シルクロードを開いた張騫、漢の武帝が西域に派遣した漢の生涯

2021年11月20日


 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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その後の張騫とシルクロードの始まり

長安(俯瞰で見た漢の時代の大都市)

 

長安に帰還した後、十数年の抑留生活の中で匈奴の情報を良く知っていた張騫は武帝に重用され、大将軍・衛青(えいせい)の幕僚として匈奴との戦いに従事します。途中、一時匈奴に敗れて責任を取らされて死罪にされそうになりますが、過去の功績が評価されて死罪を免れるという一幕もあります。その後も、西域から帰ってきた後の張騫は、匈奴に対する軍事作戦や外交に関わりつづけました。紀元前114年にその生涯を閉じたと言われています。

 

張騫が亡くなる直前の紀元前119年には史上に名高い名将である衛青・霍去病(かくきょへい)の活躍により、漢は匈奴に対して決定的な勝利を挙げ、以降匈奴は漢に対抗する力を失ってしまいます。張騫もこの勝利を知っていたはずであり、匈奴との戦いに全てをかけた張騫の人生はこの勝利によって報われることになります。

 

しかし、匈奴に大勝した後であっても、漢の武帝は張騫の語った「汗血馬」の存在を忘れることができませんでした。武帝は汗血馬を渇望し、匈奴の弱体化に乗じて西域への支配を拡大するばかりでなく、汗血馬の産地である大宛に大軍を送り込み、力ずくで汗血馬を手に入れようとします。その武帝の執念はついに実り、紀元前102年、ついに大宛を降して汗血馬を手に入れます。

 

これ以降、武帝は張騫がもたらした情報をもとに、従来の支配者であった匈奴に代わって西域経営に着手するとともに、駿馬を求めて西域や中央アジアの諸地域との交易を推進します。

 

三国志 シルクロード

 

中国産の絹と西域の馬を取り引きするこの貿易は「絹馬貿易(けんばぼうえき)」と呼ばれ、中国産の絹が中央アジアを通じて地中海へ至るというシルクロード交易の基盤をなすことになります。こうして、以降ユーラシア大陸の東西をつなぐ「シルクロード」と呼ばれる交易路が本格的に用いられるようになったのです。

 

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三国志ライター Alst49の独り言

Alst49さん 三国志ライター

 

いかがだったでしょうか。シルクロードはあまりにも有名ですが、その始まりには様々なドラマがあったのですね。張騫の十数年に渡る大冒険と汗血馬に対する武帝の渇望こそがシルクロードを開いたと考えると、人の執念こそが歴史を形作ることもあるのだな、という感慨に浸らずにはいられません。

 

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大学院で西洋古代史を研究しています。中学1年生で横山光輝『三国志』と塩野七生『ローマ人の物語』に出会ったことが歴史研究の道に進むきっかけとなりました。専門とする地域は洋の東西で異なりますが、古代史のロマンに取りつかれた一人です。 好きな歴史人物: アウグストゥス、張遼 何か一言: ライターとしてまだ駆け出しですが、どうぞ宜しくお願い致します。

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