キングダムにおいて、人気も鬼畜っぷりも絶好調のお頭、桓騎(かんき)将軍。
漫画においても、秦国六大将軍に近い男と言われる桓騎ですが、
その史実の上での最後を見てみると、ろくでもないの一言に尽きます。
そこで、はじさんでは、現在は絶好調の桓騎が、どうやって死んでいくか、
史実を基に分析してみましょう。
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この記事の目次
桓騎の残虐性は漫画における誇張なのか?
桓騎と言えば、投降者を残忍な方法で殺し、耳を削いだり、
目をくりぬいたりする残虐な戦術で知られています。
史記の記述によると、
紀元前234年、趙の平陽を攻めて、敵将・扈輒(こちょう)を殺し、
首を斬ること10万であった。
とあります、この時の桓騎は、たった二城を落としただけなのに、
10万人の首を斬っていますから、大量に投降者を殺す=殺戮者というイメージが生まれ
そこから残虐な処刑を行う人物というキャラ設定になったのでしょう。
無かった訳ではない残虐な処刑法
しかし、この時代、桓騎ばかりが残虐な処刑を行ったのではありません。
紀元前279年、燕の将軍の騎劫(ききょう)は、包囲していた斉の都市、
即墨(そくぼく)で、死者の墓を荒らし、投降者の鼻を削いで釈放するなどの
残酷な手段を取っています。
これらは、騎劫の趣味ではなく、そうする事で敵軍の士気が下がるのを
狙って行った事です。
実際には、これらの行動は、即墨を守備した名将、田単(でんたん)の策略で、
結果は逆効果になりましたが、ともあれ、桓騎の行状は残虐ではありますが
当時としては珍しいものでも無かったのでしょう。
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今は絶好調に見える桓騎の弱点 人望の無さ・・
桓騎の悲惨な死に方に繋がるキーワードとして、考えられるのは彼の人望の無さです。
「そんな事はない配下には好かれているじゃないか」という反論もあるかも知れませんが
飽くまで、それは配下の事であり、その外側にいる秦の将軍、兵、市民には、
全く好かれていないと言って過言ではありません。
それに、桓騎の配下でも、彼に心服しているのは一部で、残りは好き勝手に
略奪させてくれる桓騎についていた方が得だからというだけに過ぎません。
最近のキングダムでも、飛信隊は、争いのない平和な世を造るという信の
志に共鳴して、残虐な行いはしないという兵士で固まっているのに対して、
桓騎の将兵は、山賊同然で、命がけの働きの見返りがない限りは、
その忠誠にも限度がある事を端的に示していました。
これは勝っている間は良くても一度、敗北すると全てが崩壊する
危ういバランスにある事を意味しています。
桓騎自身も、徳や大義に関心が無く、所詮は暴力でしか世の中を治められない
というニヒリズムに浸っているので自身が敗北し弱いと認定された瞬間に
その軍勢も雲散霧消するのを避けられないでしょう。
史実によると①②の2つある 桓騎の死に方
史実によると、桓騎は紀元前233年、趙の平陽と武城を攻め、さらに宜安に
侵攻しますが、趙の李牧(りぼく)の手によって破れて敗北したとあります。
↓桓騎の運命を暗転させた戦い、詳しくは、この記事で確認して下さい
この敗戦後の桓騎は、①史記によると秦に戻る事なく燕に逃げたとされていて
②戦国策によると、李牧に捕えられ斬首されたとなっています。
結末は、大きく違いますが、以後、桓騎は秦の将ではなくなり、また、
再び史書に名前が出てこなくなるのは事実です。
キングダム的には李牧に斬首される最後はあり得ない
しかし、ここまでキングダムで人気が高くなった桓騎ですから、
漫画では李牧に捕まり、あっさり斬首という②の死に方は無いと考えます。
そうでなくても、トリッキーな戦い方を得意とする桓騎が、
敗戦したとは言え、李牧に捕えられ脱出も出来ないというのは、
読者にとっても違和感があるだろうと思うからです。
そこで、キングダムでは、史記の記述に従い敗戦で秦に居られなくなった
桓騎は燕に逃げてしまうという説を取るでしょう。
勝っているからこそ、渋々、重用されている桓騎ですから、大敗すれば
三族皆殺しは逃れられません、これも人望が無い桓騎の弱点です。
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樊於期を唆し、秦王政を暗殺しようと企む桓騎?
さて、②の仮に燕に逃亡するとしても、そのまま出て来なくなり病死しました
チャンチャンという終わりは桓騎には無いでしょう。
そこで、今度はアンチ秦帝国という形で、秦の天下統一を阻む存在として
歴史の裏に顔を出すという事になるかも知れません。
例えば、桓騎が歴史から姿を消すのと、秦から亡命して燕に逃げた
将軍、樊於期(はんおき)が登場するのが大体、同時期である事から
中国の歴史家、楊寛は樊於期と桓騎は同一人物であるという仮説を出しています。
しかし、漫画においては現時点で、樊於期は毐国(あいこく)の反乱に加担したものの
死んではいないので、桓騎と樊於期が同一人物という説は破綻しており
楊寛と同じ視点は取らないようです。
ですが、同時期に樊於期も桓騎も燕に逃亡する事を考えれば、
この両者(残虐な振る舞いが多いのも似ているので気が合いそう)
漫画において接点が現れるのは、間違いないと思います。
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桓騎は、秦王政や信のラスボス化していく
この樊於期は、自らの首を暗殺者荊軻(けいか)に与えて、
いわゆる始皇帝暗殺の名場面に登場していますから、その背後に桓騎がいて、
秦を倒す策謀に関係するのは、大いに有りうるのではないかと思います。
そうでなくても、信や秦王政、桓騎の考えは水と油であり、相容れぬ両者は
お互いを滅ぼそうと権謀術数を尽くすとすれば、桓騎は紀元前233年以後は、
秦王政の、そして信の最大のライバルとしてラスボス化していくのかも・・
桓騎の死に方③ 信に斬殺される最後
そんな桓騎の死に方ですが、紀元前222年、最後の燕王喜(き)が
王賁(おうほん)により滅ぼされる時に同様に死ぬと思われます。
この戦いには信も参加していて、執拗に燕王喜を追い続けて捕え、
さらに燕の王族が再興した代王嘉(か)も捕えて滅ぼしているので、
この代王嘉と桓騎が絡んでいて、因緑が重なる桓騎を信が斬り殺すという最後です。
というのも、その後に起きる、斉と秦の戦いでは斉が戦わずに無血開城に
近い形で秦が天下統一するので、桓騎を絡めようがないからです。
キングダムライターkawausoの独り言
桓騎は、確かに死んだという記述がないので、
その後も生きていたという話が造りやすいキャラではあります。
それに、信とは正反対の人物にする事でキャラが際立ち、
話が面白くなる効果もあり簡単に殺すには惜しい人物です。
よって、その死は、かなり漫画でも最後に近く、
桓騎はラスボス扱いになりそれまでにも信が大事にする人々が
次々と桓騎に殺され生命を奪われる展開になるでしょう。
kawausoは、河了貂(かりょうてん)は桓騎によって殺されるという見方を取り、
それが信と桓騎の果てしない因緑に繋がると思っていますが、
果たしてどうなるでしょうか?
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—熱き『キングダム』の原点がココに—