キングダム「鄴陥落で合従軍復活が秒読みに?」

2020年1月29日


 

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kawauso

 

大人気春秋戦国時代漫画キングダム、この所は龐煖(ほうけん)が死んで以来、度重なる合併号と休載で、ほとんど本編が動いていませんが、それは兎も角、休載SPはペースを上げて行きますよ。今回は、この調子で(ぎょう)が陥落すると秦にとっては恐怖のシナリオが待っているというお話になります。

 

蘇秦(そしん)は合従連衡を行った

 

その恐怖とはズバリ、合従軍(がっしょうぐん)復活の悪夢です。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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キングダム「鄴陥落で塗り替わる中華の地図」

キングダム 戦国七雄地図

 

秦が中華を統一する為に、どうしても陥落させておきたい趙の要衝(ぎょう)。ここを落としておけば趙の都邯鄲(かんたん)は目と鼻の先になり、趙攻略に王手が掛かると言えます。

 

 

 

しかし地図を見てもらうと分かる通り、このまま趙(ZHAO)が滅びると都合が悪い勢力が少なくとも3カ国存在します。

 

「燕」の旗を持った兵士

 

1つ目の国は、趙が滅びる事で秦と国境を接する事になる燕国(えんこく)です。今までは秦の侵略に苦しむ他国を他人事で見ていられたのが、今後は当事国となり秦の侵略に(おび)える羽目になります。2つ目の国は、趙が崩壊する事で完全に秦に周囲を包囲される形になる韓国(かんこく)です。北、西、南を秦の勢力に包囲され、頼りに出来るのは東の魏だけとなれば生きた心地はしないでしょう。

「魏」の旗を持った兵士

 

3つ目の国は韓と同じく秦の勢力拡大により前面を完全包囲される事になる魏国です。魏の場合、趙が滅亡してしまうと秦と秘密同盟を結んでいる斉が頼みにならない以上、背後の楚だけが頼り、さらに最悪の場合には秦と斉の挟み撃ちを受ける恐れさえあります。隣国の韓は、秦の力の前には何の役にも立たない事は、すでに函谷関攻めで証明済みですし、このまま手をこまねいている事は出来ません。

 

キングダム「李牧、五カ国合従軍を結ぶ」

李牧

 

一番の危機意識を持っているのは趙です。鄴に秦が兵力を集中しだしたら、邯鄲までは一突きに出来ます。過去にも秦軍が邯鄲を包囲した事はありましたが、あの時は秦の補給線は長く、結局、戦いの長期化で秦軍は退却していきましたが、今度は鄴が中継地なのでそうはなりません。

 

五カ国連合軍を率いて秦を攻める春申君

 

そこで、李牧は、極秘に韓・、さらには楚にも密使を送ります。李牧は、四カ国に対し、秦が趙の領内で獲り放題の略奪をしている間に四カ国に対し、国境沿いに極秘に兵を進める事を要請します。

長安(俯瞰で見た漢の時代の大都市)

 

本来なら、どうして我々が趙を救わねばならぬと突き放しそうな四カ国ですが、李牧が秦は六国を滅亡に追いやろうと本気で考えている事を告げ説得したので、四カ国の君主は戦慄し態度を一変させ合従軍に応じると約束します。そして、李牧が桓騎を宜安の戦いで大破したのを合図に、韓・魏・楚がそれぞれ国境を越えて秦の領地に侵攻、北の燕も趙の領地を横断して、趙軍と合流して秦に追い打ちを掛けるのです。これぞ、李牧が得意とする秦の油断を突いた悪夢の五カ国合従軍の再来です。

 

キングダムネタバレ考察

 

キングダム「実際に起きた!紀元前232年の合従軍」

正史三国志 vs 三国志演義で揉める現代人

 

すると、こんな疑問が読者ちゃんからは生まれるでしょう。いくらキングダムでも、ありもしない紀元前232年の合従軍を勝手に造ってはルール違反ではないか?と、確かに史記には紀元前232年に合従軍の記述はありませんが、趙と韓と魏が共同して軍を動かして、秦軍を国境まで押し戻したとも取れる部分はあります。

 

幕末 魏呉蜀 書物

 

秦攻番吾(しんばんごをせめる)李牧撃破秦軍(りぼくしんぐんげきは)南距韓魏(かんぎのみなみをあける)

 

このように、史記廉頗藺相如列伝(しきれんぱりんそうじょれつでん)によれば李牧は、紀元前232年に番吾に攻めて来た秦軍を撃破したのですが、そこに南距韓魏という四文字があります。距というのは間を空けるという意味があり、次に韓魏とありますから、秦は韓と魏の南に押し戻されたとも読めます。

 

地図を見ながら進言をする孫礼

 

もちろん、これを李牧の趙による単独軍事行動と取る事も出来ますが、その動きに韓と魏が参加していないとも言えないわけです。で、あれば、漫画の解釈として、字面の通りに李牧(りぼく)が、魏の呉鳳明(ごほうめい)、韓の張平(ちょうへい)と連携し三カ国合従軍で、秦を南に押し戻したという解釈も可能でしょう。こちらの地図は、紀元前249年の七国勢力図ですが、前の地図と比較しても、秦の勢力が南に下がり、魏の領地が少し増えているのが分かります。押し戻すというのは、紀元前249年の段階まで戻したという意味でしょう。

 

 

 

また、漫画的な話の盛り方として、加えて楚の禍燐(かりん)、燕のオルドも李牧を後押しする描写を入れる事で、いかに強力な秦軍でも、滅亡の危機意識に曝された五か国の怒りの侵攻を押しとどめる事は出来なかったとして、キレイに纏まります。史記には記されていないが、実は存在した幻の合従軍という煽りで李牧sugeeeが再燃し、再び起きる王翦との因縁のバトルにも弾みがつきます。

 

キングダム「一度は出直しを迫られる秦」

嬴政(始皇帝)

 

こうして、領地を南に下げるしかなくなり、さらに六大将軍の一角である桓騎を大敗北で失った秦は、捲土重来(けんどちょうらい)を期して、趙を性急に攻略する事を諦め、最初の攻略先を韓に変えて、紀元前230年に騰が大軍でもって韓全土を征服し韓王安を生け捕る形で、六国の最初の一角を落とす事に繋がります。漫画の狙いとしては、秦王政に中華統一の途中で一度、挫折を味あわせる事で、その道のりが決して簡単ではない事を印象付けると共に、六大将軍の一角である桓騎を排除し、信、蒙恬、王賁が六大将軍に入り込む為の空きスペースを空ける目的があるのではないかとkawasoは考えています。

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