

今回ご説明を致しますは水滸伝一の暴れん坊、黒旋風!李逵です!実は私め、この李逵が大好きでして……このため今回は熱量多め、湿度高め、つまりはそこに李逵の暴を伴った荒れ模様となってしまうかもしれません、ご注意ください。(注意歓喜)
とは言え、李逵、好きな人は好きだけど、受け付けないと言う方は本当に受け付けないキャラクター造形をしている難しい登場人物でもあります。そちらの方もご留意されつつ、読んで頂ければ幸いです。
この記事の目次
- 「黒旋風」李逵とは何者か?水滸伝きってのトリックスター
- 二丁の板斧を振るう「鉄牛」の基本プロフィール
- 無邪気さと残虐性が同居する、水滸伝一の愛され&嫌われキャラ
- 宋江との運命的な出会いと「絶対の忠誠」
- 江州での出会い:宋江の規格外の気前の良さに惚れ込む
- 浪裏白跳・張順との水陸大喧嘩(カナヅチゆえの敗北)
- 江州の処刑場破りで見せた「見境のない殺戮」の衝撃
- 笑いと涙の帰省エピソード:偽物騒動と「虎退治」
- 偽物「李鬼」との出会いから見える李逵の人間味
- 老母が虎に喰われるという、トラウマ級の悲劇
- 怒り狂い、四頭の虎を単身で惨殺した圧倒的パワー
- 読者を震撼させる李逵の「ダークサイド」
- 美髯公・朱仝を仲間に引き込むための「幼児(小衙内)惨殺事件」
- 現代の価値観では絶対に許されない狂気をどう読むか
- 暴走を止める唯一のストッパー・燕青(浪子)との名コンビ
- 「宋江の兄貴を皇帝にしよう!」という純粋すぎる野望
- 朝廷からの招安(許し)を徹底拒絶し、詔を破り捨てる大立ち回り
- 李逵の「強さ」の実態と、最強議論での立ち位置
- 防御力ゼロ!ひたすら斧を振り回すバーサーカー(狂戦士)スタイル
- 水滸伝最大の悲劇:宋江による「毒殺」と李逵の最期
- 過酷な方臘(ほうろう)の乱を無事に生き残った後に待っていた運命
- なぜ宋江は、最も愛した弟分に自ら毒を盛ったのか?
- 「死んでも兄貴の鬼になります」笑って毒を飲んだ李逵の純真
- 三国志ライター センのひとりごと
「黒旋風」李逵とは何者か?水滸伝きってのトリックスター
黒旋風・李逵(りき)とは!水滸伝きってのトリックスターである!
というとちょっと首を傾げる方もいるかもしれませんが、トリックスターには詐欺師や手品師の他に、「物語を展開する者」という意味もあります。李逵が暴れれば物語が動く、こういう場面が多いこともあり、李逵は十分にトリックスター足りえる働きをしているでしょう。また暴れん坊で残虐、暴虐な面と、まるで子供のような無邪気な一面、こんな二面性も李逵の魅力であり、トリックスターというべき部分でもあります。
二丁の板斧を振るう「鉄牛」の基本プロフィール
そんな李逵のプロフィール紹介から。李逵は天殺星の生まれ変わりで、梁山泊にて席は第22位。あだ名は黒旋風。これは李逵が黒い肌をした大男で、二本の大斧を得意としている所から呼ばれるようになりました。その体躯と繰り出されるパワーは、最早旋風のみならず台風、と言っても良いでしょう。またその見た目と力から「鉄牛」と呼ばれることもあります。
無邪気さと残虐性が同居する、水滸伝一の愛され&嫌われキャラ
しかし李逵はそんな大男の風貌からは思いもよらない性格をしているのがポイント。その性格は無邪気、そしてはっきり言って頭は良い方ではありません……いえ、寧ろ考えが足りない所があり、すぐにその力で解決しようとします。その力が強いものだから、周囲に被害を広げることもしばしば。また無邪気であるためか幼児性の強い残虐な一面もあり、善悪の境目が曖昧。
李逵が関わる話は水滸伝でも残酷な面が強いため、李逵が好き、という方もいれば、どうにも受け付けない、という人も多くいるでしょう。
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宋江との運命的な出会いと「絶対の忠誠」
その李逵が心の底から慕っているのが、頭領である宋江の兄貴!その出会いから紹介しましょう。ある日、金がなかった李逵は料理屋で金を貸せと暴れ出しました。そこに偶然やってきたのが戴宗、李逵を二階へと案内しますとそこには何やら小男が。何だこいつ、となる李逵に戴宗はお前が噂で聞いて尊敬している宋江さんだ、と紹介してくれました。李逵は大喜びして頭を下げ、席に付けます。これが二人の出会いでした。
