大人気春秋戦国時代漫画キングダム。
638話では、王翦の昌平君にした頼みがついに暴露!それは咸陽ではなく黄河の反対側である斉国から兵糧を倍の値段で買って送ってもらうというものでした。
このアイデアについては、完全に裏をかかれたので完敗ですが、これで王翦が鄴攻めに勝利したというわけではありません。何故なら補給線が通じていないからです。
今回は、いまだ根本解決に到らない鄴の兵站、ロジスティックについて考察しましょう。
この記事の目次
キングダム639話ネタバレ予想「史実では真逆な王翦の攻略ルート」
いきなりちゃぶ台返しをしますが、何度か記事にしている通り、キングダムの鄴攻めは史実をなぞったものではありません。史実の王翦の鄴攻略ルートは全く真逆であり史記の白起王翦列伝によると、
始皇十一年、王翦、趙を攻めて閼与を落とし九城を抜く
と記述されていて、王翦が最初に落としたのは閼与です。
また、秦始皇本紀でも
始皇十一年、王翦、桓齮、楊端和、鄴を攻めて九城を取る。王翦、閼与・橑楊を攻む。皆并せて一軍と為す。翦、将たること十八日、軍の斗食以下を帰し、什に二人を推して軍に従わしむ。 鄴・安陽・垣を取る。桓齮将たり。
このようにあり、両方の史料に矛盾なく読むとすると、王翦は最初に閼与と橑楊を攻め、閼与は落とし、それから桓齮、楊端和と合流して九城を落とし、鄴、安陽、垣を取ると読む事が出来ます。
キングダム639話ネタバレ予想「王翦本当の侵攻ルート」
最初に閼与が陥落したと言う事は、王翦は咸陽から太行山脈を通って中腹から曲がり、閼与を破って南下して趙の領地に入り、九城を落として鄴を孤立させて包囲したと推測できます。
つまり、キングダムでは現状、閼与が落ちていないので、史実の侵攻ルートとは真逆なのです。しかし、一体全体、どうして、こんなサカサマな攻略方法になったのでしょう。そこには、今回の王翦の奇策のネタバレがあったのです。
キングダム639話ネタバレ予想「列尾は兵糧問題の為の創作」
秦王政が即位した当時、すでに秦は黄河・洛水・伊水という3つの川が流れる河南と呼ばれた地域を韓を降して奪い三川郡を置き、黄河を利用できるポイントにありました。しかし、史実ではこの辺りに趙の関所らしきものは実在しません、つまり、趙の国門列尾というのはフィクションなのです。
しかし、それでは、折角考えた秦軍を足止めして補給を断つイベントを実行できず、黄河を使用し斉から船で兵糧を送らせるというアイデアを活かす事が出来ないので、ここは史実を曲げ王翦には太行山脈ではなく、黄河の近くから三川郡を通過してもらい、その途中で列尾という架空の関所を置いて、兵糧を断つというトリックを仕掛けたのです。
キングダム639話ネタバレ予想「kawausoの後悔」
kawausoもいまになってようやく、キングダムの不自然な侵攻ルートの理由がわかりました。どうして大幅に王翦の侵攻ルートを変えたのか?不思議で仕方なかったのですが、もう少し、真面目に秦の勢力図を見ていれば、黄河の位置条件から、斉という同盟国の存在に気が付いたかも知れないのに残念です。
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