三国志ファンならずとも、内心は気にしているはずの『新解釈・三國志』いよいよ映画の封切りが12月11日と迫ってきました。でも、三国志って何よ?大泉洋が出るから一応見るけど…と考えている方も一定数おられるとkawausoは推測します。
そこで、今回は、三国志の主人公、劉備と孔明が出会う三顧の礼について、そらもう!あり得ない程、簡単に分かりやすくご説明致します。
三顧の礼とは?
そもそも三顧の礼とは、人の家を3回尋ねてスカウトするという意味です。はい、そうですね、問題は人の家を3回尋ねるのが、なんで三国志では重要なイベントなのか?という事ですね。
実は、劉備という人は、孔明を尋ねる時点で左将軍という見た目と違い、どえらい肩書を持っています。今で言えば大臣クラスと言っていいでしょう。
一方で、孔明はすごいぞ、すごいぞと噂されながらも、この時点ではどこにも就職していない、27歳のニート君でした。
防衛大臣である劉備(47歳)が、関羽、張飛というお供を従えて、ニートの孔明に3度も会いに行って、スカウトしたというのが三顧の礼の意味なのです。しかも、3回も尋ねたのに、最初の2回は孔明が留守でした。
普通の防衛大臣なら、それが現代でも
「失礼すぎでしょ!あのクソニート。一体何様よ!俺、もういかないかんね」
となるところを、劉備は何一つ文句を言わず、
「いやいや、こちらが頼みに来たのだから」と終始低姿勢でした。
ニートの孔明も、大臣クラスで年齢も20歳離れている劉備の謙虚さに感銘を受けて、スカウトを承知して劉備の配下になったのです。以上が三顧の礼の意味です。
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福田監督は三顧の礼をパロディにしたのか?
三顧の礼を理解した賢明な読者の皆さんは、『新解釈・三國志」でムロツヨシ演じる孔明が、劉備のスカウトを秒速でOKするのを見て、きっとこう思うでしょう。
「そうか!孔明に劉備のスカウトを秒速でOKさせる事で、三顧の礼をパロディにしたんだな」
確かにその解釈でも間違いではありませんが、福田監督は、もう少し深い解釈を施しています。
実は史実の孔明は、劉備が訪ねてくる前からあの手この手でアピールをして、劉備が自分を尋ねてくるように仕向けた可能性があるのです。
三顧の礼は孔明のヤラセだった!
劉備が孔明を軍師に迎える少し前、劉備軍には徐庶という軍師がいました。そして、この徐庶が劉備に「孔明と言う天才軍師がいるので訪ねてみては?」と孔明の居場所を教えた張本人なのです。
さらに!さらに!この徐庶は孔明とは親友であり、同じ師匠の元で学んだ同級生でした。つまり、徐庶は親友の孔明を劉備に売り込む為に、あえて居留守を使って劉備を焦らし、自分を高く売り込むように、孔明にアドバイスした可能性があります。
極端な事を言えば三顧の礼はヤラセで、本当の孔明は秒速で劉備に仕えたかったのです。『新解釈・三國志』では、それを表現する為に三顧の礼を省いたのかも知れません。
最初から主君を騙してしまうとはlおそるべし孔明の罠です。
また、魏略という史料によれば、孔明は自ら劉備の城に行き、「あんた、だらだらしていると曹操に滅ぼされるよ!」と挑発して劉備の気を引き、軍師の座をゲットしたと書かれています。
どっちが本当は分かりませんが、孔明は理想の主君がやってくるのを、いつまでも黙って待っているような、夢見る夢子ちゃんではなかったかも知れません。
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三顧の礼は大変だった
また、三顧の礼は実際にあったとすれば、大変な重労働でした。広い広い中国大陸では、となり近所と言っても行くだけで5~6時間という事はザラなのです。だから徒歩ではなく、馬車や牛車や騎馬のような移動手段が発達したのでしょう。
三顧の礼があった当時、劉備の本拠地は荊州の新野城という場所であり、孔明は荊州の隆中という所に住んでいましたが、直線距離で80キロもあります。隆中は山の中なので、実際の移動はもっと長く感じたでしょう。
劉備一行が馬で移動したとしても、おそらく半日がかりでしょうし、それで孔明が留守だったら、往復だけで1日が潰れてしまいます。それを孔明は2回留守にしているんですから、言い出しっぺの劉備はともかく、お供しているだけの関羽や張飛は、相当頭に来た事でしょう。
三国志演義では、3度目に孔明の庵を尋ね、孔明が昼寝しているのを知った張飛が逆上し、家に火をつけようとして関羽に止められています。事情を知らなければ「張飛は短気だなー」と思いますが、2日も時間を潰した相手が、のんきに昼寝していれば、頭にも来るでしょうね。
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『新解釈・三國志』三顧の礼の見どころ
従来の三国志では、孔明は生真面目で冷たい印象がある秀才肌の人物でした。しかし、『新解釈・三國志』でムロツヨシが演じる孔明は、いい加減で明るく、劉備を煙に巻くような、愉快な人として登場します。
また、三国志演義では仲むつまじいとされた、正室の黄夫人(橋本環奈)が『新解釈・三國志』では鬼嫁として描かれ孔明を虐げるそうですから、その辺も楽しみですね。
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