今回のお話は曹操の死因です。曹操のみならず、三国志の時代の有名武将たち、歴史上の人物たちの死因については多くの人々が様々な記述から色々な推測を立てて議論がされており、中には「これでは?」と思われる死因も挙げられております。
そこの今回は恐縮ながら、筆者の考える曹操の死因について、も述べさせて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いしますね。
この記事の目次
曹操の死因は脳腫瘍
さていきなりぶっこんでいきますが、曹操の死因について一番良く触れられているのが「脳腫瘍」であります。元々曹操は頭痛持ちであったとされますが、これが腫瘍によるもの、それもかなり悪性のもので、あの時代においては手の施しようがなかったのではないか、とも囁かれてますね。
実際に、医学の発達した現代においても悪性の腫瘍というのは厄介で、それもその腫瘍ができた場所によっては手のほどこしようがないとされるケースも少なくはありません。
曹操の死因=脳腫瘍説は古来よりあった?
この曹操の死因=脳腫瘍説、実は古くから考えられてきました。それも中国の明代から。というのも、実際に記録として残されています……皆さんもご存知、三国志演義ですね。
三国志演義は三国時代を基にして書かれた小説ではありますが、全てが全て荒唐無稽なものではありません。何らかの下敷きがあり、そして書かれたものです。そして三国志演義では、曹操の死因……というか、ある意味、名医である華佗の死因として、曹操の脳腫瘍の話が出てくるからです。
華佗医師、曹操の頭を開こうとする
経緯は省きますが、三国志演義では曹操は頭痛に悩まされていました。そこに呼ばれたのが名医である華佗です。華佗は曹操の状態を見ると、手術をする必要があると告げました。
頭の中にこの病気の根本があるので、それを切除する必要がある……そのため、頭を切り開くと言うのです。一応、華佗も麻酔のようなものを施してから手術を行うというのですが、時代が時代、曹操はびっくりです。
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華佗の死因=(曹操の)脳腫瘍
当たり前ですがこの時代に先進的すぎる手術方法、曹操でなくともドン引きでしょう。曹操が怒ってこれを拒絶すると、つい目の前の患者に華佗は零してしまいます。
「関羽将軍も同じように腕を切り開いて骨を削って病を治しましたが、そのように動じることはございませんでした」
これに曹操は激怒「腕と頭が同じである訳があるか!」と、それもそうだというような反論をし、嘗て関羽と親しかった華佗が病にかこつけて曹操を殺す気だ!と華佗を捕らえ、最終的に処刑してしまったのでした。
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華の死を後になって悔やんだ曹操
三国志演義で処刑された華佗ですが、正史においても経緯こそ違うものの曹操に処刑されています。
曹操は後に名医であり、自分の頭痛を治せた華佗、そしてその処刑の果てに失ってしまった我が子、曹沖の一件もあり、深く悔やんだとされています。
と、曹操は頭痛に悩まされていたことは三国志の時代から、後の時代にまで伝わり、その死因の一つとして考えられてきました。そしてここでもう一つ、曹操の死因として挙げたい病気があります。
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曹操の死因…実は歯周病だった?
2018年、とある陵墓から見つかっていた遺骨が曹操のものであると報じられた一件がありました。この曹操のものと見られる遺骨、上あご部分の歯が虫歯で失われていたりしており、曹操がかなり重度の虫歯、歯周病に悩まされていたと考えられています。つまり曹操は頭痛ではなく、歯の痛みに悩まされていたのでは、という考察も挙がってきているのです。
そして筆者はもう一つ、この「歯の痛み」から別の症状も考察されるのではないかと考えました。歯の痛み、虫歯はただ歯が痛い、という問題だけではありません。
進行することによって、虫歯を引き起こす細菌、咥内に存在する歯が神経にまで到達することで、激しい痛みだけでなく血液の感染、敗血症を引き起こすリスクも存在しているのです。そしてこの敗血症。生命の危機にまで瀕することがあるのですが、脳の血管内皮が障害されると脳浮腫が起こりえるのです。曹操の頭痛、それは脳腫瘍だった。
しかしただ脳腫瘍だっただけでなく、その原因として重篤な虫歯があり、その進行によって敗血症が引き起こされていて、脳浮腫……脳内にむくみが起こっていた。
そして華佗医師はその治療ができた……麻沸散という麻酔を取り入れていた彼は、実は歯医者としての治療ができていた……
しかし曹操が処刑してしまったことにより曹操の虫歯は悪化の一途を辿ることになった。という、曹操の死因と共に、華佗医師の医療スキルまで想定してみましたが、いかがでしょうか?
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三国志ライター センのひとりごと
歯医者の治療、進行すると本当に痛いですよね。まあ神経がむき出しになって治療するとなると、その痛みも当然と言えますが。その治療をできるだけ苦痛なく、やりやすくするために麻酔が用いられます。華佗医師の麻酔はもしかして外科手術だけでなく、歯の治療にも用いられていたのではないか?
だからこそその手腕が、あの時代に神医とまで称えられたのではないか……と、曹操の死因と合わせて考察してみました。華佗医師の死因は三国志演義において、曹操の死因をなる脳腫瘍を切除しようとしたから。
しかし正史を追いかけてみると、実は華佗医師を処刑したからこそ曹操の死因である脳腫瘍が生まれてしまった……そう考えると、不思議な因果を感じる筆者でした。どぼーん。
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