225の目盛でサロス周期を表し

さらに付随した表示板で54年、3サロス周期を表示します。

このサロス周期は、1サロスが18年と10日と8時間であり、

日食や月食を予測するのに欠かせない計算なのだそうです。

 

オリンピックを含む、四大競技祭典を示す目盛もあった!

1024px-antikythera_model_front_panel_mogi_vicentini_2007

(アンティキティラ島の機械の復元写真)

 

また、英国、ギリシャ、米国からの専門家から構成される

「アンティキティラの機械研究プロジェクト」は2008年7月に、

76年カリポス周期を表すと考えられている青銅の表示盤上に

「OLIMPIA」の文字を発見しました。

 

これは古代ギリシャのオリンピックの開催日を示すと考えられますが、

さらに区切りの推測からオリンピックだけではなく、

イストミア、ネメア、ピューティアという当時の競技大会プラス、

名前が不明な競技大会の日付も分かったようです。

 

当時の人々もスポーツが好きで機械をいじりながら、

「もう何年後にはオリンピック」とか考えていたのかも知れません。

 

アンティキティラ島の機械の動力はクランク

アンティキティラ島の機械 wiki

(アンティキティラ島の機械の復元写真)

 

機械の動作は、背面に付けられたクランク穴によって行われたようです。

このクランクは発見されていないので推測ですが、複雑な歯車の動きを

クランクで制御したという事のようです。

アナログ腕時計の時間調整を小さなつまみで行っていたような

イメージに近いと言えるかも知れません。

 

アンティキティラ島の機械の内部は精巧な歯車の集合

アンティキティラ島の機械 wiki

 

アンティキティラ島の機械の内部は、最低でも30個、或いは、

72個という沢山の歯車の組み合わせで動いている精巧な機械です。

学者によっては、18世紀の時計と比較しても遜色ないという程なので

これがオーパーツだと疑われた理由も分かります。

 

この機械には、差動歯車という16世紀にならないと発明されないものや

遊星歯車機構という18世紀にジェームズ・ワットが発明するまで

地上には存在しない歯車まで組み込まれています。

こうして、1800年先の技術まで惜しげもなく使った結果、

アンティキティラ島の機械は完成したという事になります。

 

古代ギリシャの知識人の科学力が部分では18世紀の西洋科学に匹敵するというと、

人類は時間と共に進歩するという考えが決して常識ではないという皮肉を感じます。

 

こんな凄い機械を一体誰が造ったのか?

ポセイドニウス wiki

 

では、18世紀に発見される技術まで駆使された

アンティキティラ島の機械は、誰によって造られたのでしょうか?

これも複数あるのですが、古代ストア哲学者のポセイドニウスにより

ロードス島に建てられた数学と天文学のアカデミーで造られたという説や、

月の運行の計算に同時代の天文学者ヒッパルコスの計算式が使用されている事で

ヒッパルコスが制作に関与していたとも言われます。

 

この事からポセイドニウスとヒッパルコスが関与したと考えられ、

機械の取り扱い説明書が、全て古代ギリシャ語の一つ、コイネー語で

記されている事も、その説を補強しています。

 

同じような機械は一つでは無かった可能性・・

 

アンティキティラ島の機械は、その構造が洗練されている事から、

特別に造られた一点物ではなく、複数が量産された物と考えられます。

現在こそ、出てきていませんが、今後、同タイプの機械が遺跡より発掘される

可能性もゼロではなく、そうなれば双方を調べる事で、より完璧な

復元品を造り上げられるかも知れません。

 

その時には、再び、科学史を塗り替える大発見があるかも知れません。

 

儒教とキリスト教が世界を席巻する前、科学は盛んだった。

馬鈞

 

実は、紀元前後は、西洋でも東洋でも科学の進捗は目覚ましいものがありました。

中国でも紀元前から、脱進器を利用して歯車の回転数を一定にして正確に距離を刻む

記里鼓(きりこ)車という機械や、三国志の時代に登場する魏の馬鈞(ばきん)

どこに向けても必ず人形が南を指す事で方位が分る指南車という当時のハイテクを

駆使した道具を再現という形で制作しています。

 

馬鈞(ばきん)とはどんな人?諸葛亮を凌駕する魏の天才発明家

 

仰天!三国志の時代にはナビゲーション技術があった!?

