大人気春秋戦国大漫画キングダム、6週連続で連載したかと思えば2週間休みで、次の最新話は8月6日までお預けになりました。
そこではじめての三国志では、漫画キングダムでは描かれない部分を徹底して調べて皆様にご提供します。
今回は秦が中華を統一した原動力になった黄金都市南郡について解説してみましょう。
では、今回も張り切って行ってみよう、キングダム休載がキターーーーー!!
この記事の目次
キングダム裏話「秦で一番重要な都市は南郡!」
秦国のもっとも著名な都市といえば咸陽です。
確かに秦の国王が住んでいる場所ですし、大都市ですが、秦に取っては決定的に必要な場所ではありません。都合が悪くなれば遷都してもいいわけです。
実際、秦国では咸陽ではなく、雍という土地に長い間首都を置いていた関係から、国王は時々雍に戻って儀式をする事がありました。
では、秦にとってここが失われると立ちいかなくなるような重要な都市はどこか?
それが南郡という都市でした。秦は南郡を手に入れる事によって中華統一が可能になったと言っても過言ではないのです。
キングダム裏話「楚の王都で黄金郷だった南郡」
元々、南郡とは秦の領地ではありませんでした。
ここは、過去、楚の王都、郢と副都、鄢があった楚の最大の都市だったのです。
紀元前279年、秦はそれまで韓と戦っていた白起をわざわざ呼び戻して楚を攻めさせ、漢水の上流から大軍で楚の副都鄢を包囲した上で、蛮水の流れを注ぎこんで水攻めにし数十万の楚兵を溺死させ、兵力を失い丸裸同然になった王都郢に攻め込んで蹂躙、歴代の楚王の墓を焼き払う徹底破壊の上で占領しました。
では、どうして秦は韓を攻略している白起を呼び戻してまで楚を攻めさせたのか?
ここが中華で最大の黄金都市だったからです。
キングダム裏話「臨淄に匹敵する繁栄を誇る郢」
この楚の王都、郢は春秋時代から中華一の黄金の産地でした。
当時は、東の大国斉の王都臨淄に匹敵すると言われた程で、それは郢が物流の拠点であった事も意味しています。
白起は、郢を抑えて南郡とし、罪人や秦人、魏、趙、漢の住民を強制移住させて繁栄させ、結果的に秦の経済力を強化する事に繋がります。秦が郢を狙ったのは、当時の中華において希少だった黄金を入手する為でした。
キングダム裏話「楚の黄金で六国を買収する秦」
そして秦が楚の黄金を抑えた事は、黄金の力で秦が六国を買収する事を可能にしました。
紀元前235年、呂不韋が失脚した後にやってきた魏の人尉繚が秦王政に対し、秦の財力を使って六国の有力者を買収し、それによって合従軍を阻止して、智伯や夫差、直近では斉の湣王のような失敗を防ぐべきだと進言します。
この時、秦王は三十万金という大金を尉繚に与えて、六国の有力者を買収するように命じますが、この三十万金とは漢の時代の三十億銭に当たり、漢の時代の国家予算の2/3に匹敵するような金額でした。
日本に例えるなら、60兆円を買収工作に使うという事でしょう。ベラボーですね。
これほどの巨額の賄賂を前に、抗えるような六国の要人はいなかったようで、秦が恐れた合従軍も紀元前241年の五カ国合従軍を最後に二度と行われていません。
秦の侵略が激しさを増す中で、どうして六国が連動しなかったのか?
それぞれの国が疲弊していたという事もあるでしょうが、秦の買収により六国が合従軍を嫌悪していた事も大きく影響しているでしょう。
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