劉備(りゅうび)亡き後の蜀の命運を一身に背負い、強大な魏に挑み続けた諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)。少し見ると馬稷(ばしょく)のような机上の秀才を登用したダメな上司に見えますが10分の1とも言われる蜀の国力で、魏と戦う軌跡には、彼が登用した数多い文官、武官の活躍がありました。
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学問秀才の孔明が編み出した人材登用7ポイント
孔明は、20代の後半まで晴耕雨読の人生を送っていた人で、上司である劉備のように、世慣れた渡世人ではありませんでした。そこで、どうしても人物鑑定に甘い部分があり、劉備の戒めに背いて馬稷を重用するような痛恨のミスも犯しています。
ですが、その中で孔明は、必死に人を見る目を養おうと、独自に人材登用の7ポイントを編み出し、それを活用したのです。
1.ある問題について、善悪の判断を求め、その志がどこにあるか見る
会社には、ただ、給与を貰って、人生を渡りたいという人と、積極的にプランニングをして出世したいという人がいます。それは、目には見えませんが、社会問題などを通じて質問をし、どの程度、社会に関心があるのか?アンテナを張り巡らしているか?これを確認していきます。社会問題に一切関心がないようでは、社会の一部である会社の将来にも一切関心がないでしょう。
2.わざと叱りつけて、その反応を見てみる
仕事中に敢えて小さいミスを見つけ出して、厳しく叱りします。その時の態度が反抗的であるか?、消極的であるか?謙虚であるか?反応を見ます、ふてくされるようでは、見込みは薄いでしょう。
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3.計略について、意見を求め、その見識を見る
事業部、或いは会社自体が推進するプランについて、意見を求めます。もし、会社で積極的に活躍したい部下なら、必ず「俺ならこうする、ああする」という意見を持っているものです。逆に「え?ああ、素晴らしいと思います」しか言えないようなら、抜擢するのは、やめておいた方がいいでしょう。
4.大変な仕事をさせて、その勇気を見る
敢えて、大変で難しい仕事をさせてみます。営業なら、わざと飛び込みを命じて、どの程度出来るかを見る。あるいは、苦情処理係に放り込んで、その対応力を見ます。だらけている部下というのは、第一に対応力がありません。ずっと、慣れたこの部署がいいと無意識に思い意欲がないからです。一方で、上昇志向が強い部下は、新しい局面に積極的に立ち向かい、これを自分のテリトリーにしようとします。この両者では、困難に対応しての能力が違うのは歴然です。
5.酒を飲ませてみて、その本性を探る
少々、汚い方法ですが、酒を飲ませて大いに打ち解けます。そして、その部下の本性を探るような事を言うのです。わざと会社を馬鹿にしてみて、それに乗ってくるか?特定の上司を批判してみて、部下が、それにどう反応するか?どちらも愚痴しか出ないようなら、そこまでの人でしょう。
6.利益で釣り、その清廉潔白の度合いを見る
独立して上手く行っている、誰かの話題を出します。または、部署でも金まわりがいい所の話を出します。そこに、喰いついてくるようなら野心家です。野心はいいですが度を超すと、会社に不利益を出す人材です。
7.仕事を与えてみて命令通りに実行したかで信頼をはかる
部下に仕事を与えてみて、細々と指示を出し、その通りに行うかを見ます。勝手に部分、部分を省略したり、独自の方法を試すようなら、仕事は出来ても上司を軽んじる傾向がある人材になります。大勢の人間が一つの目標に向かって動く部署では、こういう部下は不協和音になる可能性が高いという事です。
三国志ライターkawausoの独り言
人材登用は、会社を大きくするのに必要不可欠ですが、人選を誤ると、逆に、会社の結束力を低下させます。その点で孔明の7つの人材登用ポイントは、現在でも充分に通用するものだと言えるでしょうね。
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