はじめての三国志

menu

はじめての変

これはみみっちい・・実は手紙をガン見していた曹操の逸話

この記事の所要時間: 254




 

小さな英雄、曹操(そうそう)、その大人物ぶりを表わす逸話として、官渡の戦いで

袁紹(えんしょう)と内応した部下の手紙を押収してもその内容を確認する事なく

見なかった事にして焼き捨て、内応の罪を不問にするなど、カッコイイ所があります。

しかし、この逸話、実は真実ではなく、曹操はパフォーマンスをしたに過ぎない、

という、やや、みみっちい裏話があるのです。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

前回記事:曹操を好きになってはいけない6つの理由




曹操、部下の袁紹への内応の手紙を焼か・・ずに取っておく

 

西暦200年、官渡の戦いを劇的な食糧庫、烏巣焼き討ちで乗り切った曹操。

兵糧を失った袁紹軍は潮が引くように冀州に引き上げていきますが、

ギリギリ辛勝の曹操軍に、それを追撃する力はありませんでした。

 

慌てていた袁紹軍は、機密の書簡も放り出して逃げて行ったので、曹操の手元には、

自軍の武将が袁紹の寝返りに応じた書簡までが残される事になりました。

心辺りがある武将は内心気が気ではありませんが、曹操は、その書簡を見ずに

 

「いやいや、わしだって負けると思っていたのだ、諸君なら尚更不安だろう」

 

と言いつつ、書簡に火をつけて焼き払ったと言うのです。

いかにも天下の三分の二を制覇した英雄に相応しい度量のように見えます。

ところが、実は、曹操のこの行為はパフォーマンスに過ぎませんでした。




三国志 魏志 趙儼伝に引く魏略に曹操の嘘が記録されていた・・

 

実は、曹操が部下の寝返りの手紙を見ていないというのは嘘でした。

その証拠は、三国志魏志 趙儼(ちょうげん)伝に引く魏略の以下の記述です。

 

曹操が袁紹の記録所を捜査させたところ、李通の文書だけが見当たらなかったので

「李通だけは本当の忠義者じゃ!」と曹操は感激した。

 

さあさあ、大変な事になってしまいました。

 

 

曹操、部下の寝返りの手紙を見ていないどころか、しっかりガン見した上に、

李通だけは内応していない、忠義なヤツと感激しているのです。

 

手紙を焼くのは光武帝のパクリだった・・つまり

 

そもそも、部下が敵に内応した証拠の手紙を焼くというのは、

曹操のオリジナルではありませんで、光武帝劉秀(りゅうしゅう)

邯鄲(かんたん)を落して王郎(おうろう)を誅殺した時に、

王郎に通じていた部下の手紙数千通を焼き捨てた故事を真似したものです。

 

こうなると、こういう推測が成り立ちます。

 

①曹操部下の寝返りの文書を発見→

②わしを裏切りおって許せん→

③しかし、今、問題にすると部下が袁紹に寝返る→

④よし、見なかった事にしよう→

⑤そうじゃ光武帝の故事じゃ!

 

曹操の脳裏に光武帝の故事が甦り、一度は見た書簡を見なかった事にし

もう一度、袋につめて諸将の前に持ち出して、見なかった事にして

燃やしてしまったのです。

 

関連記事:あの光武帝がダジャレ大好き!?初陣で早くもギャグをかます劉秀に萌え

関連記事:光武帝はとんでもないスピリチュアマニアだった!?劉秀の意外な一面

 

その後、執念深く、内応者を排除していった曹操

 

曹操の対応は、みみっちくても必要なパフォーマンスでした。

袁紹は負けたとはいえ、攻めてきた側であり、曹操は防戦一方だったのです。

もし、ここで書簡を見て、内応者を確定したと宣言したら、誅殺される前に

袁紹に寝返ろうと大挙して、冀州に離脱したかも知れません。

 

