歩練師とはどんな人?二宮の変の始まりを招いた?孫権の妻・歩夫人

2020年11月16日


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歩練師とはどんな人?(1P目)

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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徐夫人と歩夫人

後継者争いで悩む孫権

 

因みに徐夫人は陸遜(りくそん)の従兄弟に当たる陸尚(りくしょう)という人物に嫁いでおり、彼が亡くなって未亡人となったので孫権の正室として迎え入れられた人物です。しかし彼女は嫉妬深いとして孫権の遠ざけられました……ですが彼女が具体的にどう嫉妬深かったのかというエピソードは分かっていません。

 

呉の小覇王・孫策

 

ただし彼女の前夫である陸尚の祖父・陸康(りくこう
)
は孫権の兄の孫策と敵対しており、最終的に憤死にまで追い込まれているという遺恨があります。もしかしたらそういった過去もあって、孫権と上手くいかなかったのかな……とも筆者は思いました。

 

そう思うと徐夫人は嫉妬深い、歩夫人は嫉妬とは無縁、のように扱われているのも何だか比較されているようにも見えてきて、何やらどろどろしたものを感じさせますね。

 



孫登と徐夫人

正史三国志・呉書を作り上げる韋昭(いしょう)

 

ただし孫登は母親として徐夫人を慕っていたようです。前述したエピソードもそうですが、孫登には歩夫人と徐夫人に対する態度が分かるエピソードが残されています。

 

呉志(呉書)_書類

 

孫登は歩夫人から贈り物があると辞退はしなかったものの、拝受するだけに留めました。対して徐夫人から衣服が贈られると、必ず沐浴してからこれを見に付けたと言います。これだけでも当時から孫登が徐夫人を母親として尊重していたということが分かります。

 

歩夫人の遺したもの

ポイント解説をするセン様

 

ここまで読んで頂ければイメージできると思いますが、筆者は歩夫人に今一つよいイメージを抱いていません。歩夫人は皇后になれる身分ではなく、ある意味で皇后になるのに必須とも言える息子もいないのです。

 

二宮の変に巻き込まれて皇太子から格下げされる孫和

 

それにも関わらず孫権が彼女を皇后にすることを譲らなかったので、皇后が立たず、皇太子である孫登も苦労し、後に二宮の変の原因ともなる娘たちのきっつい性格……と数々の遺恨を生んでしまいました。

 

せめて歩夫人が自ら皇后を辞退してくれれば……と思うのですが、そういった行動もなく、このためかどうかは知りませんが後に娘がこれ(生前に皇后になれなかったこと)を理由に別の孫権の夫人を追い落とすなど、国内不和の原因を作り出しています。

 

痛い目にあう孫権

 

この全てが彼女のせいという訳ではありませんが、せめて孫権に気に入られているならもう少し孫権に正道を説いて欲しかった……と言うのが、筆者の飾らない本心ですかね。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

嫉妬しない慎み深い女性というイメージがある歩夫人ですが、筆者のイメージはどちらかというと「何も主張しない女性」です。自分の意見を言わないから孫権に気に入られたけれど、そのために後々に遺恨、禍根を生み出してしまったのではないかと思います。

 

今回は少々苦々しいお話となりましたが、歩夫人の新たなイメージとして……この機会に述べさせて頂きました。二宮の変から見た歩夫人の一面、役割、きっかけ……皆さんは、どう思いますか?

 

参考文献:呉書呉主伝 三嗣主伝 妃嬪伝 建康実録

 

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陸遜特集

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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