江州での出会い:宋江の規格外の気前の良さに惚れ込む
さて李逵が下でどうして騒いでいたのかと聞けば、金がなくて暴れていたという。そこは「及時雨」、宋江、自分が出そうと十両ほど出してくれたのを見て李逵はその太っ腹ぶりに大喜び。「すぐにお返しします!」とそのまま店を飛び出し、向かった先は博打場。
因みに弁明しておきますと、李逵は普段からこんな博打をうつ男ではなかったのですが、宋江にすぐお金を返した上で、ご馳走したいと思って手っ取り早く博打場に来たわけですね。しかしまあそこで勝てたら話が進まないと言うかなんといいますか。すぐに借りた金をすってしまった李逵、博打場で喧嘩をした上に金を持って逃走。その李逵を捕まえたのが戴宗、そして追いかけてきた宋江でした。
「宋江兄貴の金をすってしまったから、何にも考えられなくなって、こんなことをしちまったんだ……」しょんぼりする李逵、そうして宋江は李逵が盗ってきた金を返した上で、殴られて怪我をした人たちの薬代まで払ってくれたのです。憧れの兄貴に面倒までかけた上にこんなに手を尽くしてくれた!……もうこの頃から、李逵は宋江の兄貴が大好きだったんですねぇ。
浪裏白跳・張順との水陸大喧嘩(カナヅチゆえの敗北)
じゃあ三人で飲み直すか……となるのですが、ここでも兄貴大好き李逵が暴走します。兄貴が肉をたくさん食べさせてくれて大喜びしていた李逵ですが、宋江がふと魚の吸い物が飲みたくなったと注文すると、今日はまだ活きのいい魚が入ってきていないというではありませんか。
「それなら俺がとってきます!」
李逵は店を飛び出し、河に泊まっていた漁船に行って魚をくれと言いましたが、まだ親方が来ていないからと漁師たちは魚を譲ってくれない。ここで腹を立てた李逵は勝手に魚を奪おうとしたせいで、とってきた魚が逃げ出してしまう有様。これに怒った漁師たちと大乱闘、そこに親方も来て大乱戦、宋江たちが来て宥めるも、今度は李逵たちを追ってさっきの親方が船で追いかけてきた!
この親方こそ浪裏白跳・張順。
陸での喧嘩こそ李逵に軍配が上がったものの、今度は張順、わざと船を転覆させて李逵を水の中に落としました。水中ならば張順に敵なし、そして李逵はなんとカナヅチ。最終的に宋江と戴宗が止めての水入りになり、今度は四人で飲みに行くことになってこのエピソードは幕を閉じます。
江州の処刑場破りで見せた「見境のない殺戮」の衝撃
ここからは李逵のちょっと衝撃的なエピソードも見ていきましょう。張順との喧嘩から数日後、宋江が死刑囚として牢に入れられることになります。この際に戴宗は東京まで宋江の処分についての手紙を届けることになったのですが、李逵に「宋江殿の面倒をみるように」と申し付けます。この時の李逵、本当に真面目で……酒を一滴も飲まず、決して兄貴からは離れない!とばかりに宋江の傍を離れないんですよ……ちょっとした忠犬ですね、実際は恐竜に近いですけど。
しかし、宋江だけでなく戴宗までもが処刑されることになってしまいます。梁山泊の好漢らは二人を救おうと行動するのですが、李逵は一人、当日に処刑場に二本の斧を振りまわしながら飛び込み、処刑人を殺してしまいます。が、問題はここから。李逵はそこから見境なしに斧を振り回して人を斬っていく、その後ろを追いかける宋江ら、そして梁山泊の好漢たち。辿り着いたのが河で一同は窮地に陥ったと思うけれども、そこに登場したのが張順たち。無事に一同は逃げおおせ、そう言えばどうして李逵はこちらに逃げたのだと問いかけます。
「俺?俺はとにかく人をぶった斬れば良いと思ったからこっちに来ただけだ」
……絶句。見境の無いとは言いますが、本当に見境がなかったとは。助かっただけ良かったのですが、そうでなければどうなっていたか……李逵の「考えなし」が本当に「考えなし」であったことが判明するエピソードですね。
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笑いと涙の帰省エピソード:偽物騒動と「虎退治」
