この記事の目次
猪八戒がセクハラした嫦娥という天女
さて、ここでもう一度思い出して欲しいのが天蓬元帥の罪。蟠桃会で、天蓬元帥は嫦娥という天女に言い寄りました。強引に言い寄ったとのことで、まあセクハラをやらかしたので追放処分も止む無しでしょう。
もうちょっと言うと沙悟浄はミスで天帝のお皿を割ったので追放処分ですが、彼には地上に降りてからもずっと剣で脇腹を貫かれるとか言う体罰も加わるんですが……それは置いときましょ。で、この嫦娥という天女が注目点。
太陽がいっぱい!十日神話とは?
-
十日神話とは何?古の殷の時代の伝説では太陽が10個もあった!?
続きを見る
嫦娥は旦那の不老不死の薬まで飲み天界に帰るが…
とある伝承で、嫦娥という天女が夫と共に出てきます。ある時、地上を救うために嫦娥の夫が天帝の息子の火鳥たちを弓で射ることになりました。これで地上は助かったのですが、子供たちを殺された天帝は夫も、嫦娥も地上へ追放としました。夫婦は旅の果てに西王母様から二つ分の不死の薬を貰います。
しかし二つ分の薬を飲めば天に帰れると知った嫦娥は、夫の薬も飲み干して一人で天に帰ってしまうのでした。
道教の神々を紹介
-
三国志の武将も登場!道教の神様まとめ
続きを見る
天界の人々に冷たくされヒキガエルになって月へ逃げる
ですが、夫を見捨てて一人で天に帰った彼女に天界の人々は辛く当たりました。彼女はそれから逃げるために月に逃げ込みますが、その身体は既に美しさを失い、醜い蟇蛙となっていました。
そして彼女は一人、冷たく孤独な世界で自分の罪を後悔し続けている、と言います。尚、月に行った彼女をできるだけ傍で見ようとした彼女の夫が捧げものをしたのが、月見の始まりとも言われています。
……さて、天蓬元帥がセクハラしたのはこの嫦娥でしょうか?
一説には「そもそも嫦娥は月に行ったんだから蟠桃会に出れないでしょ、別人だったのでは?」とも言われるのですが……もしかしたら同一人物?
その場合、わざわざ糾弾される場所に呼んだのか?
もしかして呼ばれてないのに来た?
というか見た目は蟇蛙では?
と色々と余計な謎まで生まれるのですが、皆さんはどう思います?
天動説vs地動説
-
地動説が天動説に勝利するまでの軌跡を解説
続きを見る
三国志ライター センのひとりごと
今回は八戒の、そして彼が追放処分のきっかけとなった嫦娥のお話でした。筆者の妄想としては
「そもそも女癖がめっぽう悪い天蓬元帥を追放する理由として嫦娥を呼んだ」
「この時だけ元の姿にした」
「見せしめみたいな扱いで嫦娥に対する罪も含んでいるので、終わったらまた元通り」
とかいう天界めちゃめちゃ性格悪い説を考えてみたのですが、いかがでしょうか。
西遊記からは逸脱しちゃいますが、こういうのもたまには面白いと思いますね。
ざぶーん。
参考文献:西遊記 嫦娥奔月
石猿が孫悟空になるまで
-
西遊記エピソードゼロ!石猿が孫悟空になるまで【後編】
続きを見る