 

ピンとこないかも知れませんが、この脱進器にテンプとヒゲゼンマイを付けたのが

現在もあるアナログ時計の基本構造なのです。

テンプとヒゲゼンマイと脱進器を使った時計が欧州で発明されるのは

14世紀に入ってからなので記里鼓車は、かなり進んだ機能を持つと言えます。

 

それ以外にも中国では方法は不明ですが歴史上では20世紀にしか発明されない

クロムメッキの技術が施された秦の時代の剣も出土しています。

中国独自の技術も西洋からの移入もあるでしょうが、紀元前後の世界では

科学の発展がタブーではなかったのです。

 

【あるはずのない超技術】兵馬俑から発掘されたクロムメッキ剣はオーパーツなのか?現代科学でも説明困難な古代のロストテクノロジー(HMR)

 

しかし、中国では尚古主義の儒教が台頭して精神世界を追求する風潮は

強まっても、技術革新を進める気風が薄れて、科学は理論として展開せず、

どこまでも工作技術のレベルで留まりました。

欧州ではキリスト教が同じく信仰を最優先して科学の発展を阻害します。

これにより折角進んだ科学も、欧州では14世紀のルネサンスまで進まず、

中国では20世紀に至るまで科学の発展は促進されませんでした。

 

三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

アンティキティラ島の機械の凄さがお分かり頂けたでしょうか?

もし、キリスト教が欧州で根を張らず、ローマ帝国や、それに準じる帝国が

地中海を支配していたら、もしかして、今頃、世界は余裕で惑星開拓が可能な

レベルの科学技術を保有していたかも知れません。

でも、逆に考えると、早々と核技術を開発した世界は核戦争を開始して、

現代文明は、とっくの昔に滅んでいたかも知れませんね。

(写真は全てwikipedia)

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:三国志時代に降伏や降参するときはどうやってサインを出していたの?

関連記事:【素朴な疑問】三国志時代はどうやって兵士を集めていたの?

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

 

よく読まれている記事

 

曹操01

よく読まれている記事:曹操を好きになってはいけない6つの理由

朝まで三国志

 

 

よく読まれている記事:朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ(笑) 第1部

 

kawauso 投壺

関連記事:三国時代の娯楽にはどのようなものがあったの?タイムスリップして当時の人に取材してみた

袁紹 曹操

 

 

よく読まれてる記事:【三国志if】もし袁紹が官渡の戦いで曹操に勝ってたらどうなってたの?

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 悲しみの巨人、兀突骨(ごつとつこつ)は実在してた?
  2. 漢の時代の役人はこんなに大変!貧乏になると首って本当だったの?
  3. 曹操「赤壁で負けてなんていないんだからねっ」
  4. 仰天!三国志の時代にはナビゲーション技術があった!?
  5. 遼来来!よりも呉は彼を恐れていた?呉キラー曹休(そうきゅう)
  6. 孔子・孟子・筍子?儒教(儒家)ってどんな思想?
  7. 【名将対決】雷神と恐れられた名将立花道雪VS呉の名将陸遜 Par…
  8. テルマエ・ロマエのルシウスもびっくり!?後漢の甘英、ローマを目指…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 今川家のポンコツではなかった今川義元の前半生に迫る!
  2. 【シミルボン】ドキッ!全員男!三国志の時代にあった男同士のひざまくら
  3. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース38記事【1/23〜1/29】
  4. 49話:許攸の寝返りが曹操を勝利に導く
  5. 図解でよくわかる夷陵の戦いと趙雲の重要性
  6. 飛信隊はどのような構成だったの?史実をもとに強さも考察

三國志雑学

ピックアップ記事

おすすめ記事

【項羽との恋愛で起こった悲しい運命】虞美人と虞美人草の悲しいお話 袁術が天下を統一するためにみんなで考えよう【第2回】 孫権はなぜ孫策の子息を冷遇したの?それは孫権が袁術を愛していたから? 【司馬の八達】超厳しい父親に育てられた俊英・司馬朗の提案を聞かなかったばっかりに・・・・ 孔明や荀彧が務めていた尚書(しょうしょ)ってどんな役職?女尚書も存在した? 【キングダムをより楽しむ】河了貂と蒙毅が解説「軍師はどうやって誕生したの?」 【日本最大ミステリー遂に解明か?】邪馬台国・卑弥呼の正体につながる新たな手がかりを発見! 張既(ちょうき)とはどんな人?反乱の多かった雍州・涼州の二州を見事に統治した名政治家

おすすめ記事

  1. 【ビジネス三国志】孔明の大逆転!既成概念を破壊してチャンスを掴め
  2. 諸葛亮孔明の軍事能力は実際に優れていたの?後半
  3. 【劉孫同盟誕生秘話】孫呉の内部は新劉備派と反劉備派に割れていた
  4. 23話:二人の英雄を破滅に追いやる魔性の玉璽
  5. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース13記事【7/4〜7/10】
  6. 史上最高の天才将軍 韓信(かんしん)は性格にかなり問題あり?
  7. 三国志にも麻薬常用者はいた?魏の何晏は中毒患者?
  8. 韓玄(かんげん)とはどんな人?劉備に降伏した長沙太守

はじさん企画

袁術祭り
特別企画
異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
はじめての三国志TV
PAGE TOP