テレビもラジオもネットもない三国志の時代、人々の娯楽としては、
体を張って曲芸を見せる、大道芸が一般的でした。
彼等は、道端で芸を披露するのみではなく、豪族の宴会にも呼ばれたので、
墳墓の壁画にも、その様子が残っています。
では、三国志の時代の曲芸とは、どんなものだったのでしょうか?
この記事の目次
七枚の皿の上を飛び回る 曲芸師
地面に、うつぶせにした七枚の皿をおいて、
その上で飛んだり、跳ねたり、宙返りをしたりする芸です。
もちろん、着地する時に、皿を割ってはいけませんし、
皿以外の部分に着地してもいけません。
このような芸は最近は見られないので、廃れたタイプの
曲芸なのかも知れません。
常に皿がどこにあるかを把握しながら、かつ、皿に体重を
かけて割らないようにする柔軟な身体能力が必要です。
今でもお馴染み、剣をお手玉するジャグラー
手に持った、四本の抜き身の剣を上空に舞わせながら、
地面に落さないようにする、ジャグリングです。
剣は大ぶりであり、緊迫感をあたえるように抜き身です。
そして、意味なく演者は、上半身裸ですが、
これも刺さると危ないという一つの演出かも知れません。
また、地面には、五個のお手玉が転がっていて、
剣を落さないようにしながら、お手玉を地面から拾って
ジャグリングを続けるという芸もしたようです。
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竿を使う絶妙のバランス感覚曲芸
お約束で上半身裸の筋肉隆々の男が、十字型の竿を額に乗せています。
さらに、竿には、3人の子供がぶらさがっていています。
十字の左右の子供は、足を引っ掛けて、竿からぶら下がり、
てっぺんの子供は、お腹だけで、バランスを取っています。
子供三人の体重を、男は、額で支えているわけです。
見るからに、ハラハラする曲芸です。
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サーカスの原型、馬の曲乗り
二頭の馬が、お互いに交差しながら、広場を円を描いて駆けまわる
というタイプの曲芸です。
馬上では演者が、馬の背に立って、鞭を振りまわしたり剣を振ったり
しつつ、時には、わざと落ちそうな振りをして、手綱にしがみつきながら、
振りまわされるという演出もやっています。
実はサーカスの語源は、円を意味するサークルであり、
この壁画は、サーカスが洋の東西を問わず、
馬の曲乗りから出発したという事を表しているのです。
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これは曲芸なのか?皿まわしと車輪投げ
上記のような、高度な曲芸もあれば、宴会芸というモノもあります。
紀元3~4世紀の三国から魏晋南北朝の時代の壁画には、
今でも、宴会芸で、たまーに見る、皿まわしをやっている絵があります。
細い棒の先に皿を乗せて、もう一本の棒で皿の高台をなぞって、
回転させるのも今と一緒です。
でも、見る限り、回しているのは、一枚の皿だけです。
これくらいなら、素人でも少し練習すれば出来そうです。
かわりに、この演者、めっさ笑顔に見えます。
後一人は、車輪を回転させて、手から腕へ、腕から肩を通って
反対側の肩から腕へと移動させる車輪芸の人です。
こちらも何ともいえない笑顔です。
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剣が立てられているロープの上で綱渡り
現在の綱渡りの原型になるものも登場しています。
地上から、150センチ程度の所に、綱を一本渡して、
そこを、大きな房がついた棒を持った子供が3名で、
バランスを取りながら歩いています。
下には、立てられた剣が何本も並んでいて、
誤って落ちたら串刺しになります。
ある意味では、高さが危険なだけの今の綱渡りより、
かなり危険な曲芸という事が出来ます。
また、その中の一人の子供は、
その中で逆立ちをして、歩いています。
三国志ライターkawausoの独り言
当時の大道芸は、今と違わないものもあり、皿の上を歩くように、
最近ではお目にかかれないものまであります。
個人的に、痛々しいのは、子供が登場する比率が多い事です。
恐らく、小さい頃から、芸を仕込まれて、一人前になるに従い
高度な芸を覚えていったのでしょうね。
本日も三国志の話題をご馳走様でした。