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陳羣は魏を支えた最強人事部長!司馬懿と一緒に働いて無傷だっただけで奇跡的

2019年5月1日


 

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司馬懿

 

曹操(そうそう)とその側近たちのほとんどが亡き後、()の人材といえば、ほとんど司馬懿(しばい)の独壇場になってきます。

 

異議ありと叫ぶ司馬懿

 

孟達鎮圧(もうたつちんあつ)も、遼東平定(りょうとうへいてい)も、孔明(こうめい)との対決も、ぜんぶ司馬懿(しばい)が一人でやっている。けれども、ここで注意しなければいけないことがあります。

 

司馬懿の墓

 

三国時代の最終的な勝者は司馬一族であり、特に「正史」はその晋政権下で編纂(へんさん
)
されたので、どうやらいちいち司馬一族に気を使っているらしい、ということ。つまり司馬一族が格好いい挿話は、だいたい真偽について「くさい」とみてよい。

 

司馬懿が頭を下げても堂々とする常林

 

司馬懿がハイスペックであったことは事実だろうとしても、彼と同格だったはずの魏の重臣たちがボンクラ揃いに見えるのは、どうも、くさい。

 

司馬懿

 

曹丕(そうひ)以降の曹一族がイマイチ扱いなのも、呉質(ごしつ)が人格破綻者扱いなのも、曹真(そうしん)一派が奇人変人(きじんへんじん)だらけと描かれているのも、どうも、くさい。

 

司馬懿と諸葛亮孔明のトランプ勝負

 

疑い出せばキリがなく、孔明(こうめい)の大活躍すら、「でもこんなに強い孔明と互角だったウチのおじいちゃんって凄いでしょ?」と言いたいがための司馬一族の意向が入ってそうで、これすら、どうも、くさい。

 

 

 

関連記事:司馬懿が就任していた太尉とは何をするの?太尉はどの程度の権力がある?

関連記事:郭嘉と陳羣を見習えばいじめが無くなるってホント?

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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司馬懿も手を出せなかった陳羣と、劉邦も手を出せなかった蕭何がダブる

陳羣

 

だがそんな中でも、陳羣(ちんぐん)の功績だけは、どうしても隠し切れなかった模様です。正史三国志でもその他の三国志伝承でも、悪口らしいものはほとんど見当たりません。せいぜい、「陳羣は官僚として有能な人なんだから、戦争のことは任せちゃだめだ」程度の牽制球が飛ぶくらい。

 

陳羣

 

そして、功績としては、あまりにも地味ではありますが、並べてみると、なかなかのもの!よく読むと、内治や外交でいろいろ活躍しているのです。

 

劉邦と簫何

 

「目立たないことばかりしているけれども、よく見るとトップ実績」というのは、楚漢戦争(そかんせんそう)の人物である蕭何(しょうか)と、なんとなく、ダブります。

 

韓信と劉邦

 

そういえば、楚漢戦争についても、項羽(こうう)を倒した後は劉邦(りゅうほう)軍内部の粛清(しゅくせい)の物語になってしまいますが、かつての功臣をどんどん始末した劉邦も、けっきょく蕭何だけは生き残らせています(紆余曲折はあったけれども)。

 

劉邦と樊カイ

 

他国の歴史を見ても、戦争で華々しかった功臣というものはだいたい後で消され、蕭何(しょうか)陳羣(ちんぐん)タイプの功臣は生き残る、ということなのかもしれませんね。皆様、過酷な現実世界で、活躍しつつも長生きしたければ、できるだけ陳羣タイプを目指しましょう!

 

陳羣

 

「でも陳羣タイプって、どんなタイプ?」と思った人。

以下で、整理していきますね!

 

 

 

陳羣は最強の人事部長である!

陳羣 九品官人法の書物

 

・・・ってことだと思います。

彼の功績を並べてみましょう。

 

陳羣(ちんぐん)が『採用するな』と言っていた人を採用したら、案の定、ひどい人材だった

・「郭嘉(かくか)は優秀だけど行いは最低だから示しをつけたほうがいい」という、みんなが思っていたけれども言いにくいことを曹操(そうそう)に誠実に忠告していた

・そんな陳羣本人は、たしかに品行方正だったので、曹操も反論できなかった

曹丕(そうひ)漢王朝(かんおうちょう)を廃止して魏王朝をたてた時の庶事庶務をてきぱき片づけていたのはこの人

・それでいて漢王朝の残臣たちから、特に恨まれたような形跡もない

・好悪の感情を仕事に一切入れないため、政敵からも一目おかれていたということらしい

・その後の中国歴代王朝にも採用されることになる人事登用~昇進システムを考案し導入したという、決定的な功績で歴史に名を残している

 

九品官人法を作った陳羣

 

最後のが有名な「九品官人法(きゅうひんかんじんほう)」で、その後三百年くらい、実際に機能した官僚制度です。著書を残している三国志の人物というのは何人かいますが、政治システムを後世に残しているというのは、別格の観がある。戦争で十勝するよりも、ひょっとしたらこのほうが、すごいことかも。

 

まだ漢王朝で消耗してるの?

まだ漢王朝で消耗しているの

 

 

よしんば司馬懿のような人がいる組織の中でも、安泰に生きてためには?

陳羣

 

なんとなく見えてきましたね。長生きするなら人事部長。特に、組織の採用~昇進制度を自分で作って握ってしまえば、もう怖いものはない。

 

年を取った司馬懿

 

よしんばライバルが司馬懿(しばい)みたいなハイスペック爺さんだったとしてもです。

 

陳羣と曹丕

 

ただし、本人が品行方正でないといけない。「人事部長自身の生活がだらしないじゃん」と言われないように潔癖に生きなければいけない。

これが一番、難しいことかもしれませんが。

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

え?

「自分はやっぱり、地味な陳羣よりも、司馬懿の生き方のほうがいい!」って?

「司馬懿のポジションに成り代わる人材として認められるのが、男の道だ!」って?

もちろん、止めはしません。それも、立派な、考え方でしょう。

 

蜀討伐を反対と意見をする陳羣

 

ですが「司馬懿くらいのことなら俺だってできるんだぜ?」としゃしゃり出て、司馬懿の真似をして(しょく)攻めをしてみて微妙な結果になった挙句、けっきょくはその司馬懿に抹殺され、歴史書には「クーデターで負けた際の降伏の仕方も含めていろいろグダグダなオッサンだった」というひどいイメージで描かれることになった、

 

曹爽(そうそう)という悲惨な事例があることを、くれぐれもお忘れなく、、、。

 

関連記事:陳羣(ちんぐん)って九品官人法以外の実績ってあるの?

関連記事:陳羣(ちんぐん)ってどんな人?画期的な人材採用法を確立させた魏の政治家

 

英雄の墓

 

 

 

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YASHIRO

YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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