では次のエピソードを。実は李逵の故郷は百丈村というのですが、ここで李逵は人を殺してしまったために江州へ逃げて来たのです。後に宋江や公孫勝が家族に会うのを見て、ふと里心がついた李逵。故郷の母親を迎えに行きたいと申し出ました。宋江の許しを得て帰郷する李逵……しかしこれこそがある意味、李逵の李逵らしさをふんだんに盛り込んだエピソードとなるのでした。
偽物「李鬼」との出会いから見える李逵の人間味
さてまずは李逵の偽物「李鬼」とのエピソード。簡単にいうとこの偽物、李逵になりすまして追いはぎをしていたのですが、よりによって本物の李逵と遭遇してしまいます。ここで偽物、「自分には年老いた母がいまして……」と涙ながらに訴えると、自分も母親に会いに行く途中の李逵、すっかり同情してお金まで上げてしまうのです。もちろんこれは李逵を騙して金をむしり取った上に殺そうと企んでいるのですが……李逵、残虐な面もありますが、こういう自分と同じような境遇の人間に見せる、そう、人間味もあるのですよ。そういう意味で、李逵には「純粋すぎる」子供のような人間性があると思って頂きたいですね。因みにこの偽物、李逵に殺された上に「ごはんのおかずがほしいから」と腿の肉をむしり取られて食べられます。ええ、これこそが李逵の二面性です。よぉく覚えておいてくださいね。
老母が虎に喰われるという、トラウマ級の悲劇
その後、李逵は無事に母親と再会します。ですが、そもそも恩赦が出ているとはいえ、李逵は殺人という罪を犯して村から逃げ出していたのです。このため、帰ってきた李逵の兄は李逵を捕まえようとします。李逵は兄に申し訳ないと思いながらも、仏壇にお金を備えると母親を連れて村から逃げるように去るのですが……この後、母親を虎に食い殺される悲劇に見舞われることになるのでした。
怒り狂い、四頭の虎を単身で惨殺した圧倒的パワー
母親を連れて梁山泊に向かう途中、李逵が母親から離れた時に虎によってこの老母が攫われてしまう悲劇に見舞われます。李逵は母親を取り戻そうとするも、既に母親は食い殺されてしまっていたという更なる悲劇……惨劇とも言えるかもしれません。ここでの李逵の怒りっぷりは正に鬼、その虎と小虎、四匹もを朴刀で殺してしまうのでした。……簡単に言いますが、李逵のパワーはやはり凄いですね、そしてここで涙にくれる姿。これから母親に恩返しをしようとしていたのに、こんな所で……泣きじゃくる姿は正に親を失った子供でしかありません。
ともあれ李逵はこの悲しみに暮れる暇もなくその後、色々な件に巻き込まれ、色々と殺害して、梁山泊へ帰ることになります。
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読者を震撼させる李逵の「ダークサイド」
エピソードから察するに「李逵はこんなキャラクターです」の話なんでしょうが、ここ、純粋さ残酷さ幼さ酷薄さと連続過ぎて読者が感情ハイスピード展開にお腹いっぱいになるのがポイント。ともあれ、まだまだ李逵の話は続いていきますよ。そう、次にご紹介しますは、李逵の、いいえ、水滸伝の梁山泊の好漢たちが起こす一件の中で「こいつらどうしても受け入れられない!」と読者が思ってしまうエピソード、個人的(重要)第一位でございます。
美髯公・朱仝を仲間に引き込むための「幼児(小衙内)惨殺事件」
それが同じく百八星、美髯公・朱仝を仲間に引き込む際の出来事です。
ここに至るまでに朱仝は宋江を助けてくれたり、雷横を見逃してくれたりと梁山泊を幾度となく手助けしてくれていたのですが、このために流罪となります。しかし流罪の先で知事に気に入られ、更に知事の幼子にも「おひげのおじちゃん」と慕われるようになりました。
この何ら罪もない幼子を、朱仝を仲間に引き込むため、そのために朱仝が知事の元に帰れないようにするために、祭りの席で半ば誘拐し、頭を勝ち割って殺害してしまったのが李逵だったのです。恐らく李逵自身は命じられたのでやったこと、なのでしょうが……この事件、見直せば見直すほどにこの小衙内と朱仝が可哀想で、世直しのためならこんな残虐がことをしてもいいと思っているのか……!と怒りすら湧いてきます。これで水滸伝を読むのが辛くなったと言う人もいるかもしれません。それほどにキツイ場面です、李逵推しの筆者が言うのですからガチです。
