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この記事の目次
曹操悪役の理由5:自分本位で世間に流されない
曹操は1800年前の人としては、驚異的に個が確立している人でした。それは、世間の常識に流されず自分本位を貫くという事でもあります。
曹操が大魔王董卓の暗殺に失敗し逃亡している際、友人呂伯奢に匿われます。しかし、疑心暗鬼の曹操は、家族が料理の為に刃物を研いでいるのを自分を殺そうとしていると勘違いし、先手必勝で殺害します。
殺してから間違いに気づいた曹操ですが、少しも悪びれずに逃亡し、途中で呂伯奢に出くわすと、一度は無視して通り過ぎてから、馬首を返して剣を抜き呂伯奢も殺害しました。家族殺しがバレる事を恐れた口封じの為です。
そして、「俺が他人に叛いても他人が俺に叛く事は許さない」とつぶやきました。
並みの人物なら、自分が勘違いで人を殺した罪の意識に気が動転するでしょう。しかし、曹操は殺したモノは仕方がないし、自分には天下を救いたいという野望があり、ここで捕らえられるわけにはいかないと決意するや、証拠隠滅に全力を使ったのです。
凄まじいエゴイストですが、世間的な殺人=罪というモラルに流されない強力な個は、古い時代を破壊して新しい価値観を打ち立てる大きな原動力になります。
でも、リアルな話、こういう人が周囲にいたらおっかないですよね?強い人物ですが、少なくとも正義の味方とは言えません。その自分本位の悪のカリスマ性が強調され、曹操は三国志屈指の約役になるのです。
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三国志ライターkawausoの独り言
三国志演義は、曹操と言う強力な悪のカリスマなしには成立しません。曹操が放つ個性的で、圧倒的な悪があるから正義を標榜する劉備一行が引き立ち、強いコントラストが生まれ、物語が魅力を放つのです。ある意味では、曹操こそが三国志演義の主役であると言えるでしょう。
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