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どもっていても秀逸な政策と卓抜な戦術を提案した鄧艾に迫る

この記事の所要時間: 432




 

鄧艾(とうがい)

三国志の蜀が好きな人なら一度は聞いたことのある名前ではないのでしょうか。

その理由は鄧艾が蜀を滅亡させた将軍の一人だからです。

しかしそれ以外に彼がどのように活躍したのかまたは彼が優秀であったのか、

知っている人は少ないでしょう。

そこで今回は鄧艾が提案した秀逸な政策と鄧艾の卓抜した戦術の内容について、

ご紹介したいと思います。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:どもりが酷い鄧艾の隠れた才能!優れた農業政策「済河論」を分かりやすく解説




農業関連の仕事を行ってきた鄧艾

 

まず鄧艾がどのような人物で、

どのような経験を積んできたのかを簡単にご紹介していきたいと思います。

鄧艾は父を幼い頃に亡くしてしまい母と農業を行って生活を立てておりました。

その後鄧艾は魏の役人になるのですが、

どもりがひどかったため当初就くはずであった文書関連の仕事に就くことができず、

農業関連仕事に就職することになります。

しかしこれが鄧艾の運命を大きく分けることになります。

彼は農地を調査する役人になるのですが農地調査を行う際、

敵の軍勢が配置された場合、

味方の兵士をどのように配置することで敵軍を撃退することができるか。

また伏兵を配置しやすい場所の農地調査を行う場合、

どういったところに敵兵が伏兵を配置するのか。

上記の事をいつも妄想しながら仕事を行っておりました。

そのため、同僚から馬鹿にされていたそうです。

その後、司馬懿(しばい)に推挙されて中央で官職に就くことになります。




緻密な計算をしてから提案

 

鄧艾は司馬懿から淮南(わいなん)地方の農地調査を命じられることになります。

この時鄧艾は綿密に土地を調査。

鄧艾は調査が完了すると司馬懿に運河を建設することによって、

淮南地方の農業の収穫量がアップするという提案を行います。

鄧艾が司馬懿にこの提案を行う際、

運河を建設することによって年間の収穫量がどの程度アップすることになるのか、

具体的な数値を出すことによって運河建設の利害を説明。

司馬懿は鄧艾が提出してきたレポートを見て驚き、

すぐに淮南地方に運河を建設するように命令を出します。

この結果、淮南地方で収穫される穀物の量は飛躍的にアップすることになり、

鄧艾が農業関連に優れた能力を有していることが明らかになります。

このように鄧艾はしっかりと調査・計算して具体的な案を考え出してから提案を行う

人物でした。

簡単に鄧艾がどのような人物であったのかをご紹介させていただいたところで、

今回のテーマである鄧艾の秀逸な提案をご紹介していきたいと思います。

 

【奇想天外な夢の共演が実現 はじめての架空戦記

 

異民族に対しての秀逸な政策とは

 

涼州(りょうしゅう)・幷州(へいしゅう)近辺にいた異民族である匈奴(きょうど)。

匈奴の首領である劉豹(りゅうほう)は度々魏の領土内へ侵入を繰り返し、

略奪・民衆達に対して暴行などを繰り返しており、

魏軍は匈奴軍が侵入してくると撃退して領土外に追い出しておりました。

鄧艾はこの状況を改善するべく匈奴に対する政策を司馬師(しばし)に提案。

鄧艾は「古代から異民族は道義によってなびかせることはできませんが、

勢いが弱まれば中華に服属してきておりました。

だが匈奴の勢いが強くなると止めることが難しくなります。

一例として漢の高祖・劉邦(りゅうほう)は匈奴軍によって包囲され、

屈辱的な講和条件を結ぶことになってしまいました。

上記は一例ですが、昨今匈奴の首領となった劉豹の勢いは凄まじく、

魏の国内に何度も侵入して略奪を繰り返している有様です。

では劉豹を弱体化させるにはどうすればいいのか。

私が劉豹の部族内を調べさせた結果部族内で争いが発生し、

勢力が二分されているそうです。

そこで劉豹の勢力を統一勢力とさせないために、

勢力を二分してしまえばいいのではないのでしょうか。」と提案。

さらに鄧艾は匈奴に対す提案だけでなく羌族に対しても提案しております。

鄧艾曰く「羌族は魏の国内で住んでいるものが多数おりますが、

今後は魏の国内に住んでいる羌族を外に追い出して、

「なぜ自分達が迫害を受けているのか」

この点をしっかりと羌族に教え込んで行くべきだと考えます。」と提案します。

今まで魏の異民族達に対する政策は討伐することに重きを置いておりました。

そのため辺境を守っている太守や刺史達も異民族が侵入してくると

討伐して追い払っている状況でした。

しかし鄧艾が提案した政策は討伐することなく、

異民族の反乱に乗じて勢力を削いで弱体化させることを主眼としており、

この時代の魏の高官達が考えてこなかった秀逸な政策を

鄧艾が提案したと言えるのではないのでしょうか。

 

