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この記事の目次
「この恩知らずめ!」
釈放され、命に情けをかけられた董荼那と阿会喃。ですが蜀軍とはまだまだ敵対、南蛮軍に返ると再び孟獲に出撃を命じられます。歯切れ悪く出撃した先で更に二人の心を攻めたのが蜀軍武将、馬岱の言葉。
「一度は捕縛され丞相によって逃がされたというのにまだ武器を向けるのか、この恩知らずめ!」
従兄弟の馬超と同じく放浪に次ぐ放浪から蜀へと身を置いた馬岱のこの言葉、中々重い言葉です(今後を考えると特に)。その言葉にショックを受けたのか、董荼那と阿会喃はそのまま撤退をしてしまうのでした。
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揺れた心の先
その後、一度諸葛亮に敗北するも釈放された孟獲。孟獲は各地の洞主たちを集めて諸葛亮に対抗しようとします。
ここで集められた董荼那、そして阿会喃は既に諸葛亮に心を折られていたのでしょう。二人は手を組んで孟獲を捕縛、蜀軍に身柄を引き渡しました。が、孟獲は諸葛亮によって釈放されてしまいます。
帰ってきた孟獲が裏切り者である董荼那、阿会喃を許すはずはなく、二人は裏切り者として孟獲によって殺されてしまったのでした。
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「失望しました!丞相のファン止めます!」
ここで少し気になるのが、董荼那、阿会喃が孟獲を裏切るかどうかは分からずとも、裏切った二人の元に孟獲を釈放すればどうなるかくらいは諸葛亮にも分かっていたはずです。
とは言えここで二人を孟獲が裏切り者として処理しても蜀軍は困らない、むしろ敵が減って、しかもこちらの手も煩わせずに良かった……と思う場面ですが、言ってしまえばこれは「見殺し」!
サラリと流されていますが、あくまで三国志演義では正義として描かれている蜀の、それも諸葛亮がやった行動としては黒すぎないでしょうか?
これには流石にゲンメツ!シツボウ!これは人柄に優れている魏の曹真殿のファンになるしかない!というのは冗談としても、策とは言えもう少しアフターフォローが欲しかったと思う盤面です。
これも戦争、まだまだ南蛮編は始まったばかりですが、それでも三洞元帥らは諸葛亮の孟獲の心を折るための(そしてついでに趙雲と魏延が暴れたかったからという理由での)犠牲にされたのではないか……と、この場を借りてツッコミさせて頂きました。
三国志ライター センのひとりごと
三洞元帥は南蛮編での先鋒とも言える存在です。悪い言い方をすればあくまえ前座、サラリと状況の説明とこれからの説明を含ませて終わりと言った所でしょうか。
それでもこの後で「たくさん犠牲者を出しちゃった……こんなに犠牲を出したんだからもう長生きできないわ……」と嘆くならもうこのタイミングで言ってあげてよ、なんてちょっとツッコミどころが多めな南蛮編の始まりのご紹介でした。
参考文献:三国志演義
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