兀突骨は、三国志演義にのみ登場する架空の人物です。三国志演義の後半、孔明の南蛮征伐で登場するのですが、設定を色々盛り過ぎた結果として、生きた獣や蛇を食べ身体が鱗に覆われた身長3m近い巨人となりました。
どこからどう見ても怪物という容貌から、どちらかと言うと西遊記に出た方が違和感がない兀突骨ですが、ギャグみたいな設定にもかかわらず最後は悲惨そのもので、思わず同情してしまいたくなるほどです。
今回は、南蛮色物キャラ兀突骨について面白く解説します。
この記事の目次
ズバリ!兀突骨とは?
ズバリ兀突骨とは?簡単にまとめると以下の通りです。
1 | 南蛮にある烏戈国の王 |
2 | 身長十二尺(276㎝:後漢の尺)移動は象だよ。 |
3 | 全身が鱗に覆われている。怪物だね! |
4 | 油を藤の蔓に沁み込ませ編んだ藤甲を着用。 軽くて水に浮き、刀も矢も通さない最強の鎧サ! |
5 | 孟獲のヨメ祝融の弟の帯来の要請で戦いに参加 |
6 | 藤甲軍で蜀軍を大敗させる |
7 | 火に弱い藤甲の弱点を孔明に知られる |
8 | 魏延の偽撤退に騙され盤蛇谷に誘い込まれ 軍勢もろとも焼き殺される |
9 | 凄惨な最期に孔明はトラウマを背負う |
さて、ここからは、兀突骨のより詳しい解説をしていきましょう。
兀突骨は怪物そのものの容貌
三国志は一応、史実を元にしている作品なので妖術などは出てくるものの、西遊記のような妖怪変化は、基本出てきません。兀突骨は、そんな三国志演義唯一の例外です。彼は烏戈国王で身長十二尺(後漢の尺で276㎝)穀物を食べず、生きた動物や蛇のみを食べ、全身を鱗に覆われるという悪ふざけのような容姿で登場します。
どうして兀突骨は怪物になったのか?
孔明の南蛮遠征は史実に存在するものの、記述が乏しいので三国志演義に取り込むには多くの脚色が必要になりました。そこで、三国志演義のライターは、中華の外の未知の民族を想像力豊かに書きあげ、兀突骨は現実にはあり得ない怪物と化したのです。
また、南蛮征伐が終わると三国志演義は北伐、五丈原での諸葛亮の死と悲しい話が多くなるので、その前段階での賑やかしの意味もありました。南蛮征伐が全体として蜀軍が快進撃を続ける話になるのは、そういう理由もあります。
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祝融の弟、帯来洞主の要請で参加
元々は、孟獲とも蜀軍とも無関係だった兀突骨ですが、諸葛亮の軍勢に六度も負けて、もう後がない孟獲に対し、祝融の弟の帯来が兀突骨に援軍を要請する形で話に参加します。兀突骨は、孟獲一派をゲテモノ料理でもてなし、南蛮の共通の宿敵として蜀軍と戦う事を約束するのです。
藤甲部隊で蜀軍を翻弄
兀突骨の烏戈国には、藤甲という無敵の鎧がありました。これは藤の蔓に油をしみ込ませて編み上げた鎧で、軽くて水に浮き、矢も刀も通さない程に頑丈でした。
藤甲に身を包んだ兀突骨の数万の軍に蜀軍は歯が立たず、散々に撃ち破られます。しかし、孔明は藤甲を回収して研究、藤甲が火に極めて弱い事を発見します。
こうして、孔明は悪魔の計略を思いつく事になりました。
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