大人気春秋戦国時代漫画キングダム。私達は中華統一というと、飛信隊や王翦や王賁の奮戦をイメージしてしまいますが、実際には秦が六国に送り込んだ佞臣による内側からの崩壊も侮れない破壊力を持っています。
キングダムでは、趙の佞臣郭開が有名ですが、今回は、それ以外の秦の中華統一をアシストする佞臣を紹介しましょう。
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この記事の目次
斉を動かさなかった后勝
口で蛇を飼っているのに、話してみると存外常識人という斉王建の宰相が后勝です。元々、后勝は斉王建の母、君王后の一族であり、斉の襄王と君王后の推挙で宰相になりますが、分かりやすい程に賄賂に弱いようで、秦王政により多額の金品で買収されます。后勝は、さらに斉の重臣達を秦に派遣、この連中も賄賂で骨抜きにされ、斉に戻ると秦に都合のよい事ばかり報告するようになります。そんな后勝が斉王建に進言した策こそ、残りの五カ国が秦に攻められても、助けないで中立を保つというものでした。
斉王建はこれに従い、秦が次々に五か国を攻め滅ぼすのを黙ってみていたのです。しかし、いよいよ五カ国が滅ぼされると危機意識を持った斉王建は、秦と斉を繋ぐ道を封鎖しますが、時すでに遅く、斉の人々も兵士も、ほぼ戦わずに降伏を受け入れました。これにて斉は滅ぶのですが、大国斉を釘付けし他国に協力させなかった后勝の佞臣ぶりは素晴らしいですね。
魏の信陵君を酒浸りにした晋鄙の食客
魏には信陵君という李牧にも匹敵する公子がいました。紀元前247年には、信陵君は五カ国連合軍を率いて洛陽手前まで押し寄せ、王齕と蒙驁は、戦っても勝てずに軍を解散して函谷関に引っ込んでしまった程でした。
信陵君を排除しようと考えた、おそらく呂不韋辺りが、かつて信陵君が軍権を奪う為にやむを得ず殺害した晋鄙の食客を探しだし、金銭を援助して信陵君が魏王の地位を狙っていると安釐王を焚きつけ、これを真に受けた王は信陵君を遠ざけました。これに絶望した信陵君は、酒浸りの生活を送りまもなく酒毒で死去しました。もし、信陵君が生きていれば、キングダムは李牧だけに頼らずに、もっと楽な展開が可能だったでしょうね。晋鄙の食客ナイスアシストです。
楚の春申君を殺害した李園
李園は楚の春申君を殺害した人物です。元々、美貌の妹の李環を春申君を通じて孝烈王に献じ男子が産まれた事で楚の外戚となり、その後、春申君を殺害して妹の産んだ子の幽王を立てて10年間楚の政治を牛耳りました。キングダムでは、春申君に勝るとも劣らない人物とされていますが、楚世家の記述では、李園が為した事は特にありません。戦国策にはありますけど・・
さらに、有能な人物の割に幽王が死んで、その子の哀王を立てた時、哀王の庶兄の負芻を推す群臣に敗れて一族皆殺しにされています。この辺りを考えると、秦のスパイではありませんが李園が楚の命運を衰亡させたとは、言えるかも知れません。
燕の命脈を縮めた太子丹
燕の太子丹は、有名な刺客、荊軻を秦王政に送り込んだ人物です。動機は、趙で人質だった頃は仲が良かったのに秦で再会した時に政に冷たくあしらわれた恨みという子供みたいなものですが、それはそれとして、刺客を放って一気に中華統一の野望を挫こうとしたのは、快挙のように見えます。
ところが、太子丹は中途半端な人物で、荊軻が自分の古い仲間が燕に到着してから、秦に出発しようとしているのを、何度も催促し、呆れた荊軻は仲間の到着を待たずに、秦舞陽を助手にして秦に旅立ちます。結局、秦舞陽は秦王政を見ても恐ろしさに動く事も出来ずに捕らえられ、荊軻は一人で政を追い回す事になり暗殺は失敗したのです。
その結果、太子丹は秦王政をいたずらに怒らせ、燕の滅亡を早めてしまいました。これも、痛恨のオウンゴールで秦の中華統一を結果的にアシストしたと言えます。
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