すっかり日本でも有名な三国時代。しかし三国志ファンにとって、ひとつ、史実の展開には悩ましい点がありますよね。そうなのです、「天下統一が達成された!」というカタルシスが、ないのです!
この記事の目次
三国時代が終わっても中国「統一」はずいぶん後のハナシ?
劉備も曹操も孫権も、天下統一を果たせず亡くなってしまいます。
そして魏呉蜀のいずれでもない、晋の司馬炎によって、中国統一は果たされます。しかもその晋も、けっきょくは長続きしないのです。
中国が安定した統一王朝を手に入れるまでは、三国志の時代からさらに300年以上も経過した、隋や唐の時代を待たねばなりません!
「決着が着かないところ、そこがいい!」という意見もあるでしょう。でも、せっかくの三国志、やはり中国統一で締めてほしい、と思いませんか?
そこで、今回は大胆なイフ世界を考察してみたいと思います。
後世の日本に登場した「天下統一」請負人、織田信長とその軍団に、ぜひ三国時代にタイムスリップしてもらい、「この乱世を終わらせてください!」と頼んでみましょう!
さてはて、織田軍がまるっと三国時代にタイムスリップ乱入してきたら、どうなるのか?
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一進一退を繰り返す三国抗争のど真ん中に、織田軍が、キターー!!
時は西暦220年代後半。群雄割拠の続いていた中国大陸の混乱は、魏呉蜀の三国にまで生き残りが絞り込まれておりました。この「三国」になってから、一進一退、うだうだといつまでも天下統一事業が進まなくなります。
劉備も曹操も既に世を去り、諸葛亮孔明にも年齢による衰えが目立ち始めていたこの時期、なかなか見えない中国統一事業に民衆が疲れていたところ。
織田軍が、やってきました!再充実期の彼らのところに、神仏のしわざか悪魔のしわざか、「もっと広い中国大陸で活躍してみないか」という誘いがかかり、それにまるっと全員が乗ったようです。
なにせ、信長の立場からすれば、この世界であれば、もはや足利家への遠慮だとか、京都朝廷との調整などといった足枷がありません。思う存分、軍事の才能を発揮できます。
そして最充実期の織田軍といえば、羽柴秀吉がいます、柴田勝家がいます、明智光秀がいて、丹羽長秀がいて、滝川一益がいます。これは強力すぎる軍団です!
なんと!この世界でも「本能寺の変」は起こる!その理由は・・・
三国時代に乱入してきた信長が、目をつけるのは、いきなり魏の攻略でしょう。
中原を支配しながら、魏がどうしても天下統一事業をごりごりと勧められなかったのは、魏の中にもさまざまな勢力や豪族たちが独立自尊な気運で割拠していて、「魏としての全体のまとまり」を出すことが、なかなか難しかったから、と言われております。
しかし、中国社会に対するしがらみが何もない信長。そんな魏を切り取ることが可能とみるでしょう。魏の各所領に攻め込み、有力豪族を各個撃破してはどんどん処刑し、その土地を家臣団に気前よく分け与え、またたくまに魏の勢力を乗っ取ってしまうでしょう。しかし織田軍には弱点があります。
日本史の史実でも問題になった、信長の独裁力に対する部下からの反乱のリスクです。つまり、中国にやってきた織田軍の中でも、本能寺の変は起こるのか?おそらく、起こるでしょう。
なぜかと言えば、この世界にも明智光秀がいて、二人の主従間には日本史と同じように亀裂が入っていると予想できる点と、もうひとつ、この「未来からの乱入者」織田信長が支配力を伸ばしていくことを面白く思わない、三国時代最大級の陰謀名人が、この時代に生きているからです。司馬懿仲達です!
真の戦いは司馬懿VS秀吉の間で勃発する!
このまま魏王朝が続いてくれさえすれば、曹家の力を少しずつ弱体化させていき、自分の子孫に天下を取られることができる司馬懿。なんとか、この厄介な外国人、織田信長の抹殺をもくろむでしょう。
そんな司馬懿が、明智光秀の存在に目をつけます。中国版の本能寺の変は、司馬懿が黒幕となって光秀を操る形で、実行されることでしょう。この反乱で信長は死に、織田家の血筋も壊滅的に叩かれてしまうでしょう。
そして司馬懿のこと、抜かりなく、すべての罪を光秀に着せ光秀も抹殺し、曹家でも織田家でもなく、自分の一族がまんまと中国の覇権を握るよう仕向けることでしょう。ですが!
ここで司馬懿に強敵が出現します。織田家の後継者は自分だ、と主張する筈の秀吉です。そういうわけで、中国統一を巡る最終決戦は、なんと、曹一族でも孫一族でも、もちろん劉禅でもなければ、織田家ですらない二人、司馬懿VS秀吉の、天下分け目の対決で決まりそうです!
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まとめ:このシナリオで圧倒的有利なのは秀吉!
このシナリオはどうなるのか?司馬懿と秀吉の抗争によって、中国大陸はさらに混乱するのか?いや、そうとも言えません。考えてみれば、この時の秀吉の手元には、黒田官兵衛がいます。加藤清正や蒲生氏郷もいます。内政をがっつり支える石田三成も元気です。
さらに、司馬懿のような陰謀家が相手となれば、マジメな前田利家が早々に秀吉と組むかもしれず。圧倒的な人材層!さすがに司馬懿も勝てません。
秀吉に付き従わない柴田勝家が、かろうじて呉あるいは蜀に亡命して抵抗してくるかもしれませんが、この人材層を駆使し司馬懿を破った秀吉の前には、勝家を加えたくらいでは、呉であれ蜀であれ、降伏せざるをえないでしょう。
というわけで、織田軍乱入が起こった三国時代は、圧倒的に秀吉有利!秀吉が中国統一を果たすという、途方もない結果になりそうです。
三国志ライターYASHIROの独り言
しかもこの世界には、もうひとつ、決定的に秀吉に有利な点があります。
タイムスリップしてきたのは「織田軍」というまとまりなので、徳川家康がいないのです!
はてさて、この途方もない架空戦記。秀吉が隋や唐よりも300年早く中国を統一できる、という結果になりましたが、はい、たしかに、多分に私自身の夢と希望が入ったシナリオになっております。皆様なら、どんな展開を予想しますでしょうか?
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