これまで、ほとんど馴染みが無かった中国春秋戦国時代に光を当てて、
空前の大ヒット漫画にした、原泰久先生。中年層の読み物と横山光輝三国志しか
無かった中国古典三国志をゲーム化して、老若男女すべての層に三国志を広く普及させた
シブサワ・コウこと、襟川陽一氏。新旧二人の歴史の達人が、5月28日(土)
EテレSWITCHインタビュー 達人達(たち)「原泰久×シブサワ・コウ」で
ついに対談します。
それぞれ一時代を築いてきた両者が、どんな事を語るのか楽しみですが、
はじさんでは、その予備知識として、二人がいかに凄いか、
その凄いポイントを分かりやすく紹介していこうと思います。
第一回の今回は、2000万部を売り上げた大ヒット漫画、
キングダムの原作者、原泰久先生のココが凄いを紹介しましょう。
この記事の目次
- 1ページ目
- 原泰久のココが凄い1 超ポジティブ思考
- 原泰久のココが凄い2 単行本の売れ方が全巻変わらない!
- 原泰久のココが凄い3 週刊少年ジャンプ黄金期育ち!
- 原先生のココが凄い4 一度サラリーマンをした経験を活かしている
- 原先生のココが凄い5 自由に描けるから春秋戦国時代を選んだ!
- 2ページ目
- 原泰久のココが凄い6 最初はどうでも良かった主人公信(笑)
- 原泰久のココが凄い7 大迫力合戦シーンは8名がかり!
- 原泰久のココが凄い 8 王騎を殺した時には涙・・・
- 原先生のココが凄い 9 河了貂は活躍する予定ではなかった・・
- 原泰久のココが凄い10 悪にも理由があると考える深い洞察
- キングダムライターkawausoの独り言
原泰久のココが凄い1 超ポジティブ思考
実はキングダムは、原先生の連載デビュー作です(読み切りはある)。
普通の新人なら、少しでも長く続く事を期待しつつも、
「打ち切りになりませんように」とおどおどしてしまいますが、
原先生は、根っから楽天的な性格らしく、
連載当初から10年は続くと確信していたそうです。
さらに、キングダムは今、累計2000万部ですが、
原先生自身は「10年続ければ、もっと売れる」と思っていたそうです。
まさにスーパーポジティブ、突き抜けたキングダムの爽快感は
原先生の性格によるものかも知れません。
やはり悲観していい事はないので、俺は売れるとポジティブに
構えていた方が、運も実力も十二分に発揮できるかもですね。
原泰久のココが凄い2 単行本の売れ方が全巻変わらない!
通常、コミックスというものは、第1巻が一番売れて、
後になればなるほど売上が落ちてゆくものだそうです。
それは、話が進むにつれて興味をなくした読者が、
コミックスを買わなくなるからと言われます。
漫画って始まった当初は、
読者が「ああなるかな、こうなるかな?」と
展開を想像するのも楽しいですが、ある程度巻数が出ると、
大体は先の展開が読めますし、
「あれ?想像してた展開と違う」とかにもなりやすく、
その漫画を卒業してしまう人も多くなります。
しかし、キングダムは、41巻にもなるコミックスが
全て平均的に売れているという事実があります。
つまり、これは、読者が興味を失わず、
ずーっとキングダムという作品に喰らいついて、
まるで信に従う飛信隊のように一緒に歩んでいるという事です。
これって、かなり凄い事ですよね?
ここには、人気漫画にありがちな、インターバル?
スピンオフ? ぶっちゃけ中だるみ?を造らずに、
すでにキングダムのラストまでが大まかに頭にあるという
原先生の緻密なストーリー作りが関係していると思います。
読者の予想を裏切り、期待を裏切らない、
毎回ジェットコースターなキングダムのスト―リーは
思いつきではなく、かなり緻密に組まれているのです。
原泰久のココが凄い3 週刊少年ジャンプ黄金期育ち!
キングダムは、ヤングジャンプに連載している青年誌なんですが、
読んでいると、作品の内側から友情、努力、勝利という
週刊少年ジャンプの声が聞こえる気がします。
つまり少年漫画のテイストを強く感じるわけです。
それは、偶然ではないそうで、実は、1975年生まれの原先生は、
80年代~90年代の週刊少年ジャンプの黄金期に
リアルジャンプっ子だったそうで、
「キン肉マン」「シティーハンター」「Drスランプあられちゃん」
「流れ星 銀牙」「聖闘士聖矢」「ドラゴンボール」「スラムダンク」等、
全て、アニメ化、映画化された事がある、当時の少年少女の心を熱くした
超メジャー漫画をリアルタイムで読んでいました。
それが、原先生の心の中に残っていて、キングダムの中にも反映している
そういう事なんですね。
原先生のココが凄い4 一度サラリーマンをした経験を活かしている
原先生が本格的に漫画を描き始めたのは大学3年生の頃です。
あちこちの漫画賞に応募して、大学4年生の時に、
ちばてつや賞の準大賞を受賞します。
それから読み切りなどを書いたものの、連載の話はなく、
「あれ?思い通りにはならないな・・」と感じた原先生は、
プログラマーとして就職してサラリーマンになります。
なんだか遠回りな感じがしますけど、原先生は、
このサラリーマン時代の経験が無ければ、
絶対キングダムは描けなかったと断言しています。
外から見ると、皆、同じに見えるサラリーマンも内部に入ると、
自信家で仕事が出来る人、威張っているけど、いざとなると
他人に責任を押し付ける人、猪突猛進でワンマンタイプの上司、
生意気で言う事を聞かない部下など、色々な人がいます。
会社は、こういう性格も能力も、ばらばらな人達を一つの目的に向けて、
まとめてゆく事で成立しているんですね。
キングダムでも時々登場する父と子の相克、新旧世代の激突、
複数勢力の利益のせめぎ合いですが、
秦という国家の内部で起きるドラマは、このサラリーマン時代の
原先生の経験が反映されているのです。
よく、すぐれた表現者になりたいなら、
自分の経歴と接点がない仕事をこなしなさいとか言われますが、
原先生も、まさにそのような経験をしてきたんですね。
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原先生のココが凄い5 自由に描けるから春秋戦国時代を選んだ!
原先生は、子供の頃から大河ドラマが好きで、作家では司馬遼太郎、
漫画では、本宮ひろ志の「赤龍王」などを読み、また幕末モノの
読み切りを描いた事もあるそうです。
ただ、皆が知っていてメジャーな時代だと、確かに描きやすいですし、
受け入れられやすいですが、代わりに色々な作者の色がついていて、
また、この内容は史実ではない!等の批判も沢山出てきます。
ですから原先生は、自由に描けない、メジャーな幕末や三国志等
ではなく、マイナーな春秋戦国時代を選んだそうです。
元々、楚漢戦争以前の秦の始皇帝による天下統一までの漫画がないなと
漠然と思っていたので、司馬遷(しばせん)の史記に依拠して、
その時代の漫画を描こうと考えて、そこからキングダムが生まれたのです。
口でそういうのは簡単ですが、知名度が低い時代を描くのは、
リスクも大きかったと思います。
そこに挑戦して実績を残すのですから、原泰久、恐るべしです。
【次のページに続きます】