大人気春秋戦国時代漫画キングダム。昌平君の補給部隊を二つとも撃退した李牧ですが、鄴の秦軍が餓死して全滅するのを見届ける前に、邯鄲からやってきた王印の軍と呼ばれる近衛兵に逮捕されていまいました。
この王印の軍のメンツ、見事な装飾が施された兜を被っている上にイケメン、さらには剣の達人であるカイネの背後を音もなく取る程の武術の達人です。連行に応じなければ、側近を皆殺しにしてでも強引に連れて行くと脅す王印の軍に李牧は観念し、雷伯に指揮を引き継いで邯鄲に去るのですが、王印の軍って実在するのでしょうか?
この記事の目次
キングダム638話ネタバレ予想vol3「趙軍は三軍編成」
趙の軍隊については、秦のそれに比べて分らない事が圧倒的に多いのですが、史記の趙世家という趙の歴史書を読んでみると、部分、部分ですが分る事があります。
例えば、紀元前305年の記録には以下のようにあります。
武霊王二十一年、中山を攻める。趙紹を右軍、許鈞を左軍、公子章 を中軍として、武霊王は三軍を併せて総大将になる。
キングダムの朱海平原の戦いのように、趙軍は右、左、中の三軍を基本編成としたのです。この辺はキングダムは史実に則っていると言えますね。
キングダム638話ネタバレ予想vol3「趙も秦と同様に国民皆兵」
もうひとつ、趙は秦と同じように国民皆兵の国であったようです。紀元前251年に燕の丞相の栗原は、五百金を趙王に与えて和睦しますが、趙は長平で大敗した後であり、かなり弱っているように見えました。そこで、燕王に趙を攻めるべしと進言すると燕王も乗り気になりますが、その時、楽毅の子の楽間が
趙は四戦(燕・秦・斉・魏)に包囲された国で、その人民は兵として訓練を受けて戦に慣れている。これを討つのは賛成できません。
このように反対しますが、欲に目がくらんだ燕王喜は栗原を総大将に、卿秦、楽間をつけて趙の鄗と代を攻めさせて廉頗に大敗しています。ここから見ると、趙は多くの敵を抱えている関係から国民皆兵を採用していたであろうことが推測できるのです。
キングダム638話ネタバレ予想vol3「趙の近衛軍のユニフォームは黒」
では、キングダムに登場してきたような王印の軍は存在するのでしょうか?
これについては、ちゃんとした記録がないので分かりません。ただ、王宮に仕えた将兵の姿については、以下のような記述が出て来ます。紀元前265年、左師の触龍という老大臣が、故恵文王の后の太后に面会を願い出て、自分の末の息子を王宮の護衛兵に雇って欲しいと願い、以下のように言いました。
老臣の愚息、舒祺は末っ子で今年15歳になります。しかし私は老いぼれており、余命もおぼつかず、愚息の将来を考えると哀れで哀れでなりません。そこでお願いと言いますのは、黒衣の欠を補い、以て愚息を王宮を護衛する兵士にしてほしく、命を賭してお願い申し上げます。
触龍の就いた左師は名誉大臣というような地位であり、位人臣を極めた人物でしょう。その人が頼むのですから王宮の警護兵は端役ではないと思います。また、黒衣の欠を補うとは、趙の宮廷の護衛兵が黒い装束をつけていた事を意味しています。なので、趙の近衛兵は史実では漫画とは違い、黒の装束をつけていたのではないかと思います。
キングダム638話ネタバレ予想vol3「王印軍はまた出てくる?」
今回、王印の軍のキャラについては名前が出てきていませんでしたが、無駄にイケメンでデザインが良かった事もあり、今後、李牧が再登板になった時には、王印の軍も出てくるのではないかと考えています。
あの身体能力の高さを考えると、李牧の味方として登場した場合には堯雲の雷雲隊以上の強力な兵力に成りえますね。桓騎軍の雷土やゼノウ一家さえ上回る力を発揮する可能性もあるでしょう。
【次のページに続きます】