現代の価値観では絶対に許されない狂気をどう読むか
さて、前述したように、というよりも話してきましたように、李逵については残虐なシーンが多く、更にそれを李逵が何とも思っていないのがかなり精神に来ると言う人もいるでしょう。まず確認しておきたいのですが、その忌避感、価値観、それは現代において間違ったものではありません。拒絶反応が出てもおかしくはないのです。その上で大事なのが、水滸伝は中国明代に書かれた書物であり、フィクションの一つであるということ。言わば、現代日本からすれば時代も国も違うのです。で、あれば物語に出てくる行動が、現代では許されなくてもおかしなことではありません。
読む時にまず大事なのは、その物語に飲まれ過ぎないことです。歴史の本であれば尚のこと、それが現代で受け入れられるかどうか、が主軸ではありません。その時代があり、その国があり、その登場人物がいる。それを読むことと、受け入れることは違います。そして大事なのは、読んでいて疲れたらまず休むこと。ここをまず大切にしてくださいね。因みに筆者は朱仝の所で一時断念した過去があります、大丈夫です(ほんとうです)。
暴走を止める唯一のストッパー・燕青(浪子)との名コンビ
では少し空気を換えて行きましょうか。李逵といえば宋江兄貴!ですが、浪子・燕青とのコンビも良いですよね!この二人のエピソードと言えば、やはり偽物宋江退治でしょう!
水滸伝では燕青と李逵の二人旅をするエピソードがありまして、その最中、なんと宋江という男がうら若き娘をかどわかしたと言うではありませんか。これを聞いた李逵、なんてこった!実は宋江の兄貴ってわるいやつだ!と判断。宋江に襲い掛かって五将軍に取り押さえられ……最終的に、燕青と共に宋江の偽物を退治して詫びるのでした。李逵と言えば暴走ですが、燕青は流石というか李逵の取り扱いが上手いのですよね。李逵と燕青のコンビは李逵の幼さはあまり変わりませんが、燕青のブレーキが良く効いて残酷性が控えめなのでおすすめなエピソードです。
「宋江の兄貴を皇帝にしよう!」という純粋すぎる野望
さて、もしかしたら「李逵が宋江を疑ったの?」と驚いた方もいるかもしれません。そこはご安心ください、李逵の宋江兄貴大好きっぷりはまだまだ健在ですよ!
この後も盧俊義が梁山泊入りすると宋江は首魁の座を譲ろうと言い出すのですが、李逵はトップは兄貴!と譲りません。更にその後でもしきりに盧俊義に首魁の座を渡したがる宋江に、その度に李逵は大反対します。そう、李逵にとって、宋江はトップもトップ、それこそ国のトップである、皇帝にすらなってもおかしくない!……と言うほどの忠義心を持って兄貴についていっていることが分かる話を、次にしましょう。
朝廷からの招安(許し)を徹底拒絶し、詔を破り捨てる大立ち回り
ここいらになるとやってくるのが朝廷からの招安、第一回目の勅使です。言ってしまえば自分たちに帰順しろというのですが、もちろん国のために働きたい宋江は乗り気。しかし李逵はこれが気に入らない。なんと勅使の持ってきた詔を奪って破り捨ててしまいます。
「あいつら皆殺しにして兄貴が皇帝になればいいんだ!」
ここで宋江とひどい言い合いになりますが、結果として宋江の心は変わらず。李逵は兄貴に従うことになります。
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李逵の「強さ」の実態と、最強議論での立ち位置
では、この辺りで梁山泊恒例の「強さ」についての話もしておきましょうか。李逵の強さはどれくらいでしょうか?もちろん生半可な人間の太刀打ちできるところではありません。しかし、五将軍、もしくは蘆俊義、そして燕青にも李逵の強さは及びません。面白い所ですが、李逵の強さはあくまで力そのもの。そこに技術力が加わると、李逵は太刀打ちできないイメージがありますね。この辺りはあくまで子供、とてつもない力をただ振り回す、そんな存在であるのかもしれません。
