人間にとって娯楽は大切なもの。
『三国時代の娯楽にはどのようなものがあったの?タイムスリップして当時の人に取材してみた』
や
といった記事でも紹介しました通り、
ゲーム好きは三国時代の人たちも、現代人と変わりません。
漢から三国時代にかけてブームになったという『六博(りくはく)』。
いったいどんなゲームだったのでしょうか?
この記事の目次
墳墓から発見された不思議なダイス
(写真出典元:NIHON WORLD)
2015年11月、山東省濰坊市の墳墓から、
サイコロやタイルといった副葬品が発見されました。
(写真出典元:NIHON WORLD)
この墳墓はおよそ2300年ほど前のもの。
戦国時代末期から秦代の物と考えられており
研究者によれば『六博』と呼ばれたゲームの一種に似ているということです。
この墳墓は差し渡し100mを超える大規模なものですが、
度々盗掘にあった形跡が残っており、発見
されたサイコロの側から、墓泥棒のものと
思しき遺骨も発見されているそうです。
盗掘しに墳墓の中に侵入したはいいが、
何かの理由で閉じ込められてしまったのでしょうか?
墓泥棒が発見したのが、自分より先に誰かが
散々に荒らした墓の惨状と、墓の中では
対戦相手もいないから遊ぶこともできない
ボードゲームだけだったとしたら、これは
ずいぶんと皮肉な話です。
ボードゲームの発祥の地はトルコだった?
2013年8月、トルコ南東部にある古墳から、
サイコロや様々な形のトークンが発掘されました。
この古墳は約5000年ほど前の物と推定されていますが、
発見されたダイスやトークンは放射性炭素年代測定によって
紀元前3000年頃のものであることが判明しています。
古墳が建設された時代とは食い違っています。
どのような経緯でそれが古墳に持ち込まれたかは不明ですが、
考古学者によれば、そのダイスやトークンは
世界最古のボードゲームである可能性もあると指摘しています。
発見されている最古のボードゲーム:セネト
(セネトをしている女王ネフェルタリ 出典元:wikipedia)
一般的に、現在発見されている最古のボードゲームは、
エジプトの紀元前3500年頃の遺跡から発見されている
『セネト』というゲームだとされています。
(アメンホテプ3世の墓から出土したセネト 出典元:wikipedia)
これは盤面上のコマを、サイコロ代わりの動物の骨を投げ
移動させて競うゲームでした。
後の『バックギャモン』などのゲームの原点とも考えられます。
『六博』は謎に満ちたゲームだった。
(六博に興ずる人を描いた後漢の陶俑 写真出典元:wikipedia)
さて、肝心の『六博』ですが、
実はどういうゲームなのか、さっぱりわかりません。
漢から三国時代にかけて流行したとされていますが、
南北朝時代に入るとその人気が廃れ、現代には伝わっていません。
漢の時代の歴史学者で、『漢書』を記した班固という人物は、
自身の著作で『六博』と囲碁を比べて、囲碁の方が優れていると
そう書き残しています。
『六博』はプレイヤー二人が囲碁や将棋のように対戦するゲームで、
盤上のコマを、サイコロを使って動かして競い合うという意味では
『セネト』や『バックギャモン』と似ていますが、
一方、将棋のようにコマを取り合うルールもあったようで、
どうやら『サイコロを使う偶然性のある将棋』
といった感じのゲームであったようです。
方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)にソックリ
(前漢の方格規矩鏡 写真出典元:wikipedia)
面白いことに、この『六博』というゲームに使われた盤面は、
漢から晋の時代に多く作られた方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)
という銅鏡の裏面の文様とそっくりとされています。
方格規矩鏡には、他にも四神や十二支を意味する文様があり、
占いと関係があることから、『六博』もまた、そもそもは
占いに用いられた道具であったとする説もあるようです。
なぜ『六博』は廃れてしまったのか?
『六博』が廃れたのは、将棋や囲碁の登場が大きく関係しているようです。
コマを使った対戦、という意味で『六博』は将棋に似ていますが、
将棋のルールが確立すると、サイコロの目の偶然性に依存する
『六博』は嫌われてしまったのかも、しれません。
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三國志ライター 石川克世のひとりごと
『六博』は真面目に勝負するゲームというより、
酒の席の余興など、わりと気軽に騒ぎながら遊ぶゲームだったようです。
三国時代にはまだまだ人気があったという『六博』
曹操や劉備と言った英雄たちも酒盃を交わしながら、この『六博』に興じたりしたのでしょうか。
それでは、次回もまたお付き合いください。 再見!!