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夫婦の最期の会話
劉邦夫婦の最期の会話を、ここで振り返ってみましょう。
「陛下にもしものことがあって、蕭何が死んだら、誰を代わりにしたらいいでしょうか」
「曹参がいい」
「その次は」
「王陵がいい」
「その次は」
「それからはお前の知るところではない」
一部のみ抜粋しましたが、呂后は劉邦が死んだ後の世が気になって気になってたまらないという印象が受けます。
それはそうでしょう、劉邦が死んだら自分の子がその座に着くのです。できるだけ上手に回せるようにしてあげたい、何も問題なくしたい、そして邪魔になるものは今の内に取り除いておきたい……そう考えたとしても、おかしくはないのではないでしょうか。
自分が死んだ後の世はそこまで関わることはできないし、知ることはない、と考える劉邦。自分の子の代が気になって仕方がない呂后。こうなるとどちらが粛清に乗り出しやすいか……という、粛清に付いて、筆者なりの意見でした。
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三国志平話
さて最後にちょっと三国志平話のお話を。これは三国志の原型となったと言われている話ですが、これには韓信の粛清の話が出てきます。
死んだ韓信は冥界で自分は無実なのに殺されたと裁判官に訴えます。これにおいて実は劉邦も、韓信を疑心暗鬼から無実であるにも関わらず呂后に殺させたことが分かります。
最終的に韓信は曹操に、劉邦は献帝に、呂后は伏皇后に生まれ変わり、韓信は自らの敵討ちを成し遂げます。これはこの時点で既に民間では「韓信は無実で殺された」という意識があったということでしょうか。
同時に三国志演義では曹操が献帝を良いように使い、伏皇后を残酷に殺す場面が「韓信の敵討ちだから」とある意味で肯定されている……というのも注目ポイントです。
韓信の謀反に関しては色々と思う所ありますが、こういう当時の人々の意識が窺い知れるのは面白いですね。
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三国志ライター センのひとりごと
今回は主に粛清について、話を述べさせて頂きました。粛清と言うと何だか悪いイメージばかり思い浮かびますが、見方を変えるとまた別の側面も見えてきました。
三国志ではあまり粛清というシーンは出てきませんが、それはやはり三国入り乱れの明確な「外の敵」がいるからでしょうか。
そう思うとますます面白くなってくる三国志の沼、皆さんもどうぞこの深みへ……ちゃぷん。
参考文献:史記 第8高祖本紀 三国志平話
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