
王騎の隣で、いつも表情一つ変えずに立っていた騰。物語が進むにつれて、六大将軍の一人となり、ついには韓という国を一つ終わらせる将になりました。
2016年1月に「騰は実在したのか」をテーマに公開したこの記事を、その後の原作の展開に合わせて作り直しています。王騎の副官だった騰がどの戦いをへて大将軍になり、なぜ自らその座を降りたのか。史書に残る「内史騰」の記録とあわせてたどります。
※この記事は2026年10月時点の内容です。原作の最新話(第890話)までの展開に触れています。
この記事の目次
結論:騰は王騎の軍を継いだ六大将軍。韓を滅ぼしたあと、六将を退く
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み | とう |
| 立場 | 秦の大将軍。王騎の副官を長く務め、王騎の死後にその軍を率いる |
| 六大将軍 | 61〜62巻で六大将軍が復活し、その第二将に任じられる |
| 主な戦い | 馬陽の戦い(11〜16巻)、合従軍(25〜34巻)、著雍の戦い(35〜37巻)、什虎城の戦い(60〜61巻)、韓攻め(73〜77巻) |
| 韓攻めの結末 | 77巻 第837話「東龍の鐘」で新鄭の城門が開き、戦わずに入城する |
| その後 | 77巻 第844話で六大将軍を退くと告げ、旧韓の地にとどまる |
| アニメ | 声は加藤亮夫さん |
| 史実 | 『史記』に「内史騰」として登場。韓王安を捕らえ、韓の地を潁川郡にした |
巻の範囲はWikipedia「キングダム (漫画)」のあらすじの章立て、話の番号と題は集英社の単行本の目次、話の中身ははじめての三国志の各話レビュー記事で確かめました。
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騰はどんな武将?王騎の影にいた、もう一人の大将軍
騰は、長く王騎のそばに控えてきた副官です。王騎の冗談にも真顔で応じる、つかみどころのない人物。物語の序盤では、王騎の隣に立つ不思議な男、という印象の人も多かったはずです。
ところが王騎は、騰の力を自分にも見劣りしないと見ていました。16巻で王騎が亡くなると、騰は王騎の軍を引き継ぎ、将軍として表に出てきます。
戦い方の名物は、片手の剣を高速で振り回し、敵兵をなぎ払っていく姿。そのときの「ファルファル」という音から、読者のあいだでは「ファルファル将軍」とも呼ばれています。草刈り機が戦場を進んでいくような光景ですが、本人はいたって真面目な顔。
王騎軍の古株・録嗚未や隆国たちも、そのまま騰の軍の主力として戦い続けています。
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騰の主な戦い:合従軍から韓攻めまで
| 巻 | 戦い | 騰に起きたこと |
|---|---|---|
| 11〜16巻 | 馬陽の戦い | 王騎の副官として戦う。16巻で王騎が亡くなり、その軍を託される |
| 25〜30巻(26巻 第283話) | 合従軍の戦い | 楚の第一軍とぶつかり、その将・臨武君を討つ(第283話)。最終盤には王賁・蒙恬を前線に抜擢する |
| 35〜37巻 | 著雍の戦い | 秦軍の総大将として魏の要所・著雍を攻め、手に入れる |
| 60〜61巻 | 什虎城の戦い | 蒙武とともに楚と戦い、騰の軍が楚の本陣を落とす |
| 61〜62巻 | 六大将軍の復活 | 六大将軍の第二将に任じられる |
| 73〜75巻 | 韓攻め(南陽) | 韓の南陽を戦わずに開かせ、秦兵の乱暴を禁じて、住民とともに治める |
| 75〜77巻 | 韓攻め(新鄭) | 韓の王都・新鄭へ。英呈平原などで韓軍を破る |
| 77巻 第837話「東龍の鐘」 | 新鄭 | 攻撃の命令を出さずに待ち続けた末、城門が開く |
| 77巻 第840話「譲渡」 | 新鄭 | 韓が秦に国を譲り、韓が滅ぶ |
