兀突骨とはどんな人?むしろ西遊記に出た方がいい怪物

2021年1月9日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

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おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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兀突骨

 

兀突骨(ごつとつこつ)は、三国志演義にのみ登場する架空の人物です。三国志演義の後半、孔明の南蛮征伐で登場するのですが、設定を色々盛り過ぎた結果として、生きた獣や蛇を食べ身体が鱗に覆われた身長3m近い巨人となりました。

 

 

どこからどう見ても怪物という容貌から、どちらかと言うと西遊記に出た方が違和感がない兀突骨ですが、ギャグみたいな設定にもかかわらず最後は悲惨そのもので、思わず同情してしまいたくなるほどです。

 

今回は、南蛮色物キャラ兀突骨について面白く解説します。

 

ズバリ!兀突骨とは?

怪獣大決戦のような兀突骨 vs 孔明軍

 

ズバリ兀突骨とは?簡単にまとめると以下の通りです。

 

1 南蛮にある烏戈国(うかこく)の王
2 身長十二尺(276㎝:後漢の尺)移動は象だよ。
3 全身が鱗に覆われている。怪物だね!
4 油を藤の蔓に沁み込ませ編んだ藤甲を着用。
軽くて水に浮き、刀も矢も通さない最強の鎧サ!
5 孟獲のヨメ祝融(しゅくゆう)の弟の帯来(たいらい)の要請で戦いに参加
6 藤甲軍(とうこうぐん)で蜀軍を大敗させる
7 火に弱い藤甲の弱点を孔明に知られる
8 魏延(ぎえん)の偽撤退に騙され盤蛇谷()に誘い込まれ
軍勢もろとも焼き殺される
9 凄惨な最期に孔明はトラウマを背負う

 

さて、ここからは、兀突骨のより詳しい解説をしていきましょう。

 

兀突骨は怪物そのものの容貌

三国志演義_書類

 

三国志は一応、史実を元にしている作品なので妖術などは出てくるものの、西遊記(さいゆうき)のような妖怪変化は、基本出てきません。兀突骨は、そんな三国志演義唯一の例外です。彼は烏戈国王で身長十二尺(後漢の尺で276㎝)穀物を食べず、生きた動物や蛇のみを食べ、全身を鱗に覆われるという悪ふざけのような容姿で登場します。

 

時代を超えて愛される中国四大奇書「西遊記はじめての西遊記

 

どうして兀突骨は怪物になったのか?

三国志演義の作家 羅貫中

 

孔明の南蛮遠征は史実に存在するものの、記述が乏しいので三国志演義に取り込むには多くの脚色が必要になりました。そこで、三国志演義のライターは、中華の外の未知の民族を想像力豊かに書きあげ、兀突骨は現実にはあり得ない怪物と化したのです。

 

夜の五丈原で悲しそうにしている孔明

 

また、南蛮征伐が終わると三国志演義は北伐(ほくばつ)五丈原(ごじょうげん)での諸葛亮(しょかつりょう)の死と悲しい話が多くなるので、その前段階での賑やかしの意味もありました。南蛮征伐が全体として蜀軍が快進撃を続ける話になるのは、そういう理由もあります。

 

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祝融の弟、帯来洞主の要請で参加

兀突骨のもてなしにドン引きする孟獲

 

元々は、孟獲(もうかく)とも蜀軍とも無関係だった兀突骨ですが、諸葛亮の軍勢に六度も負けて、もう後がない孟獲に対し、祝融の弟の帯来が兀突骨に援軍を要請する形で話に参加します。兀突骨は、孟獲一派をゲテモノ料理でもてなし、南蛮の共通の宿敵として蜀軍と戦う事を約束するのです。

 

藤甲部隊で蜀軍を翻弄

藤甲軍(南蛮兵士)

 

兀突骨の烏戈国には、藤甲という無敵の鎧がありました。これは藤の蔓に油をしみ込ませて編み上げた鎧で、軽くて水に浮き、矢も刀も通さない程に頑丈でした。

 

孔明

 

藤甲に身を包んだ兀突骨の数万の軍に蜀軍は歯が立たず、散々に撃ち破られます。しかし、孔明は藤甲を回収して研究、藤甲が火に極めて弱い事を発見します。

 

孔明

 

こうして、孔明は悪魔の計略を思いつく事になりました。

 

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盤蛇谷で兀突骨は焼き殺される

藤甲兵に地雷火を仕掛けた諸葛亮

 

孔明は、盤蛇谷(ばんじゃだに)という谷にわざと蜀軍の軍需物資を配置して、そこに火薬を詰め込んだ木箱を適当に配置、谷の上には弓兵を伏兵させておきました。

 

魏延

 

こうしておいて、孔明は魏延に、わざと兀突骨に負けた振りをして盤蛇谷まで誘導するように命じます。そうとは知らない兀突骨は逃げる魏延を調子に乗り追い駆け盤蛇谷まで来ると、そこには蜀軍が放置した軍需物資が山積みになっていました。

 

兀突骨は、それを罠とも知らずに数万の藤甲兵と夢中で略奪していると、谷の上から火矢が射かけられ、火薬箱に命中して爆発。火に弱い藤甲を着ている烏戈国の兵士は、一斉に炎に包まれます。兀突骨も火で焼かれて黒こげになり焼死してしまうのです。

 

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孔明にトラウマを残した兀突骨

ちょっとやり過ぎたと反省する諸葛亮孔明

 

烏戈国の藤甲兵が焼け死ぬ断末魔を孔明は見ていました。そして、自分のやった余りに悪魔的な計略に恐怖して後悔。

 

いまさらのように、「こんな悪魔の所業をなした以上、私は報いで長生きできないであろう」と言い出します。

 

過労死する諸葛孔明

 

これが三国志演義における五丈原での孔明の病没に繋がる伏線らしいのですが、兀突骨は、死に際の断末魔の苦しみにより、孔明をビビらせ寿命を縮めさせたと言えるかも知れません。ただ、孔明は53歳で死んでいて、当時の平均寿命は何とか超えているので、兀突骨のせいで特別早死にしたとは言えないと思います。

 

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三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

南蛮には、毒の泉を使う朶思大王(だしだいおう)や、猛獣を使う南蛮ムツゴロウ木鹿大王(ぼくろくだいおう)など、怖くて愉快なイロモノキャラが出てきますが、その中でも兀突骨のキャラは異彩を放っています。

 

孟獲

 

兀突骨は孟獲が最後にすがった助っ人南蛮キャラで、兀突骨の死後、孟獲は万策尽きて孔明に降伏しています。その関係もあり、兀突骨には派手に焼け死んでもらい、孟獲の抗戦意識にダメを押す思惑もあったと考えられます。派手に登場し悲惨な最期を迎えるのは、いかにも南蛮のラスボス兀突骨らしいですね。

 

参考文献:三国志演義

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。「はじめての三国志」編集長。三国志・中国史を中心に、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を執筆・編集し、当サイトでは4,000本以上の記事を担当。三国志は正史から入ったため、演義を書くときのほうが神経を使うという天邪鬼。故郷・沖縄の歴史に関する勉強会の開催や、ラジオパーソナリティとしての活動も行う。

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