敗北した蜀軍が再度攻撃してくる可能性を示唆

 

蜀の姜維(きょうい)は魏軍の内乱に付け込んで魏の領内に侵攻を開始。

姜維は雍州刺史(ようしゅうしし)・王経(おうけい)の軍勢を撃破して、

王経の逃亡先である狄道城(てきどうじょう)を包囲。

王経の危機を知った陳泰(ちんたい)と鄧艾は軍勢を率いて出撃し、

姜維の軍勢を撃破することに成功。

こうして魏の領内は蜀軍の攻撃から守ることになるのですが、

鄧艾は姜維がこのままおめおめと蜀に帰還するはずないと判断を下し、

姜維が侵攻してくるであろう場所へ防備をしっかりと整えるように命令を下します。

しかし鄧艾の部下達は「姜維は陳泰将軍とあなた様に撃破されているのですから、

再度魏の国境に侵攻してくることはないと思うのですが」と鄧艾へ進言。

鄧艾は部下の意見を聞くと蜀軍が再度攻撃をしてくる可能性をいくつかの理由を挙げて、

説明するのでした。

この時、鄧艾が再度蜀軍の攻撃があることを示した戦術的な理由が卓抜でした。

 

鄧艾の戦術的な理由が卓抜だったその1:戦備が不十分で疲労が多いから

 

鄧艾の部下達は蜀軍の再度攻撃がないと主張。

鄧艾は部下達に蜀軍の再び攻撃してくる可能性を丁寧に説明することになります。

鄧艾は「魏軍は王経が敗北したことによって王経からこの鄧艾に交代したばかりで、

しっかりとした指揮系統が確立されていない状態である。

さらにこちらは新兵を多く抱えており武器も充実していない状態だ。

これが蜀軍が再度攻撃してくる理由だ。

次に蜀軍は船に乗って行動しているため疲労が少ない。

しかし我が魏軍は陸地を行軍してきたため、兵士には疲労がたまっている状態である。

これが蜀軍が攻撃を仕掛けてくるであろう2つ目の理由だ。」と述べます。

この鄧艾の説明を聞いた部下達の大半は納得しますが、

まだ彼の意見に納得できない人物達がおりました。

 

鄧艾の戦術的な理由が卓抜だったその2:守備部隊を分散するため

 

鄧艾は部下のほとんどが自らの説明に納得してくれました。

しかし一部の部下達は鄧艾の説明では納得することができず、

蜀軍は攻撃してくることはないであろうとの主張を下げることはありませんでした。

そのため鄧艾は納得していない部下達へ

「魏軍は南安・狄道・隴西(ろうせい)・祁山(きざん)四つの地点に防衛部隊を分散しなくてはならない。

しかし蜀軍は好きなところに攻撃を全力で仕掛けることができる。

これが4つ目の理由だ。

そして5つ目の理由として蜀軍は祁山に大量に備蓄されている兵糧を得るために出撃し、

ここに備蓄されている兵糧を奪って拠点とし魏の領土に侵攻しようと画策しているはずだ。

これらの理由を持って蜀軍が攻撃を行ってくる可能性は限りなく100%に近いであろう」と

締めくくります。

この鄧艾の説明を聞いた部下全員が納得することになり、

早速姜維率いる蜀軍の攻撃に備えるため防備を固めることになります。

そしてこの鄧艾の予測通り蜀軍は攻撃を再度行ってきます。

しかし鄧艾の部下達はしっかりと防備を固めていたため、

姜維の軍勢は魏軍を打ち破ることができませんでした。

さらに鄧艾は姜維率いる蜀軍の攻撃に耐えるばかりではなく、

蜀軍を撃破して大戦果を上げることに成功。

鄧艾の戦術的予見が卓抜であることがお分かりになられたのではないのでしょうか。

 

三国志ライター黒田レンの独り言

 

いかがでしたでしょうか。

今回は鄧艾が提案した秀逸な政策と卓抜な戦術の内容をご紹介しました。

鄧艾と同じような提案をすることのできる人物は、

あの当時の魏にはあまりいなかったのではないのでしょうか。

そうであったからこそ正史三国志に記載されている鄧艾が提案した政策と

戦術が秀逸でひときわ光っているような気がするのはレンだけでしょうか。

 

参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志魏書4 今鷹真・井波律子著など

 

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関連記事:【姜維の北伐】実は「絹の道」シルクロードを奪って西域との貿易を考えていた

関連記事:蜀軍キラーとして名を挙げることになった陳泰の戦いに痺れる!

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

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横山三国志を読んだことがきっかけで三国志が好きになりました。
その後の日本史・中国史を学びました。
またいろいろな歴史小説を読んでおります。
現在はまっている歴史小説は宮城谷昌光氏の劉邦です。

歴史人物:

張遼、孟嘗君、張作霖など

何か一言:

今年も頑張ってはじさん盛り上げていくにゃー!!

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