『三国志』が大好きな皆さんの中には二次創作に励む方々も少なからずいらっしゃるでしょう。これだけキャラが立つ人物が揃っていて「こうだったら…」「あぁだったら…」とアレコレ考える余地がある作品ですから、逆に妄想を膨らませないでいる方が難しいですよね。
ところで、中には「誰それ(男)と誰それ(男)をカップルにして…ムフフ」なんてことを妄想し、親には見せられないようなものを紙の上に具現化しちゃっているという人もいるのではないでしょうか…?大丈夫です。あなたはヤバい類のHENTAIではありません。なぜなら、あなたと同じことを考えていたらしいHENTAIは数百年前にもたしかに存在していたのですから…!
孫策と周瑜はアッチ系なの…?
『三国志』のBL二次創作においては皆様の素晴らしい妄想力によって様々なカップリングが見受けられるのですが、中には孫策×周瑜というカップリングで心をときめかせているという人もけっこういるのではないでしょうか?
彼らはなぜそういう関係に見られてしまうのか、その原因を追究してみましょう。周瑜は一族から後漢王朝に仕える臣下の中でもトップ3に数えられる大尉を輩出した名家の生まれですが、片や孫策は一応兵法で有名な孫武の子孫と名乗ってはいたものの田舎の成り上がり者でしかありませんでした。そんな身分違いとも言える2人でしたが、孫策の活躍ぶりを聞いた周瑜は孫策に興味を持ち、孫策の元へと赴きます。
出会ってすぐに2人は意気投合。周瑜は屋敷を1つ孫策一家に譲り、家族ぐるみで同じ姓を持つ一族であるかのような付き合いをしていたそうです。しばらくは平和に暮らしていた彼らですが、孫策の父・孫堅が討ち死にすると事態は急変。孫策は若くして孫家の命運を背負わなければならなくなってしまったのでした。
しかし、袁術にいくら尽くしても無下に扱われる孫策…。孫策は袁術の元を離れて江東で独自の勢力を築くことを決意。周瑜も孫策の強い思いをくみ取って袁術の隙を伺いながら孫策が自立できるように奔走します。周瑜の助けによって孫策は袁術の勢力に負けないほどの力をつけました。そんな孫策の元に周瑜が魯粛を連れて駆け付け、2人は感動の再会を果たしたのでした。
どうですか?けっこうロマンティックではありませんか?身分違い2人の親密な関係、そして周瑜が孫策に健気に尽くす姿…。アッチの方向に妄想を飛ばすのも仕方が無く思えます…よね?
『子不語』で語られた2人の関係とは…?
孫策と周瑜の関係がアッチ系だと思ったのは、どうやら清代の人も同じだったようです。清代に袁枚によって著された『子不語』には次のようなドキドキエピソードが。雍正帝の御代に若くて美しい男子がいました。彼が劇場で劇を観賞していると、なんとおしりをなでてくる痴漢が…!
痴漢にブチギレた男子が振り向くと、なんと自分よりも美しい顔立ちの若者が立っていたのでした!おしりをなでられた男子の怒りは静まり、逆にその痴漢のピーをさすりはじめたそうな…。美男子たちはこのことによってお互いのことが好きになり、いつでもどこでも一緒にいるようになりました。美男子が2人で連れ添っているものですから、やはり町でも噂の的になりました。しかし、噂を聞いた者の中には残念なことに悪い奴がいて、そいつによって2人は性的な意味で襲われてしまいます。2人はそんな悪漢に全力で抵抗したのですが、結局殺されてしまいました。
彼らの死を悼んだ人々は廟を立てて「双花廟」と名付けました。数年経っても人々に大切にされた「双花廟」でしたが、その存在にいちゃもんを付ける役人が現れます。
「いやらしい!2人の不良少年をまつって何になるんだ!」と言って役人は「双花廟」を破壊。しかし、その晩役人は悪夢にうなされることになったのです…。夢枕に立ったのはあの2人の美男子。「その昔、三国時代の孫策と周瑜はいずれも美少年で仲睦まじく、一緒に寝ていたと言うが、お前は彼らのような英雄さえも不良少年だと思うのか…!」
自分たちの関係を孫策と周瑜の関係と同じだと言って正当化する美男子2人。彼らは孫策と周瑜もお互いの尻をなでなでする関係だったと思っていたのでしょうか…?少なくともこんなお話を作った人は孫策と周瑜の関係はBLだと思っていたことでしょう…。
子不語ってどういう意味?子不語の子は先生の事で、儒教社会で先生と言えばそれは孔子の意味でした。そして「不語」は孔子先生が言わなかった事という意味です。孔子には怪力乱神を語らずという有名な言葉があり要するに幽霊とか超常現象については、孔子は、みだりに信じず、また語りませんでした。こういう事は証明できず、ある意味、言ったもんがちなので流行すると人心を惑わすと嫌ったのです。ですので、子不語には孔子が語らなかった怪異、怪談が収められているのです。
三国志ライターchopsticksの独り言
男同士の友情だの忠義だのを信じる人にとっては飲み込みにくい話だとは思いますが、やっぱりこの手の妄想をする人は古今東西どこにでもいるものです。でも、もしも本当に彼らの関係がアッチ系だったら…考え始めると止まらなくなってしまうかもしれませんよ?
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