三国志ファンの皆様なら、愛してやまない『三国志』。実は英訳されて海外でも読まれているのはご存知ですか!?
読む人によっては『英訳三国志』は漢文や古典よりも簡単に感じるといいます。何故なら、英訳はあまりにも直訳過ぎるから!『三国志』の他にも、多くの中国古典文学が英訳されているのですが…英語が苦手な方も安心して下さい!英訳のあまりの直球ぶりにハマってしまうかも!?
早速、インターナショナルな中国文学的の世界を見てみましょう!!
この記事の目次
議論勃発!『三国志演義』英訳タイトル
実は『三国志演義』は翻訳者によって微妙に英訳タイトルが違います。正式な英訳タイトルは決まってないのが現状なのです。その為、ネット上ではアツい議論になる事もしばしば…英訳は意味や内容を意訳したタイトルと、そのまま直訳したものに分けられるようです。
日本で知られる英訳『三国志演義』タイトル
『三国志演義』の英訳であれば、
【The Romance of Three Kingdoms】
C.H.Brewitt Taylar氏の翻訳(初版1925年)からきています。日本ではこちらの英訳が広く知られています。ゲームのタイトルでも使われてますしね。
※Romance=ロマンス、伝奇、恋路、色気、伝奇小説。ちょっと意味が広すぎて微妙です…。色気って!!
英訳をまた日本語に直訳しちゃうと、三つの国の色気?
ちなみにフランス語でのRomanは、小説と言った意味がありますが、英語のRomanceとは別物。
アメリカで主流な英訳『三国志演義』タイトル
実際アメリカではMoss Roberts氏の翻訳(初版1976年)
【Three Kingdoms: A Historical Novel】
というタイトルがかなり普及しているそうです。
※Kingdoms=王国、国家、三つの王国〜その歴史小説 といった所でしょうか。魏・呉・蜀の三国の歴史の小説に間違いありません。わかりやすいですね!
ロマンスって何やねん!!(怒)という方はコチラ
流石に英語圏でも“Romance”という単語に違和感を感じる人も多いので
【Epic of Three Kingdoms,】
【Saga of Three Kingdoms】
といった表現で翻訳、紹介される事もあるそうです。。うーん。英訳タイトルが沢山ありすぎて、確かにこれは議論勃発ですね。
ちなみにAmazonなどでは三国志演義を”Epic”の単語を用いて説明しています。Epic=大作、Saga=英雄伝、武勇伝といった意味合いです。どちらもロマンスよりはしっくりくる気がしますね!なんでTaylorさんはロマンスにしたんでしょうか…
『正史三国志』は割とスッキリ
議論が絶えない英訳『三国志演義』ですが、『正史三国志』のほうはスッキリしています。歴史書としての扱いですので
【Records of Three Kingdoms】
や
【The Chronicles of Three Kingdoms】
を一般的に用いるようです。研究者や中国に詳しい人は
【Sanguo Zhi】
という、中国語のピンイン読みそのままで用いるようです。
登場人物や地名はピンイン読み
ちなみに『演義』も『正史』も、英訳版では登場人物の名前などは全てピンイン表記です。
曹操→Cao Cao
劉備→Liu Bei
孫権→Sun Quan
貂蝉→Diao Chan
雛氏→Lady Zou
(Taylor訳より 現在での表記を参照)
雛氏がまさかのレディ・ガガ化!『氏』は名前という訳ではないので、女性の敬称として翻訳された結果です。。
他の中国古典文学は!?
ここまででお分かりの通り、英訳タイトルは完全に翻訳者の匙加減です。もちろん、他の有名中国古典文学も様々翻訳されています。中には結構議論が勃発しそうな物も…。中国古典文学の『四大奇書』と言われる物がどうなってるのか、気になる所です。
(三国志演義、水滸伝、金瓶梅、西遊記 の4つ)三国志演義の他の四大奇書の、主だった英訳タイトルを見てみましょう!!
関連記事:山海経(せんがいきょう)って何?|中国古代の神話世界
『水滸伝』の英訳は?
【Water Margin】
『水滸伝』のタイトル自体が水のほとりの物語という意味なので、割と直訳です。この場合のMarginは”際、境界線”の意味です。Marginは他に利益とか利ざやという意味もあるので…ぱっと見中国人の水源買い占めの話かと思っちゃいました。それはそれで面白そうですけど。
『金瓶梅』の英訳は?
【The Golden Lotus】
まさかのザ・金蓮!そのまま直訳!李瓶児と春梅の立場は!?全く触れられない西門慶!でも、英訳での字面がとても美しいですね!確かに物語は美女である金蓮のお話なので、タイトルとしては合ってるのかも。綺麗なバラにはトゲがあるのよ、的ですが。
『西遊記』の英訳は?
【Monkey King’s Amazing Adventures】
や
【Monkey】
モンキーって…!
確かにそうだけど、そうじゃないような…三蔵法師が天竺まで旅をするお話で、沙悟浄と猪八戒も結構活躍しますけどね。もう頭の中でモンキーマジックが止まりません。Amazing Adventuresは、訳すと 奇なる冒険 です。これは良い英訳ですね!
三国志ライターAkiのひとり言
ところで映画などでも、洋画の原題と邦題が全然違う事も多いですよね。『アナと雪の女王』だって、原題は『Frozen』。そのまま日本語にしたら、”凍結”…とても微妙どころか、なんか伝わりづらいかも。そう思えば『Monkey』も、英語圏の人にとってはそう不思議ではないタイトルなのかもしれません。
ちなみに『西遊記』を『Monkey』と英訳してくれた方は、『源氏物語』の英訳で有名なアーサー・ウェイリー氏です。この方の翻訳は、自由すぎる翻訳としても知られています。その英訳を更に日本語訳した本もあり、なかなか面白いので是非機会があったらご一読下さい♪。
何はともあれ、その言語圏の人にとってウケが良いタイトルにする事で、多くの人に知ってもらえるなら良いのかなと思います!