張郃は魏の名将として活躍する将軍でしたが、元々は袁紹に仕えていた将軍です。張郃は袁紹の将軍として優れた戦術眼を披露し、公孫瓚討伐戦で活躍。袁紹は張郃を将軍の位を与えそれなりに優遇しており、彼も袁紹に不満を持っているわけではありませんでした。
しかし張郃は官渡の戦いの後、曹操に降伏することになります。今まで袁紹に不満を持っていなかった張郃がどうして袁紹を見限って曹操に降伏したのか。今回はこの部分を探ってみたいと思います。
官渡戦前に袁紹へ進言
張郃は官渡の戦いが始まる前に袁紹に曹操と戦い方について進言をしています。張郃は袁紹へ「殿は戦えば必ず勝ってきましたが、曹操とは戦わない方がいいような気がします。殿みずから出陣して曹操と戦をするのではなく、曹操の南方の領域へ将軍を派遣して領土内を乱せば、簡単に勝つことが出来るでしょう」とアドバイス。
もしこの張郃の進言が採用されていれば、曹操が領土内に侵入した袁紹軍の別働隊に振り回されて疲れた所を袁紹率いる本隊の攻撃を受けてやられていたかもしれません。しかし袁紹はこの進言を取り上げることなく曹操を打ち破るため出陣していくのでした。
曹操率いる奇襲部隊から鳥巣を全力で守るべし
袁紹は軍勢を率いて曹操がこもっている官渡の城塞へ攻撃を行います。曹操は袁紹軍の攻撃を耐え忍ぶ辛い戦いを強いられることに。
そんな中、曹操は袁紹の参謀・許攸から袁紹軍の兵糧貯蔵庫の場所を教えられます。袁紹軍の兵糧貯蔵庫は鳥巣にあるとのことです。曹操は許攸の進言を信じて自ら兵士を率いて鳥巣へ奇襲攻撃を敢行。袁紹の元へ曹操自ら兵士を率いて鳥巣へ攻撃を仕掛けてきたことが通報されます。
張郃も鳥巣攻撃の情報を知り袁紹へ「曹操は自ら兵士を率いて鳥巣へ攻撃した来たことは鳥巣を攻略することができると踏んでいるのでしょう。そのため鳥巣を全力で守るため、大軍の援軍を派遣するべきだと考えます。」とアドバイス。
袁紹の幕僚である郭図は「張郃のアドバイスは間違っています。ここは全力で官渡を攻撃して陥落させればいいだけです。」と進言。 しかし張郃は郭図の進言に「曹操がこもっている官渡は強固な守りで、簡単に落とすことなんてできません。それよりも早く鳥巣を救援しなければ、殿の事業が破綻してしまいまずぞ」と強く反対します。
袁紹はふたりの進言の間をとって鳥巣へ軽兵の援軍を派遣し、残りの軍勢で官渡へ攻撃を行います。この作戦は大失敗に終わり袁紹軍の兵糧が貯蔵されていた鳥巣は陥落し、兵糧は全て燃やされてしまいます。そして官渡は袁紹軍の総攻撃を受けても攻略することができませんでした。
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袁紹の疑心暗鬼が原因で張郃が曹操に降ってしまう
張郃は鳥巣が陥落したことを知ると撤退の準備を指示していましたが、ある噂が耳に入ってきます。その噂は袁紹の参謀で鳥巣の救援をするべきかそれとも官渡を攻略するべきかの意見で争った郭図に関してでした。郭図は自らのアドバイスが間違った事で袁紹軍の全軍崩壊を招いたことを知りこの責任を逃れようと悪知恵を働かせます。
そして郭図はある事を閃き袁紹へ「張郃は俺の進言を取らなかったから今このような現状になっていると色々な人へ言っているらしいですよ。」と張郃の悪口を流します。そしてここで袁紹の悪いところの一つ・疑心暗鬼が発動。袁紹は郭図の噂を信じ張郃に疑念を抱くようになります。張郃はこの郭図と袁紹のやり取りを聞いて袁紹の元に身を置くのは危険と判断し曹操に降伏するのでした。
袁紹の悪いところの一つである疑心暗鬼を発動させることを郭図がもくろんで張郃の悪口を流したとすればとんでも無い人物です。このような人物を袁紹が周りに侍らせてしまったことが曹操に敗北した原因の一つで、張郃も袁紹の疑心暗鬼の犠牲者の一人と言えるのではないのでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
袁紹が色々なところに配慮する事ができない残念な性格だったのが、張郃を降伏させてしまった事でも分かると思います。歴史にもしはありません。しかしもしをどうしても想像してしまうのは歴史大好きな人ならば仕方ないとはずです。
レンも歴史が大好きなのでもしをつけて違う未来を考えてしまうのですが、もし袁紹がもっとしっかりと色々な事に配慮できる人物であれば、張郃を失うこともなかったはずです。更に袁紹が諸将をしっかりと扱い、曹操に打ち勝つことができたのではないのでしょうか。
参考 【正史三国志魏書】等
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