ここは、みみっちくても「見てません」を押しとおし、その実、内容は把握して、

政権が安定していくに従い、内応者を一人、また一人と別件で誅殺していく

或いは、曹操はそういう事をしたのかも知れません。

 

三国志ライターkawausoの独り言

 

曹操は、強かな一面を持っていますから、一方で大物ぶりながら、

一方では、執念深く、自分を裏切っていた部下をマークして折を見て排除した

というような事は大いにあり得る事ではないか?などと思います。

しかし、李通以外は、皆んな内応していたとしたら、そりゃあ、手紙見たぞとは

言えないでしょうね、下手すりゃ、その日の内に謀反が起きるかも?ですもんね。

 

 

はじめての三国志アンケートはこちら

関連記事:【三国志if】もし袁紹が官渡の戦いで曹操に勝ってたらどうなってたの?

関連記事:楊奉が袁術から離反しなければ官渡の戦いは袁術vs袁紹になっていた!?

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 【岳飛が熱い】「尽忠報国」と背中に彫った救国の英雄・岳飛(がくひ…
  2. 【難問】三国志好きは解きたくなる!なぞなぞ・クイズ集
  3. 【元祖妖怪ウォッチ】孫権や諸葛恪、朱桓が目撃した妖怪を徹底分析!…
  4. キングダムのラスボスは昌平君でも李牧でもなくあの人だ!
  5. 【キングダム予想】公孫龍将軍が最大の壁になる?実は防戦のスペシャ…
  6. 【シミルボン】これは意外!モノマネが大好きだった三国志の人々
  7. 三国志ライターkawausoが魏を斬る!蜀が中華統一をする方法
  8. 【はじめての孫子】第3回:兵とは国の大事なり

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 項羽はあれだけ最強だったのに何故、天下を取れなかったのか?
  2. 文聘(ぶんぺい)とはどんな人?魏延とも打ち合いをした魏の武将
  3. 徐晃(じょこう)ってどんな人?魏において、もっとも功績を挙げた無敗将軍
  4. 集まれ曹操の25人の息子たち・その3
  5. 衛青(えいせい)とはどんな人?前漢時代最強を誇っていた匈奴を打ち破って漢の領土を回復させた武人
  6. 英雄たちの武器~青龍偃月刀と蛇矛を徹底分析

三國志雑学

ピックアップ記事

おすすめ記事

もし郭嘉が魏の建国まで長生きしていたら魏の内閣総理大臣になっていた? 権力者の重圧?酒癖の悪かった呉の孫権 【キングダム】桓騎の死に方を史実を元に3つネタバレ予想 キングダムに乗り遅れた人必見!!戦国時代をざっくりと紹介しちゃいます! 119話:孔明君のジャングル探検?南蛮討伐本戦 季布(きふ)とはどんな人?一度承諾した約束は絶対に破らない事で天下に名を轟かせた名将【前半】 【戦神】昭襄王の兄は無類の筋肉マニア?筋肉へのこだわりがハンパじゃない始皇帝の曽祖父・武王 賈詡と陸遜を徹底比較!あなたはどっちの天才軍師を起用する?

おすすめ記事

  1. 孟達に全てがかかっていた!諸葛孔明の北伐は成功したかも?
  2. 【龍帥の翼】張良が黄石公からもらった三略とはどんな書物なの?【留侯世家異伝】
  3. 24話:呉・三国志 孫堅のあっけない最期
  4. またまた発見!劉備の黒歴史、なんと劉禅には生き別れの兄がいた?
  5. 曹操は郭嘉を後継者として考えていたのは本当なの?
  6. 【ネオ三国志】第2話:蒼天航路の曹操と魏武の強
  7. 秦の昭襄王(しょうじょうおう)って戦神と言われるほど本当に強かったの?
  8. ホリエモンが舛添都知事を庇った理由と晏嬰で考える政治家倫理

はじさん企画

袁術祭り
特別企画
異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
はじめての三国志TV
PAGE TOP