大人気春秋戦国時代漫画『キングダム』640話では、ようやく鄴の支配を安定させて咸陽に帰還していく飛信隊が描かれましたが、一方で李牧は、鄴を守れなかった責任を取らされ、悼襄王により処刑命令を下されていました。
しかし、趙には郭開のような佞臣ばかりでなく趙の運命を憂える人々が大勢いて、白ナスの舜水樹などはオフ王を殺しても李牧を救うと穏やかじゃありません。
史実でも紀元前236年に悼襄王は死去しており、もしやのクーデターかと匂わせる要件はあります。では、本当に趙でクーデターは起きるのでしょうか?
この記事の目次
キングダム641話ネタバレ予想vol2「史実から考えてみる」
では、史記では悼襄王の死の前後はどのように記述されているのでしょうか?趙の歴史書である趙世家では、以下のようなシンプルな記述です。
悼襄王の九年、趙は燕を攻めて貍と陽城を取る。兵を引き上げる前、秦が鄴を攻撃しこれを陥落させた。悼襄王が亡くなり、子の幽繆王が即位する。
この短い文の中にはもめ事が起きたとか、それを暗示するような部分はありませんので、公子嘉の一派が騒ぐというような事もなく、王位継承は穏当に起きたのでしょう。つまり、キングダムで政変が起きるとしても、それはフィクションに留まるという事です。
キングダム641話ネタバレ予想vol2「武力クーデターは可能か?」
では、舜水樹や扈輒は武力クーデターに踏み切って、王を殺し李牧を救出できるのでしょうか?
これは難しいと思います。その最大の要因は邯鄲には王都軍が存在するからです。
キングダム640話での媧燐の見立てでは、オフ王が鄴を救う為に王都軍を派遣していれば、王翦でも鄴を取る事は出来なかったと言っていて、今回の趙の敗北の原因が李牧の実力不足でも、王翦の知略の凄さでも、飛信隊を含めた秦兵の頑張りのお陰でもなく、オフ王が王都軍を鄴に送り込まなかった不作為にあると断じています。
王都軍は、それほどの精強さである上に、どんなバカでも王には絶対服従と言う態度を決して崩していません。なので、例え李牧の処刑を止める為であろうと「あの連中を皆殺しにせよ」とオフ王に命じられれば、舜水樹だろうと扈輒だろうと、容赦なく虐殺するでしょう。
オフ王は我が身を守ってくれる王都軍を惜しんで鄴に向かわせなかった位なので、今後も肌身から離す事はないと考えられ、武力クーデターは失敗します。
キングダム641話ネタバレ予想vol2「オフ王の暗殺」
王都軍を相手に武力クーデターは見込み薄である事は当然、白ナスも扈輒も分っているでしょうし、内乱状態で、他国から攻められては目もあてられません。そのようなリスクを考えると、オフ王を排除する最終手段としては暗殺という手を使うしかないでしょう。
例えば、李牧の助命嘆願を願い出る為にオフ王に何とか謁見し、願いを聞かぬようなら飛び掛かって殺害し、命令権者を失い動く事が出来ない王都軍の隙を突いて、牢獄から李牧を救出し、太子嘉を擁立して事態を収拾し、李牧を宰相に任命して趙に総動員体制を敷き、奪われた領土の早期奪回を図るというシナリオです。
李牧にしてもオフ王への忠誠心はなく、事実は廃嫡された太子嘉への望みだけなので、舜水樹や扈輒に賛同すると考えます。
【次のページに続きます】