巻の範囲と中身は、Wikipedia「キングダム (漫画)」のあらすじと各話のレビュー記事によります。
南陽で騰がしたことは、作中でも珍しい攻め方でした。城を戦わずに開かせたあと、兵の乱暴を固く禁じ、もとの城主とともに町を治める。南陽の様子が伝わると、韓の城主たちは新鄭に兵を出し渋るようになります。剣を抜く前に、相手の国の空気を変えていったわけです。
そして新鄭。騰は、韓の王族の寧と、ひそかに約束を交わしていました。攻撃の準備がすべて整っても、命令を出さずに待ち続ける騰。仲間の将たちが焦り始めたそのとき、城の鐘が鳴って門が開きます。
ここは、読んでいて息を止めていました。
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騰は六大将軍を辞めた?寧との結末
韓が滅んだあと、騰が選んだのは六大将軍を降りる道でした。
77巻の第842話、国を失った重さに耐えきれなくなった寧が橋から身を投げ、騰は鎧のまま飛び込んで彼女を救います。続く第844話で、騰は六大将軍を降りて旧韓の地にとどまると告げました。このとき騰の背骨が曲がっていると見抜いたのは、羌瘣。
第845話では、王翦が残る五将の前で、騰が退いたことを伝えています。その後の騰は、寧とともに、潁川郡となった旧韓の地を治める側に回りました。
死ぬまで戦場に立ち続ける将が多い『キングダム』で、生きたまま大将軍の座を降りるというのは、かなり珍しい道。李牧を倒す役目は、信たちに託されました。
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史実の騰:「内史騰」として韓を滅ぼす
騰は、『史記』にも名前が出てくる人物です。秦始皇本紀には、二度登場します。
| 年 | 『史記』秦始皇本紀の記事 |
|---|---|
| 始皇十六年(紀元前231年) | 韓の南陽の地を受け取るため兵を出す。南陽の仮の長官は騰 |
| 始皇十七年(紀元前230年) | 内史の騰が韓を攻め、韓王安を捕らえて、その地をすべて取る。そこを郡とし、潁川と名づける |
南陽を先に治め、その翌年に韓を滅ぼして潁川郡を置く。作中の騰がたどった道は、この二行の記事にぴたりと重なっています。
ただ、肩書きは「内史」。内史は都とその周りを治める長官で、もともと戦の専門職ではありません。それでも騰は、その内史の肩書きのまま軍を率いて韓を攻めています。王騎の副官としての騰、六大将軍としての騰は、ほとんどが作中の描き方です。
『史記』の本紀が騰について語るのは、韓を滅ぼしたこの二行だけ。そこから、王騎の隣に立ち続けた男の半生を作り上げたところに、『キングダム』の大胆さがあります。
キングダムの騰のよくある質問
騰は死亡しますか?
第890話の時点で、生きています。韓を滅ぼしたあと、六大将軍を退き、旧韓の地を治めています。
騰は六大将軍の何番目ですか?
第二将です。61〜62巻で六大将軍が復活したときに任じられました。
騰は史実に実在しますか?
実在します。『史記』秦始皇本紀に「内史騰」として、韓を攻めて韓王安を捕らえた記事があります。
「ファルファル」とは何ですか?
騰が剣を高速で振り回すときの擬音です。読者のあいだでは、騰の代名詞のようになっています。
春秋戦国ライターkawausoの独り言
2016年の初版は、王騎と騰の漫才仕立てで、「騰は実在したのか」を話し合う形で書いていました。王騎に「内史というのは将軍じゃありませんねェ」と突っ込まれ、騰が「ファルファル、まるで分からないであります」と返す、という具合です。
それから10年近く。作中の騰は、本当に一つの国を、ほとんど血を流さずに終わらせてしまいました。内史という肩書きの騰が、なぜ韓を攻める将になったのか。その答えを、原先生は南陽と新鄭の場面で描いてみせた、と読みたくなります。