防御力ゼロ!ひたすら斧を振り回すバーサーカー(狂戦士)スタイル
極めて個人的な意見ではありますが、李逵の強さはその幼児性にも繋がってくるのではないかという考えがあります。ただ振り回す、ただ邪魔そうなやつがいるので殺そうと思う、ただそれだけ。防御とか、身を守るとか、そういうことではなく、ただ邪魔と感じるものがあるからどける、無くす、それだけ。もちろん李逵が死ぬことに対しての一切の恐怖がないと言うとそうでもないとは思いますが……溺れると普通にもがくので。ただ戦場においてその防御への考慮のなさ、一種の無知さが、通常の人間にとっては未知数。大男の中の幼児性、その二面性こそが、李逵の強さを、通常の人間とは別種の強さをもたらしているのでは、という末恐ろしさの方が、李逵にはありますね。
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水滸伝最大の悲劇:宋江による「毒殺」と李逵の最期
……そんな李逵の最期は、他でもない宋江によってもたらされることになります。李逵の最期は毒殺、それも、宋江によって毒を飲まされての毒殺です。そこに至るまでの、宋江の葛藤。そして最も信頼した宋江の兄貴に毒を飲まされた李逵。その終わりは一体どんな幕引きであったのか。最期までこの二人の関係にご注目して、幕引きまでご案内しましょう。
過酷な方臘(ほうろう)の乱を無事に生き残った後に待っていた運命
方臘戦、多くの梁山泊の好漢たちが命を落とした戦い。李逵はその戦いを生き延び、凱旋しました。そして李逵は朝廷から潤州の都統制に任命されることになります。しかし、李逵がそんな仕事を喜んでする訳はありません。ただ毎日を酒を飲んでは過ごしていました。そこに、宋江から手紙が届き、李逵は喜んで宋江の元に向かいます。久しぶりに会った宋江は李逵に酒をすすめ、李逵もこれを喜んで飲みました。しかし暫くすると、宋江は涙を流し出しました。李逵に、毒を盛ったと言うのです。
なぜ宋江は、最も愛した弟分に自ら毒を盛ったのか?
実はこの時すでに、宋江自身も高俅らによって酒に毒を盛られて死の瀬戸際だったのです。しかしそのような状態で李逵を残して死ねば、きっと李逵は朝廷に対して謀反を起こし、世を乱し、国や民衆に迷惑がかかる。きっと潤州に戻る頃には李逵もまた、毒によって死んでいるだろう、と。
宋江は最期の最期で、李逵を道連れに死のうとしたのです。そこにあったのは国への忠義、ですがそのために、ずっとずっと宋江を慕ってついてきた李逵を騙し討ちにし、毒を盛った。それはある意味、裏切りでもありました。
「死んでも兄貴の鬼になります」笑って毒を飲んだ李逵の純真
「なんだ兄貴、そんなことかまうもんか」
李逵もまた、泣き、そうして笑って宋江の毒酒を受け入れました。
「俺は生きていても、死んでいても、ずっと兄貴の子分だよ」
そうして晴れ晴れとした顔で李逵は潤州に戻ると、自分が死んだら宋江と同じ所に葬るように言いつけて息を引き取りました。鬼のような体躯に、子供のように純粋な心を持った李逵。彼はこうして、水滸伝の舞台から退場しました。事実、李逵は本編で多くの残虐な行為をやってきました。これ一つで李逵のその罪が流されることはないでしょう。ですがたったこれだけ、最期の最期で李逵の純真さをきらめかせて、退場します。天殺星・李逵。筆者が涙無くして語ることができない、水滸伝の登場人物の一星です。
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三国志ライター センのひとりごと
いやーほんと!ほんと最期の最期で李逵に泣かされるんですよ!とても理不尽、それでも李逵は宋江のやることなら笑って受け入れることができるんですよね。そう考えると、宋江は李逵だけは置いてはいけないと言うのは、李逵がただ暴れてしまうからだけではないようにも思います。もしかしたらこんな純粋な弟分を、自分のいなくなった世界に置いては逝けなかったのでは。そんな風にすら感じてしまうのでした。
それでは今日も湖の畔で。ちゃぽーん。
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