『ろくでなし三国志 本当はだらしない英雄たち』の批評が過激的!あなたの好きな英雄もdisられている?

2017年8月11日


 

 

はじ三ライターが普段どんな本を読んでいるかを紹介すべく始まったこのコーナー

今回は初心に帰って、三国志関連本を紹介します。

でも、普通の三国志本を紹介するのもあれなので、割りと好き嫌いが別れる

ろくでなし三国志を解説してみましょう。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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三国志の英雄を面白くdisる目的で書かれた本

 

ろくでなし三国志は、本田透という人の原作なのですが、

元々はWebにupされていた連載を加筆修正したという内容だけあって

その内容は非常に過激です。

 

そもそも作者の執筆動機が日本のバブル期にモーニングで連載されていた蒼天航路の

主人公、曹操(そうそう)のカリスマ扱いに対する違和感なので半端ではありません。

 

作者は曹操を後漢を破壊しておきながら、統一王朝も樹立できない

中途半端人間と断じていて、決して英雄豪傑ではないと主張します。

曹操でさえそうなのですから、他は押して知るべしで、

三国志時代の人間は、統一国家も作れず、後の五胡十六国時代、

350年の大混乱時代を招いた無能人間揃いと罵倒するのです。

 

そして、そんなろくでもない時代の物語だからこそ

バブル崩壊後のろくな人材も出ない低成長で不景気な日本人が

学ぶべき教科書であると巻頭で述べています。

 

さあ、なんかワクワクした人と、腹が立って仕方ない人と

2タイプに別れそうですが、皆さん怒ってはいけません。

この程度で怒っていては本を読み終える前に憤死しますよ。

 

ろくでなし三国志 挑発的な目次を紹介

 

ろくでなし三国志は、その目次からして特徴的ですので、

幾つか紹介しましょう。

 

劉備(りゅうび)日和見傭兵隊長が成り行きでこんな事に

 

諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)

史上最も中国を混乱させた混沌よりの使者

 

・思想犯孔明について

 

魏延(ぎえん)、馬謖(ばしょく)、李厳(りげん)、北伐失敗の度に

誰かが戦犯として消されていく

 

・ダークな曹操ジュニア

 

・呉 南国の海賊マフィア

 

・おのぼりさん孫堅(そんけん) 玉璽をネコババ

 

・中二病でヤクザに憧れる周瑜(しゅうゆ)と

北関東ヤンキー連合のドン魯粛(ろしゅく)

 

いかがでしょうか? タイトルもすごいですが内容はもっと凄いです。

でも、一応、誹謗中傷ではなく、史実(正史&演義)に則って書いているので

酷い書かれ方をしていますが、まあ許せます。

 

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もっともdisられているのは諸葛亮孔明

 

ろくでなし三国志は、意図的に三国志演義で持ち上げられている人々の裏面を暴き

disる形で芸にしているので、必然的に諸葛孔明はボロクソ言われます。

本書の中での孔明は、地上に一人である筈の皇帝を「3人でもいいじゃん」と言い出し

折角、曹丕(そうひ)によって統一される予定の中国を混沌に投げ込んだ戦犯扱いです。

 

しかし、その主張は100%的外れでもないので性質が悪い、

表現はオーバーですが、それを割り引けば分からなくもない内容。

kawausoも、孔明のルール違反の三皇帝並立や、実は関羽(かんう)は、

独立した群雄だったという説などは、こちらから来ています。

 

特定の武将に思い入れが強い人で三国志演義命の人は、

本を投げ捨てる危険性もありますが、三国志は見方によって

こうも違って見えるという事が分かるので面白いですよ。

 

はじ三書評倶楽部 kawausoのアドバイス

 

著者の本田透は、小説家であり評論家なので過激なdisを飛ばしていても

思わず納得してしまったり、なるほど、こんな見方もあるのかと頷く事ありで

ただの批評本ではありません。

でも、まあ、好き嫌いがあるので腹が立ち過ぎて最期まで読めない人も出ると

思いますし、ムカムカして他人に当たってもつまらないので、

徹夜する時に読むのがうってつけですね。

 

本田透の他の著作はこちら・・

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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