三国志のような歴史物語に触れている時間って、ほんとうに楽しいですよね!
楽しいのですが、しかしそうしている間にも、日本の社会も、国際情勢も、どんどん変わっていきます。毎日のニュースを見ていても憂鬱になることばかり。そんなことなら、いっそまた、三国志の世界に没頭して現実を忘れよう!と思う日々もよいのですが。
ふと、こんなことを考えてみたことはありませんか?
いっそ現代の日本に、三国志の英雄が現れてくれて、憂鬱な問題を解決してくれないものだろうかと。そんな妄想を、今回は追いかけてみましょう。すなわち、三国志の中でも最大の知恵者とされる諸葛孔明が、日本の総理大臣になったらどうなるか?
そんなイフ世界を思い描いてみましょう!
この記事の目次
諸葛孔明に総理大臣をやらせるならまず「理想」は掲げないといけない?
もっとも忘れてはならないのは、諸葛孔明は劉備玄徳というリーダーが「私は漢王朝を復興させたい」という理想を掲げたのを受けて、その実現のための具体的な戦略を練るところからキャリアをスタートさせた人、ということ。
自分自身が何かを「やりたい」と思っているのではなく、仕えた人の理想実現のために最高の戦略を考え出すタイプの人なのです。この人に総理大臣になってもらうならば、日本がどの方向へ進むのかの未来像は提示してから、仕事を依頼しなくちゃいけません。
その「日本の未来像」を描くところで、現代日本は喧々諤々の議論堂々巡りという抜本の問題がありますが。まあこれはクリアしたとして。たとえば「厳しい国際情勢の中で、引き続き日本が影響力のある経済大国でありたい」という理想を依頼した、としましょう。
これくらいの漠然とした理想でもOKです!
劉備玄徳の理想だって「漢王朝の復興」という、かなり漠然としたものでしたが、これで孔明の頭は回転を始めるので、じゅうぶんです!
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諸葛孔明が展開するだろうプランはこれだ!
さて総理大臣として動き出した孔明。彼の物事の考え方は、まず大局を見て、その中で「最適な生き延び方」を考えるところから始まります。
有名な「三国鼎立の策」も、当時の中国の各勢力のパワーバランスを分析した上で出した策でした。日本の総理大臣になっても、まずは国際情勢の徹底分析から手をつけるでしょう。
そしておそらく彼の打ち出すのは、アメリカ、EU、ロシア、中国という四強が複雑に利害を絡み合わせる中で、「そのどれにもつかず、かつ、そのどれからも決定的に攻め込まれない」絶妙なバランスをとるしかない、という結論でしょう。
そんなことができるのか?それが無理だから、今の日本は、どこかの大国に常にくっついていないと危険な状況なのではないのか?
しかし規格外の軍師の孔明ならば、世界の四強すべてにウラで手をまわし、誰からも手を出されない巧みなバランス外交を展開することでしょう。もちろん、この実現のためには孔明が総理大臣と外務大臣を兼任し、自分で外交を握るに違いありません!
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日本の復活プランは蜀の内政政策と同じ?
こうして、巧みな外交戦略を続けながら、次に孔明がやるのは日本の経済力復興でしょう。外交の基盤になるのは、やはり経済力。それを知っている孔明は、内政を固めて国力を高めます。
これは、魏と戦うために、国境を閉ざして独自貨幣を発行し、農業や塩生産で経済安定を図った蜀時代の方法論と基本的には同じです。
そこで孔明は、経済産業大臣と国土交通省、財務大臣を兼任で一手に握り、日本の民間を活性化させて経済を潤わせる計画を次々に発表していくでしょう。そして国の基本は「人」と理解している孔明のこと、おそらくは、地方創生・少子化対策・男女共同参画特命大臣も兼任し、日本の人口構造そのものを抜本から変えていく施策を打っていくことでしょう。
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その本領発揮はやはり防衛力強化?
孔明が次に手を付けるのは、防衛力の強化でしょう。さあ安心してください。ここぞ諸葛孔明がいちばん輝くジャンル。単に防衛費の強化、なんていうつまらないハナシだけではなく、さまざまな手を打ち始めるでしょう。
周辺諸国から攻められたらヤバイ場所にはすべてに石兵八陣を敷き、敵国が攻めてきても異様な殺気と天候変化で撤退せざるを得ない防衛ラインを築くでしょう。のみならず彼のこと、日本を守る新兵器を続々と開発し、核攻撃を無効化する兵器、化学兵器を無力化する兵器など、斬新な防衛システムをどんどん取り入れていくことでしょう!
もちろん、この仕事をスピーディーにこなすために、孔明は防衛大臣も兼任することでしょう。
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まとめ:問題となる諸葛孔明の最大の弱点とは?
いかがでしょうか?
諸葛孔明を総理大臣に据えると、このように続々と仕事をしてくれそうですよね?
でも、ふと立ち止まりましょう。
これでよいのでしょうか?
諸葛孔明は総理大臣だけでなく、複数の閣僚を兼任しております。まさに三国志の物語の中でも敵軍に見透かされた通り、「蜀は諸葛孔明一人が朝から晩まで働いてなんとかもっている国、孔明の寿命が尽きればそれまでだな」と思われてしまうかもしれません。
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三国志ライターYASHIROの独り言
そうです。
孔明の悪いクセ、「ぜんぶを自分一人でやってしまう」「後継者を育てない」「せっかく良い人材がいても一度の失敗で泣いて斬ってしまう」があるかぎり、せっかく彼の日本再興がうまくいったとしても、彼が突然、早世してしまい、日本は大混乱に陥るでしょう。この不安が残りますよね。
そもそも、いくら諸葛孔明というビッグネームであっても、一人の人間にここまで権力を集中させることが長期的によいことなのかという疑問もあります。
というわけで!
優等生的な結論に収まってしますが、やはり諸葛孔明が転生してきて総理大臣になってくれるのを夢見るよりは、今の日本で一人一人がしっかりとやるべきことをやっていく、それが基本なのではないか、と相成るのでした。だって「日本の進むべき未来像」は決まっているのですから!あ、いや、ここが一番、議論が難しいところなのでしたね。悩ましい。
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